「半分、青い」が半分、終わる その1


NHKの朝ドラ「半分、青い」がちょうど半分終わった。


脚本屋の北川悦吏子には決意があったはずだ。いわゆるNHK朝ドラの常識を覆していこう、との。


そうでなければこのドラマは書けないだろう。


朝ドラの常識、それはNHKの朝にふさわしい内容、典型的なものとしては「前向きだがちょっとおちょこちょいなヒロインが、幾多の苦難やピンチに見舞われながらもパートナーや友人等の協力を得て最後には成功する」という明るくわかりやすいストーリーである。学校や職場に行く前、もしくは朝の家事の途中で暗く重いドラマは見たくない、これが大多数の視聴者の本音であろう。それはそれでいい。しかし、あまりにも同じような内容だと新味がなくなり、パターン化して面白くなくなる。


ドラマ「リーガルハイ」でヒロインの熱血弁護士を演じる新垣結衣が金の亡者?ともいえる悪徳?弁護士の堺雅人に再三「この朝ドラが~!」と揶揄されるのも、この「明るく前向きなヒロインが朝ドラの典型パターン」ということが世間で認知されているからである。


この常識に果敢に挑戦したのが「家政婦のミタ」で有名な脚本家・遊川和彦である。2012年の「純と愛」で朝ドラらしからぬ暗く重い内容でチャレンジしたが、視聴率は低迷した。私はこのドラマは世間で言われるほど酷いものではないと感じ、最後まで面白く観た。しかし、世間的には受け入れられず、17.1%と2010年以降のNHKの朝ドラでは最も低い視聴率となった。


かように朝ドラの常識へのチャレンジはリスクを伴うものなのである。


しかし今回北川悦吏子は別の面から朝ドラの常識にチャレンジしている。
*その2へ続く

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