はじめてのオロナミンC
小学6年生の時の校外学習キャンプ。各班で出し物を披露する夜の集いなるイベントがあった。
我が班は「〇〇殺人事件」と題したサスペンス劇。
自分たちで台本を書き、話し合って演出にもこだわって練習した。
私の役どころは最後に格好良く犯人を逮捕する刑事…ではなく冒頭に刺されてしまう被害者①。
刃の部分が引っ込むナイフのおもちゃで犯人役の子に突かれたら「うっ…」と呻き声を上げてその場に崩れるように倒れる。
たかが被害者①されど被害者①。終了後、自班の子ばかりならず見ていた他の班の子たちにも「すっごい上手だったよ!本当に刺されたのかと思った!」と大絶賛されるほどの迫真の演技だった。
そんな私の名演のおかげかどうかは分からないが、私たちの班は最優秀賞に輝く。
その賞品が、オロナミンCだった。
配られた手元の1本を見つめ私は困惑していた。
こういう類のものを飲んだことがなかったから。
栄養ドリンクなどというものは大人の飲むものだと思っていた。
これ、美味しいの?苦かったりするんじゃないの?
そもそもこれは子どもが飲んでもいいものなのか?
そうこうするうち、話に花を咲かせながら一人、また一人と飲み始める。
ええぃ、こうなったら流れに乗って勢いのままに!
ひとくち口に含んだ途端、炭酸が弾ける。
お菓子でも薬でもない初めて味わう不思議な感覚。
ぬるかったけれど、寸劇の初っ端に刺されてから事件解決までの間、キャンプファイヤーの炎に晒され昼間の熱気を抱いた砂利の上に倒れ続けた、火照った体には十分だった。
家を離れた非日常の高揚感と劇が上手くいった達成感。自分の思いがけない芝居心とオロナミンCの美味しさを知った夏だった。
あれから随分年月が流れたが、私はオロナミンCが大好きだ。
疲れた時に。頑張った自分へのご褒美に。
冷蔵庫から冷えた一本を取り出し蓋をカパっと開ける。
クイッと飲めばシュワシュワ爽やかな喉ごしと共に、ノスタルジックな甘さが口いっぱいに広がる。
推しとは関係ないのですが…不意に思い出して懐かしさが込み上げたので書き綴ってみました。
決して宣伝のための回し者ではありません念のため(笑)
今年もオロナミンCの美味しい季節がやって来ましたね。
2022.6.18 うーたん
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