「バブル」映画館で観てくれ 日記20220515

観た!おもしろかった!!!ネタバレ含む感想は、下の方に書くとしてまずネタバレのない範囲で書きます。

泡が降る、という特殊現象のあと、東京の一部で重力が狂ってしまうエリアが存在し、本来は立ち入り禁止のそのエリアに住む孤児たちがパルクールで競い合いながら生きている、というシーンから始まり、クールな主人公のヒビキが、謎の少女ウタと出会って変わっていく、というストーリーです。

映画館で観たほうが良い理由として、没入感、という煽り文句の通り、音響・映像の質が大変高く、家にホームシアターを整えていて大画面サラウンドで観られます!という方以外は映画館で観たほうが絶対に上質な体験ができるな、と思ったからです。
スタッフチームが強すぎる……!と思っていたけど、その通りでやっぱり音楽も素晴らしかったし、パルクールのシーンの心地よさがすごい。かっこよすぎる。あと5人のチームなんですが、チームメンバーたちもたいへんかわいかったです。




ーーーーーーー以下ネタバレ含みますのでご注意ください。




なんというか、鑑賞者の「こうなってほしい!」という希望や、「こうなるんじゃないか……?」という不穏さを全部叶えてくれて、すごく満足感のある作品でした。この童話出てきてそのタイプの女の子ならこの選択とるよね……みたいな。そのへんの齟齬が無くて、ご都合主義で全部が明るく大団円ではないけれど、救いのある状態というか、その感じが自分にちょうどよかったです。

ヒビキという男の子も昔ながらのクール主人公タイプで、2時間弱の映画の尺の中でどういう感情でどういう選択をするかわかりやすく、観客が共感しやすい男だったと思います。

私は鑑賞前にキャラクターを見て「コイツに絶対ハマる自身ある」と言っていたオレンジ髪のリーダー、カイくんの一挙手一投足かわいくてしょうがなかったんですが、多分誰かしら好きなキャラクターができるな~という感じのラインナップで、競争相手たちもかわいかったです。
カイくんにハマったポイント上げ始めるとキリがないんですが、基本的に努力型の苦労人が好きなのと、アリジゴクを乗り越えるシーンで一瞬で判断して自分が土台になっているというのが個人的に何かを突破した感じがして心地良かったです。
ハイキューで言うと及川さんのロングトスのシーンに近い気持ちだった。
天才型に見えるヒビキのことをジト~って眺めてるんだけど、ちゃんとチームとして勝ちたいんだ!っていう意志が見えて、お前は優しい子だよ……と思ってしまいました。これは完全に想像だけど。最初は、「あいつは来ない、俺がフラッグを取りに行く」って言ってて、ヒビキが一人でチームを勝利させていることに苛ついている感じもあって、「前に出たい」人なのかと思っていたから、一瞬で自分は行けないと判断して二人に託すのも、なにか少し心象の変化があったのかなって思うんだよな。

個人的に、共闘の展開があまりに好きなので、ラストの方とかはもうずっと「サイコ~~~~!!!」って思って観てました。最高。

ヒロインのウタちゃんもかわいかった。あの、パルクールを一緒にやってるシーンとか、むしろヒビキより力強いシーンとかたくさんあって、すごく重大な選択を迫られているキーマンとして、応援したくなる大きなものを背負っている子でしたね。寡黙だったのがすごくよかった。
それと、自分のいた世界を振り返るときにヒビキだけじゃなくて、チームのみんなとの日々をちゃんと思い出して、この世界全部を天秤にかけてくれたのかなって思ってめちゃくちゃ泣きました。

泡たちは、感情を持った地球外の生命の集合体だったのかな、と思っています。東京という場所で、ウタという個体とヒビキが出会ってしまったから爆心地になってしまったけれど、二人の間に特別な結びつきができたというか……。なんか因果が辛い一方で、それで出会ったチームメンバーたちがいて、ヒビキにとってはそこが世界としてひかれ合うべき場所だったのかな、という気持ちもある。

泡たちは、ウタが響きに出会うこと、そのせいで集合としての意識が揺れることに怒っていたのかもしれないですけど、ラストシーンでウタが消えてすべてが元通りになっていくのを見ると、ウタが人間の姿を捨てて、彼らの集合の一つに戻っていくことで精神が中和されたような形で泡が消えていったのかなとも思います。泡たちはまた一つの生命になり、でもその中にヒビキたちとの記憶がちゃんと残っているからそばにはいられるのかなとか。


それから、観ているときにずっと「万有引力とはひき合う孤独の力である」(谷川俊太郎/二十億光年の孤独)という一節を思い出していました。宇宙の長い歴史のなかでひかれあい、そしてまた離れていくそれぞれの粒子たちの旅を、アニメーションという形に落としたらこんな作品になる気がします。

もともと、ハピエン厨なのもあってエンドが苦しくなりそうなものはあんまり見られない癖があったんですが、それも含めて映画館で観てよかった~~と思います。見てよかった!という感想が抱ける映画なのに、多分配信のアオリ文とかあらすじ紹介だったら見てないと思うので……。

とりあえずいい休日だった記録。
バブル、観てくれよな!



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