好きなことをとことんやったら、変人扱いされる

 車のバンパーの修理のため、ディーラーに来ている。1時間か、2時間になりますが、店内でお待ちになりますか、と受付の女性が私に訊いた。はい、店内にいます、と私は、椅子に座り、アイスコーヒーを受付の女性にお願いし、持参した武藤良子『銭湯断片日記』を開いた。読みながら、銭湯が好きになったきっかけって何だったのだろう、と思った。読み進めたら、どこかで書かれているのだろうか。ここまで好きなものがあることは幸せなことだよな、と思った。
私にとっては、野球だろうなと思った。野球が好きになったきっかけと訊かれても答えられない。物心がついた頃には、夢中になっていた。ごっこ遊びのように、毎日のように自宅の家の壁にボールを当て、遊んでいた。3月、2023World Baseball Classicが開催される。前回大会同様、私は、東京ドームで一試合、観戦する。準々決勝ラウンド。侍ジャパンの試合に合わせてテレビ観戦のため、仕事の休みも取ろうか。車の修理の後、蔦屋書店に行き、WBCのことが掲載されている雑誌でも買いに行こう。
そういえば、昨日の夜、YouTubeのホーム画面に、辰吉丈一郎がREDchairでインタビューを受けている動画が、たまたま表示されていて観た。辰吉丈一郎は、50代になっていた。辰吉丈一郎対薬師寺保栄の試合は、中学生の時だっただろうか。まだ、現役のボクサーということをREDchairで知った。RED chairで、辰吉丈一郎が、好きなことをとことんやったら、変人扱いされる。いつからそんな世の中になったんかな、と言う言葉が印象的だった。銭湯や、野球観戦や、読書が好きでも周りは変人扱いはしないだろう。ボクサーを続けたら変人扱いをするのは、それが趣味ではなく、職業としてだからだろうか。だけど、職業としてこだわるのは、それは本気だからということであって、それは、かっこいいことなのではないだろうか。インタビューで答える辰吉丈一郎の言葉は、飾り気がなく、地に足がついている言葉だった。

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