【短編小説】 天空の門
ある日、宇宙からの強い光線によって、天使たちが滅びてしまった。そのため神々は、仕方なく悪魔たちに助力を願った。
ある悪魔は言った。
「いい気味だ、どうせならお前たちも滅んでしまえばよかったのに」
またある悪魔は、こう言った。
「天使の仕事に耐えられるなら悪魔になってねーよ」
さらにある悪魔は言った。
「うぜえよ」
結局神々は、これまで天使たちが行っていたことを自分たちでしなくてはならなくなった。
ある神は言った。
「こんな激務には耐えられない」
またある神はこう言った。
「これでは神か奴隷か分からん」
さらにある神は言った。
「だりい」
こうして鬱憤の溜まった神々は、他の神々を支配して自分は楽をしようと考えた。神々は天使の仕事ばかりか、本来の任務も全くせずに争いばかりを繰り返した。大地は荒廃し、人々の間には悪が蔓延した。世界は無茶苦茶になってしまった。
何百年もの間争いが続いた後、ようやく一柱の神が頂点に君臨し、他の神々を従えることに成功した。しかしその時にはもう、人々どころか、全ての生物、そして悪魔までもが死に絶えていた。
神々にはもはや、するべき仕事が残されていなかった。以来、神々は天空の門にがっちりと錠をかけ、大地に降りてこようとはしなくなった。
今も神々は天空で生きているとの話だが、彼等を神々と呼んでいいのかさえも疑わしいものである。
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