女の朝パート112

結局、最後にしようと決めたにも関わらず、

(女の朝パート111参照)

女は、今日もおんなに逢いに行ってしまう。

おんなはいるけどスタバではないからいいかぁと、軽はずみな思い付きだった。






えへっ。写メを撮った後女は笑った。


珈琲を飲みながら、女はスタバへ来た頃のおんなの心境を思い出した。

そして軽く身震いした。

産まれてこのかた、おんながあれほど絶望していた時期はなかった。

もし救いの手があろうものならば、泣きながらも、形振り構わず嬉々としてそこに飛び込んでいってたのだろう。

しかしと続けたいけれど、割愛。


女は自分の頭と気持ちが完全にそれを拒否している事を自覚していた。


詰まるところ、ある意味、

スタバに来た頃は決して生半可なものではなく、

砂時計の最後の一粒の砂が落ちるのを眺めるように、楽観もしていたし正気でいたとも思う。


何から何までスケジュール通りに一人物事を進めさえすれば良かったのだが、食事、仕事、睡眠、入浴、移動、送り迎えなど。

全てがその繰り返しではあったが、

その一つでも怠れば、自分の神経がぶち切れ、

どうにかなってしまいそうだったし、

そのどうにかもなってしまった。悪夢をみているようだった。

生きる為に皆が当たり前のようにやっている事が幸せだったら、

女は、おんなにあの頃幸せだったのかと問いかけたかったし、知りたかった。



おんなは変わらず珈琲を飲んでいる。

周りのように、お喋りする事もなく、パソコンを弄る訳でもなく、軽い食事をする訳でもなく、、。

そんなおんなを眺めているのが、女は好きだった。

だから、もう最後にしようと心に決めながらも、

又今日もおんなに逢いに行ってしまう。

甘い密を吸う虫のように、

嬉しそうに、

そして幸せそうに珈琲を飲むおんなが好きだったから。



完。












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