沖縄記録01

【沖縄記録 4】 語りかけてくる壕

 

 おきなわワールドで楽しんだことについては、軽く触れるぐらいでいいだろうか。とにかくいい所なので、ぜひ訪れてみてください。

 初めての沖縄旅行で最も印象に残っているのは、旧海軍司令部壕である。事前にはリサーチしていない場所だった。非常に整備されてはいるものの、壕の中に入ると妙な湿っぽさが感じられる。

 多くの人がそこで苦しんでいた、ということだった。時には味方をも傷つけたようだった。そして壕の中を見て回り、私は感じた。ここで生きている実感を得るには、とにかく他者との関係性を持つことが必要だっただろう。善意や悪意だけでは測れない、他者を感じるための攻撃性というものが生じるのではないか。

 それは、語りかけられるように得た思いだった。証明する手立てはない。けれども悲惨な出来事の記録の向こう側に、被害者のみでない、加害者の悲鳴も聞こえる気がしたのだ。壁に残された銃弾の跡を、じっと見つめていた。

 「責任」は誰が悪いかだけではなく、誰かを悪に追い込んでしまうことについても考えなければならない。そして、責任を果たせるのは今生きている人だけであり、いま苦しんでいる人に対して何ができるのかを考えなければならない。誰が悪なのか、誰が許されるのかは、責任の一要素でしかない。

 現在にもつながる私の責任に対する考えは、沖縄の地で芽生えたものだ。

 結局那覇まで送ってもらい、私はタクシーのおじさんと別れた。充実した一日だったが、また来たいと思ったのである。

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