松田奈緒子/重版出来!(16)
人はDNAの乗り物に過ぎない。
僕らをDNAに支配されている。
そんな理論を聞いたことがある。
DNAが求めるのは、種の安定であり拡大。
だから健康が失われることを恐れるし、
死を回避し少しでも生を長らえるよう努める。
安定した状態こそ、DNAが求める者かもしれない。
そうした状態を心地良いと感じるよう、
僕らはプログラムされている。
一方で人は、
安定を抜け出すことをも渇望している。
成長・進化は、拡大のチャンスであると同時に、
すべてを失ってしまう危険性もはらむ。
リスクを伴う。
僕らは安定を心地良いと感じる一方で、
変化を好む。
変化する姿に胸を打たれ、感動を覚える。
これはどうしてなのだろうか。
安定を求めながら、
時に今ここにはないもの、
まだ見ぬ新たなものに一歩を踏み出す。
安定と挑戦のバランスを持った種が、
長い時代を乗り越え
今生き残る種なのかもしれない。
子どもの頃の体験から、
人とのコミュニケーションを閉ざしがちだった
漫画家の中田伯が大きく変わろうとしている。
他者への興味、愛情といったものが
芽生え始める。
当然、絵も変わっていく。
その姿に心を揺さぶられる。
応援したくなる。
熱い気持ちが湧き上がる。
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