新種牡馬リーディングからみる産駒傾向2022
お久しぶりです。今回はTakkuMattsu( @NorsteinBekkler)さん主催の
競馬 Advent Calendar 2022に参加記念として今年のファーストシーズンサイアーについていろいろ顧みたいと思います。
昨日はkawakubox(@kawakubox)さんの一口馬主についてでした。
かっこいいですよね、一口馬主。相馬眼がからきしないので出資できる人がすごく羨ましいです。
いわゆる最大手のキャロットやサンデーRではなく、インゼルレーシングという選択肢面白そうでした。
さて、今年で3年目になりますね。今回も新種牡馬リーディングから産駒傾向を探っていきましょう。
データはJBIS様のファーストシーズンサイアーランキングとネット競馬様のデータベースからお借りしてます。
今年も2歳中央デビュー率と上位馬は2歳勝ち上がり率を算出してます。(※12月11日時点まで)
なお、2歳中央デビュー率=(中央出走頭数/血統登録数ー地方出走頭数)*100で算出しており中央転入等により重複があるのでおよその数字として見てください。
今回は中央競馬で産駒が勝利した種牡馬のみ紹介します。好走データがないことには結論付けも難しいところなので申し訳ありません。
1.リアルスティール
自身の主な勝ち鞍:ドバイターフ
出走頭数:55頭(3位) 中央デビュー率53%(55/103)
勝ち上がり数:14頭(2位) 勝ち上がり率22%
代表産駒:オールパルフェ(勝ち鞍:デイリー杯2歳S)
特徴:全妹にラヴズオンリーユーがいる良血馬が、今年の2歳リーディングでベスト10争いに食い込む健闘です。(12月1週現在)
ちなみに単複回収率が共に100%超えている馬券孝行種牡馬でもあります。
プラス材料!自身の馬格が500kgオーバーということもあり、産駒も馬格がある馬が多く、ダート戦でも潰しが効くようです。また好走歴を見ると東京と阪神外回り、新潟外回りに集中していることから小回りよりは直線の長いコースで買うべきかもしれません。
(個人的には改修した京都競馬場でも活躍が期待できる1頭かと)
マイナス材料!生涯唯一掲示板を外したのが安田記念ということもあり、産駒も短距離では中々厳しい印象です。
血統からみた印象:サンデーサイレンスの3×3って走らないイメージ強いんですが、リアルスティール産駒はサンデーの3×3の勝ち上がり率が他より高い気がします。あとはミエスクのインブリードがやはり重要になると思うので濃いサンデークロスとキングマンボ持ってる産駒を中心に追いかけるべきかなと思います。
2.マインドユアビスケッツ
自身の主な勝ち鞍:ドバイゴールデンシャヒーン
出走頭数:57頭(2位) 中央デビュー率68%(57/83)
勝ち上がり数:17頭(1位) 勝ち上がり率30%
代表産駒:マルカラピッド(勝ち鞍:エーデルワイス賞)
特徴:ドバイゴールデンシャヒーンを連覇した自慢のスピードを産駒にも伝えており、中央勝ち上がり頭数は今年の新種牡馬トップを走っています。(2歳リーディングにおいても5位タイの好成績!!)
プラス材料!勝ち上がり率も非常に高アベレージを誇る優秀な種牡馬です。馬券的には連対率が26%、3着内率29%ということで狙うなら馬連で狙うべき種牡馬かもしれません。特に脚抜きが良くなるダートではかなり成績は良いです。
マイナス材料!欠点らしい欠点が見つからないのですが、内枠の成績が芝ダート問わずよくありません。短距離マイルともに優秀な成績ですが馬込みに入ってしまいそうな展開のときには評価を下げてもいいかもしれません。
血統からみた印象:去年のドレフォン同様にサンデー系との相性が非常に良く、勝ち上がった17頭のうち15頭がサンデーサイレンス持ち。特に母父ダイワメジャーとの相性が素晴らしく今年の4頭はすべて勝ち上がっています。来年度産駒にも6頭にも期待できるニックスでしょう。
3.サトノクラウン
自身の主な勝ち鞍:宝塚記念
出走頭数:58頭(1位) 中央デビュー率58%(58/100)
勝ち上がり数:13頭(3位) 勝ち上がり率22%
代表産駒:メイショウコギク(りんどう賞2着など)
特徴:クラシックこそ成長が間に合わず逃したものの、古馬になって本格化してからは中距離の重馬場スペシャリストとして君臨したサトノクラウン。彼の産駒も同様に晩成中長距離向けかと思いましたが、短距離が多い2歳戦で意外にも活躍していて種牡馬としてのポテンシャルの高さが伺える一頭です。
プラス材料!数は多くないものの、芝のやや重では2-1-2-7と渋馬場向きも多いこと、また比較的ペースが落ち着くレース(後傾ラップ)の時には好走率が高いように思われます。小頭数のレースや逃げ馬不在時のレースで狙ってみてはいかがでしょうか?また、距離の融通性もあり短距離だからといって消すと痛い目をみることでしょう。(1400mの条件では連対率24%)
マイナス材料!施行数こそあまり多くはないものの、ダートは0-0-2-23と壊滅的。芝で好走していてもダート変わりを狙うのは現時点では良くないでしょう。
血統からみた印象:むっっっずかしいですね…しいて言えばノーザンダンサーの5×5を持っている馬が勝ち馬に多いですが、それに加えてナスルーラ系を母系にうまい具合に引き出すことも必要な気がします
4.デクラレーションオブウォー
自身の主な勝ち鞍:クイーンアンS
出走頭数:41頭 中央デビュー率54%(41/75)
勝ち上がり数:10頭 勝ち上がり率24%
代表産駒:トップナイフ(勝ち鞍:萩S)
特徴:War Front産駒ですが去年いたザファクターとは全く違い、芝向きで中距離でもこなせる種牡馬です。とはいえ、叔父に米G1・ベルモントS勝ち馬のUnion Ragsがいるためダートでも活躍は見込めるとは思っています。
中山、東京、阪神、中京と坂があるコースで強いのがなんといっても強みかと思います。
あと意外と狙い目はダート変わりよりもダート叩き2戦目だと思います。
血統からみた印象:サンデー系牝馬によるヘイロークロスを狙うのも良いと思いますが、それよりミスプロ、ダンジグ、ブラッシンググルームといった非サンデー系のクロスを重視した方がベターかと。そのクロスによって距離適性も変わってくるはず。
5.サトノダイヤモンド
自身の主な勝ち鞍:有馬記念
出走頭数:49頭 中央デビュー率58%(49/84)
勝ち上がり数:8頭
代表産駒:シンリョクカ(阪神JF2着)
特徴:セールの高額馬は走らないーーそんなジンクスを覆したサトノダイヤモンド。産駒も決して評価が高くないものの、先週の2歳GⅠ阪神JFでシンリョクカが12番人気で2着と波乱を巻き起こす立役者に。意外性の高さはやはりウリでしょう。
マイル以下では3着1回2着3回1着は2回のみ。勝ち馬は先に挙げたシンリョクカと、札幌2歳S3着のダイヤモンドハンズのみ。逆に言えばマイル以下でも勝ち負けできる馬は確かなポテンシャルがあるとみて良いでしょう。ここまで距離適性が如実に表れているのであれば、大幅な距離短縮はマイナス、逆に大幅な距離延長はプラスと考えても良いと思います。
血統からみた印象:サトノダイヤモンドという馬自体が珍しいレベルでナスルーラを持っておらず、それが2歳戦を苦戦している要因であることは間違いないと思います。基本的にミスプロの補給をして距離の融通性を効かせるか、ロベルト混ぜて長距離特化にと考えた方が良いのかなと。とにかくナスルーラを母系から引き出している血統を選びましょう。
6.グレーターロンドン
自身の主な勝ち鞍:中京記念
出走頭数:18頭 中央デビュー率62%(18/29)
勝ち上がり数:6頭
代表産駒:ロンドンプラン(勝ち鞍:小倉2歳S)
特徴:蹄葉炎に悩まされ実力を十分に発揮できなかった悲運の馬ですが、産駒に早くも重賞ウイナーが誕生するなどポテンシャルの高さを種牡馬としても発揮している一頭。来年度の種付け数も既に満口という話もあり、今後さらに飛躍を遂げる種牡馬になるでしょう。
血統からみた印象:母方の強みを引き出すタイプかなという印象です。母父アフリートのトラベログとロンドンプランは1200m勝ち、母父ハービンジャーのユリーシャは1600m、母父タニノギムレットのロードプレイヤーは1800m勝ちですしね。ミスプロと好相性なのが今後にも期待が持てそうです。
7.シャンハイボビー
自身の主な勝ち鞍:ブリーダーズカップジュベナイル
出走頭数:37頭 中央デビュー率71%(37/52)
勝ち上がり数:7頭
代表産駒:コパノハンプトン(なでしこ賞2着)
特徴:GⅠ2勝を含む5戦全勝した2歳アメリカチャンピオンが日本初年度産駒から結果を出しています。地方馬ですがハイセイコー記念勝ちを含む4戦4勝をしているマンダリンヒーローは父を彷彿させると活躍で今後も楽しみです。
血統からみた印象:やはりマイル以下のダートで狙うべき一頭でしょう。産駒の今年の勝利はいずれも芝スタートのダート短距離であり、特に芝で行き脚がつきやすい外枠の相性が素晴らしいです。(逆に内枠の時は人気を裏切ることもしばしば……)またある程度は間隔を空けた方が好走しやすいのでは、とも感じますね。
基本はやはりサンデー系の母父と相性が良さそうです。フジキセキ・アグネスタキオンは今のところニックス一番手でしょう。
8.ファインニードル
自身の主な勝ち鞍:高松宮記念
出走頭数:31頭 中央デビュー率56%(31/55)
勝ち上がり数:4頭
代表産駒:ウメムスビ(勝ち鞍:カンナS)
特徴:4歳秋から本格化していき、後に紹介するレッドファルクスに引導を渡し、スプリントの頂点に立ったファインニードル。奇しくも産駒もレッドファルクスと同じ年にデビューと因縁のある2頭の産駒がスプリント界を賑わしていきそうです。
血統からみた印象:芝の短距離~マイルという印象ですね。ダート戦は0-1-1-17と父アドマイヤムーン同様得意ではなさそうです。後に紹介するレッドファルクスと比較するとこちらは叩いても上昇度はある程度期待できるのと新潟や東京、中京など左回りや直線の長いところでも対応できるのが強みになります。
サンデー系ともつけやすい血統ではありますが、勝ち馬や好走馬みてもサンデー系はそれほど多くなく、ウメムスビやダンシングニードルがともに母父ロベルト系であることからそちらの方がむしろ重要視した方が良いのかもしれませんね。
9.ビーチパトロール
自身の主な勝ち鞍:アーリントンミリオンS
出走頭数:35頭 中央デビュー率56%(35/62)
勝ち上がり数:4頭
代表産駒:シーウィザード(勝ち鞍:芙蓉S)
特徴:現在府中ダートで無双しているレモンポップやコンスタントにダートで活躍馬を輩出したアポロキングダム(今年9月に種牡馬から用途変更となっていますが……)と同じLemon Drop Kid産駒。しかし本場は米国の芝レースで安定した成績を収め芝GⅠ3勝という芝馬でした。
血統からみた印象:ビーチパトロールが芝10F(2000m)のGⅠを2勝しましたが、産駒もみごとに芝の中距離向きに出ています。また比較的小回り洋芝向きなのと、OP馬のシーウィザードを除くと9月以来好走がないため暑い時期の方が得意に出ているとかあるのかもしれません。
また勝ち上がった4頭すべてがサンデーサイレンス持ち。そしてうち3頭がミスプロかヌレイエフのクロス持ちでもあります。
10.レッドファルクス
自身の主な勝ち鞍:スプリンターズステークス
出走頭数:36頭 中央デビュー率54%(36/66)
勝ち上がり数:4頭
代表産駒:ナックブレイブ(すずらん賞2着)
特徴:母系により様々な産駒を輩出するスウェプトオーヴァーボード。スティンガーやアーバニティ、フォーエバーマークなど近親にいるベルモットからは無類の短距離王者を誕生させました。
血統からみた印象:父同様にマイルまでであればギリギリ許容範囲、そして瞬発力勝負は苦手だけどパワーはあるため小回りで坂のあるコースが得意な仔が多いようです。そのため中山、阪神内回り、福島は特に相性が良さそう。パワーがあるので渋馬場もダートも狙いやすいのは馬券的にも狙いやすいです。勝ち上がった馬は全頭ノーザンテースト持ち。この相性の良さは偶然ではないでしょう。
11.ミッキーロケット
自身の主な勝ち鞍:宝塚記念
出走頭数:18頭 中央デビュー率40%(18/44)
勝ち上がり数:3頭
代表産駒:ジョウショーホープ(クローバー賞3着)
特徴:和田騎手にGⅠ勝利をもたらしたミッキーロケット。古馬になってから本格化しただけに産駒も晩成傾向で厳しいかと思ってましたが、まさかの8月までで3頭勝ち上がり。サンデー系の血が入ってないだけに今後も期待がもてる一頭です。
血統からみた印象:馬券内に食い込んだレースはいずれも芝のみ。距離も基本的にマイル以上あった方が良さそうで母父Pivotalの影響を感じます。どの産駒も新馬戦から上昇度がある馬が多く、叩いてから一変を期待しましょう。
血統的にサンデー系と相性は悪くないですが良いとも言えなさそう。それよりミスプロやニジンスキーでインブリード狙った方が良さそうです。
12.ネロ
自身の主な勝ち鞍:京阪杯
出走頭数:15頭 中央デビュー率57%(15/26)
勝ち上がり数:3頭
代表産駒:セイウンダマシイ(勝ち鞍:2歳未勝利)
特徴:芝ダート問わず快速馬、かつては坂路1番時計を出しまくる練習熱心だったのをよく覚えています。
血統からみた印象:基本的には父同様にスプリント路線だと思います。特にヘネシー系ということでヘニーヒューズ同様中山ダート1200mや東京1400mでは積極的に狙ってよいかと。
13.ヤマカツエース
自身の主な勝ち鞍:金鯱賞
出走頭数:15頭 中央デビュー率53%(15/28)
勝ち上がり数:2頭
代表産駒:タガノタント(フェニックス賞2着)
特徴:重賞5勝の名脇役。個人的に大好きな競走馬だったので産駒から父にGⅠ勝利をもたらしてくれる仔が出てくれればうれしいです。
血統からみた印象:ヤマカツエースが非サンデー系なので母方はサンデーサイレンス入っていた方がいいでしょう。あとはミスプロとダンジグのクロスを取り入れてくのが現状ベターかと。
14.タリスマニック
自身の主な勝ち鞍:ブリーダーズCターフ
出走頭数:26頭 中央デビュー率45%(26/57)
勝ち上がり数:2頭
代表産駒:エーティースピカ(勝ち鞍:2歳未勝利)
特徴:米GⅠBCターフ勝ち馬で香港ヴァーズではキセキやトーセンバジルといった日本馬にも先着した強豪。現時点で苦戦はしているものの、自身も重賞勝利は4歳夏になってからということを考えるともっと長い目で見る必要があるでしょう。
血統からみた印象:晩成傾向が強いと思うので中々難しいとは思いますが、本質はやはり距離があった方が良いでしょう。また母系にサンデーサイレンスは必須かと、ヘイローのクロスもできますし。注目点としては、やはり洋芝でしょう。特に函館では人気以下の着順に終わったレースは1レースのみなので3歳未勝利でタリスマニック産駒を狙うにはおおいにアリだと思ってます。
注目は母父ディープスカイ。ダンジグの多重クロスとヘイロークロスを同時に実現できるのが強みですね。
15.ベストウォーリア
自身の主な勝ち鞍:南部杯
出走頭数:19頭 中央デビュー率43%(19/44)
勝ち上がり数:1頭
代表産駒:サノノウォーリア (勝ち鞍:2歳未勝利)
特徴:地方ファーストシーズンサイアー現在1位。地方に限れば2歳リーディングでも2位と地方で活躍を見せるベストウォーリア産駒が中央でも勝利を挙げました。
血統からみた印象:ベストウォーリアが非サンデーサイレンス系なため母系にサンデーサイレンス系入っていれば強い産駒できるのかと思いましたが、それよりロベルトのクロスがある馬の方が活躍が目立ちますね。案外アヴェレージタイプというよりも一発すごい産駒を生み出すタイプの種牡馬なのかもしれません。
16.インカンテーション
自身の主な勝ち鞍:フェブラリーS2着他、GⅢ6勝
出走頭数:4頭 中央デビュー率57%(4/7)
勝ち上がり数:1頭
代表産駒:インザストーン(勝ち鞍:2歳未勝利)
特徴:20頭ばかりの産駒から見事中央勝利馬を輩出したインカンテーション。地方ファーストシーズンサイアーでも5位に位置づけています。
血統からみた印象:地方にも平和賞2着のグロリオサやビギナーズC2着のユウユウレラシオンなど活躍馬がいますが、いずれもインカンテーションの母父マキャベリアンを通して母方のサンデーサイレンス系とヘイロークロスがあるのが特徴ですね。今後もこのクロスがあるかないかは馬券の取捨で重要になるでしょう。
最後に
いかがでしたしょうか?今年の新種牡馬は大物と呼べるような種牡馬こそ多くはありませんが、粒ぞろいで条件さえ合えば他の大物種牡馬の産駒も食えるような仔達が多いと思います。
僕なりに今すでに勝利を挙げた種牡馬を紹介しましたが、まだ勝利を挙げてない種牡馬ではイタリア馬のマクマホンやホワイトマズル後継種牡馬のバンドワゴン、GⅠ馬のレインボーラインやゴールドアクターなどまだまだこれから勝負になるであろう面白い種牡馬もたくさんいます。皆様も自分なりに仮定を組み立ててみて馬券検討に血統を活用してみるのはいかがでしょうか。
朝日杯やホープフルS、そして有馬記念と東京大賞典。まだまだ今年の競馬は終わりません!この記事を読んでくれた方に幸多からんことを!!
明日は銀蹄じゅん(@ginteijun)さんのYGG地方競馬部になります!
YGGといえば昨年ドライスタウトが全日本2歳優駿を制し、格安なのに本格的に一口馬主を味わえるクラブですね。
一口馬主に興味ある人にはとても読み応えのあるものになるでしょう!!(ハードル上げていく)