『ファイトソング』第4話

折り返しも近づいてきたファイトソング第4話。
花枝と芦田の関係が近くて遠いような遠くて近いような、誰かを想うことが愛おしく感じられる回だったなぁと思います。

「誰かの笑顔が見たい」がテーマだなぁと感じました。
泣いている直美さんに笑ってほしくて漫才を始めた2人、「花枝笑うだろこれ」と恋敵ムササビのぬいぐるみを買おうとする慎吾くん、そして、花枝ちゃんの笑顔から曲のアイディアが湧き出てきた芦田さん…
誰かの笑顔は自分の力になる。そして、自分も自然と笑顔になれる。

細かいあれこれはさておき、芦田さんが自分の曲を聴いている花枝ちゃんを目の当たりにしたのは最初の夕暮れのピアノ弾き語りの一度きり。
人生最大キツイという花枝ちゃんに、この曲さえあればいいと言ってくれたスタートラインで元気になってほしかった。果たして彼女は感動。号泣だった。普通のタオルでは足りないと思うほどに。

今度は明るい笑顔になってほしかったのかなぁと思います。デートの時みたいに、空手の試合の後みたいに、キラキラ笑ってほしかったんだと。
自身の去就はともかく、自分の曲で花枝ちゃんを笑顔にしたいという思いが、芦田さんを突き動かして新たなメロディを引き出したのかな。

だからこそ、出来た曲を聴いてニッコリする花枝ちゃんに安堵して一気に疲れが出て眠ってしまったんだろうなぁ。カフェで待っている時に髪もボサッとしていて全て出し尽くしたような表情をしていた芦田さん。疲れ果てていても、出来立ての曲を花枝ちゃんに聴いてほしい一心で電話してきたんだろうなぁ…かわいいなぁと思いました。

それにしても、芦田さんが空手の試合にインスパイアされてからのシーンが良かった!
いつもは温度低めでふわっとしている芦田さんが浮かんでくる新曲の欠片たちを逃すまいと全力疾走で家に帰り、話しかけてくる薫くん(多分ごはんの相談?)を「シーッ、黙ってろ」と制して慌てて鍵盤に向かい、かと思いきやキーワードを次々クリアボードに書き連ねていって…
これまでの花枝ちゃんとの出来事を思い浮かべながら、どんどん内側から溢れ出てくる花枝ちゃんへの想いにこぼれる笑みと息づかいが喜びに満ちていて。
書くだけ書いたボードを眺めての微笑は「できた…」とちゃんと心が動いたことに感じ入って満たされた気持ちで、ほんの少し泣きそうになっているようにも思えてジーンとしました。

この一連の間宮さんの瞳と表情のお芝居が圧巻だったなぁ。
花枝ちゃんの空手の試合を見ているところ。おそらくそんな経験は初めてで、急に来てしまったことに最初は居心地悪そうにしているんだけど、始まってすぐに目を丸くして口も開いて、目の前の試合に引き込まれていっていることが分かる。
その後、家に戻ってからは目が輝いて創作意欲がみなぎっていて…書き終わった後のどこかホッとしたような嬉しそうな顔といい、全くと言っていいほど台詞のない中でこれだけの感情の変化が伝わるのが純粋にすごいなぁと感動しました!

それから、キーワードを書くクリアボードが反省会で恋について調べた板書の裏側というのもなるほどなぁと思いました。
ネットで調べて分かったつもりのどんな知識よりも、実際に心が動いて感じ取ったことには勢いも言葉自身の持つパワーもかなわない。
同じことのようで表と裏というのが物理的に表現されていたのかなぁと。

あと!空手の帰り道、花枝ちゃんが突然いなくなった芦田さんに「なんなん」と言いながらもどこか嬉しそうなのが、ようやく会えた芦田さんに振り回されつつも好意を持っている様子が伝わってきてほっこりしました。

もうひとつ、芦田さん以外で好きなシーンがあって。
サンシャインクリーニングで働く若者2人(調べたらヒデ君と俊哉君というのですね)が漫才師を志すいきさつのダイジェスト。
説明とか台詞が一切無いのに、あの短い流れだけで二人がどれだけ直美さんのことが大好きで、泣いていた直美さんにただ笑ってほしくて漫才を始めたかが分かる。心がぽかぽかしました。
こういう映像だけで言葉なんて無くても温かい気持ちになれる場面が好きなんです。「魔女の宅急便」でも、パン屋のご主人がキキのためにパンで作った看板をそっと掛けて今か今かと帰りを待っていて、見つけたキキが嬉しくてご主人に抱きつくところをドア越しに見るシーンがとても好きで!はっ、余談でした。

…何だか既に長くなっているけど、これは言っておきたい。

ムササビ!不意に披露してしまったムササビがとっても可愛かった!!
その前に花枝ちゃん界隈でムササビ呼びされていることを「喜んでいいんだ」とまんざらでもなさそうなところがまず可愛い。
ムササビジャンプを思いついて「どうしようかな…やっちゃえ!」となっている表情が可愛い。
そしていざムササビ!それほどテンション高くない「ムササビィ…(ムササビィ…ムササビ…)」のリフレインが可愛いし、シュパっとひらっと横っ跳びしているのが可愛い。
跳んだ後、やってしまった…とあちゃーな顔をしているのも可愛い。
とにかく何もかも可愛い。芦田ムササビ春樹は世界を救う(?)
直前番組で監督さんのムササビみたいにとの指示におどけてムササビ披露していたけど、もしかしてそれが本採用されたのかな…なんて思ってニコニコしてしまいました。

芦田さんの魅力は、あの年齢で良くも悪くもピュアなところだなぁと思います。一発屋としてちやほやされた時期があるにしては付けあがったり業界に擦れてる感じがまるで無い。
突然のキス未遂に花枝ちゃんから制裁をくらった時も「焦ってた。自分勝手だった」と素直に謝るし、カフェでも花枝ちゃんを名前で呼べず手のひらであなたですよと指し示すし。そもそもこの恋の取り組みの始まりも弓子さんの「恋でもしてみたら」のアドバイスを真正面から受け止めてのことだし。
前回も書いたけれど、何だか放っておけない気持ちになってしまうんですよねぇ。

そして、そんな愛おしい芦田さんを我が推し・間宮さんが演じているのもとても嬉しくて!パッと見の間宮さんはバキバキの気合入った男前で血気盛んな感じですが(←推しのイメージとは…)、一転して、踏ん張りどころが分からなくて力が入らない、脆くて儚げな雰囲気を持つピュアな芦田さんを愛すべき人物として演じていて。それを表現して心の内まで伝える演技力に、間宮さんのお芝居が好きだなぁと再認識したのでした。

次回以降、ダメだったとはいえ自信の持てる一曲を書き上げた芦田さんは何かが変わっていくと思うんです。さなぎが蝶になるように、それまでの鬱屈とした殻を脱ぎ捨てて新たなステージに羽ばたく姿が見られるといいなぁ。

今後の展開も楽しみです!


2022.2.6   うーたん

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