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ランブンの老害漫画講座~一章:制作目標とページ数計算~

目次
序章 制作の原点
★一章 制作目標とページ数計算
二章 発案・練り上げ
三章 人物の相関図、物語の相関図
四章 広げる<削る
五章 プロット作成
六章 ネーム作成
七章 まとめと感想

【この章のポイント】
・ページ数×作業時間≧使える時間
・自身の作業スピードの把握が大切
・1ページに載せられる要素は1個まで
・登場人物が増えると要素が激増

漫画制作に入る前に、必ず確認しなければならないことがあります。それは

『制作に使用できる時間』

です。自分ひとりで楽しむ分なら関係ありませんが、どこかで発表することを前提とすると、そこにはほぼ確実に締切りが存在します。『使用できる時間』よりも『作業にかかる時間』の方が大きくなると「締切りに間に合わない」または「途中で予定を変更しなければならない」という状況になります。これは制作者にとってかなりのストレスであり効率もよくありません。このような理由から、制作に入る前にどのくらい制作時間を確保できるかを確認する必要があるのです。


『制作に使用できる時間』が確認できたら、次はその値から漫画の

『最大ページ数』を逆算します。

何故なら『最大ページ数』が分かれば、漫画の内容を考える際にどの程度のボリュームまで制作できるかの検討ができるからです。(逆にここを考えずに漫画の内容を考えると制作時間が足りなくなる可能性がでてきます。)
『最大ページ数』は以下の式で計算できます。

『最大ページ数』
=(『使用できる時間』-『ネーム時間』)÷『1ページにかかる作業時間』

ここでいう『1ページにかかる作業時間』とは「自身が妥協できるだけのクオリティを担保するために必要な時間」という意味です。原稿作業は時間をかけようと思えばいくらでも時間をかけることができますが、いずれはどこかで作業を終えなければなりません。なので、発表する場と自身の制作スピードを鑑みて、自分がどの程度の時間をかければ妥協できるかを考える必要があります。

例として私は
<サークル活動(批評会)に提出>
を前提とした場合、1ページあたり

・コマ割、セリフ枠:1時間
・下書き:1時間
・ペン入れ:1時間
・効果線、スピード線:1時間
・ベタ塗り:1時間
・トーン貼り:1時間
・写植(文字入れ):1時間
【合計7時間】

が自身で妥協できるだけのクオリティを担保するための時間でした。
この時間は人によって大きく変化しますが、自身の作業時間を把握することが大切です。自身の作業スピードの把握は何回か制作を行わないと分からないことですが、このことを知っていればデータとして残すことができ、いずれは簡単に『最大ページ数』を計算することが可能となります。


『最大ページ数』が計算できたら今度は

そのページ数に収まるような内容の話を作っていきます。

しかし、ネームまで作成してからページ数を確認するとなると多くの時間が掛かってしまうので話の内容からページ数を把握する必要があります。
その方法として
「話を“要素”に分けて把握する」
という方法があります。
“要素”とは具体的には

・世界観の説明
・人物の登場・説明
・時間の経過、または場所の移動
・発生した出来事

といった読者に説明しなければならない事柄のことです。このようにして一つ一つ要素に分割することによりページ数の把握を行うことができます。
ここで注意していことは

1つの“要素”に最低1ページは必要

ということです。このような情報量の多い内容は1ページに詰め込むと情報過多となり読みづらくなってしまいます。原則守るようにしましょう。

また“要素”を考えるうえで

登場人物が増えると“要素”が激増

するということを覚えておきましょう。
「登場人物が増える」ということは
「登場人物同士の関係性の説明」が増える
こととなります。

例えば登場人物が3人(A、B、C)の場合、

「人物Aの説明」
「人物Bの説明」
「人物Cの説明」
「人物AとBの関係性の説明」
「人物BとCの関係性の説明」
「人物CとAの関係性の説明」

の計6つの要素が出てきます。
なお、人物の数によって

2人なら
人物説明2つ、関係性説明1つ、合計3要素
3人なら
人物説明3つ、関係性説明3つ、合計6要素
4人なら
人物説明4つ、関係性説明6つ、合計10要素
5人なら
人物説明5つ、関係性説明10つ、合計15要素
6人なら
人物説明6つ、関係性説明15つ、合計21要素

となります。つまり人物が増えると加速度的に要素が増えるので登場人物を多く設定したい場合はこのことを強く意識する必要があります。

このように出来上がった話を“要素”として分けることにより、大体の必要ページ数が分かってきます。最初は難しいですが慣れると具体的な数値を用いてページ数を計算できるので覚えておくと便利かと思います。

本章はここまでとなります。今回はクリエイティブな内容ではなく退屈だったかも知れませんが、制作を行う上で
「目標設定(必要なクオリティ)」
「使用できる時間」
「自身の作業スピード」
の把握は必要不可欠です。
ここがしっかりできていないと最終的に自分が満足のいく作品を作るのは難しいのでぜひ意識してもらいたいと思います。

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