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【60ページ分を無料公開:第1回】書籍『中国はリベラルな国際秩序に対する脅威か?』より

4月26日に刊行された『CHINA AND THE WEST  中国はリベラルな国際秩序に対する脅威か?』に関連した、7回にわたる連載記事を投稿します。
この連載の趣旨は、書籍の60ページ分を無料公開することで、より多くの方に本の内容を知って頂くとともに、米中問題に関して日々のニュースに触れているだけでは理解しにくい点、たとえば、

・歴史的経緯
・問題の全体像
・ニュースではあまり取り上げられないが、一歩進んだ理解には必須のキーワード

などについての理解を、深めて頂こうというものです。

内容の一部を公開するのは、この本です。

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上の画像からわかる通り、本書は米中問題について、4人の著名な論客が激論をかわすというものです。
本の構成は、以下のようになっています。

第1章 司会者ラッドヤード・グリフィスによる事前インタビュー
(4名の討論者──H・R・マクマスター、マイケル・ピルズベリー、キショール・マブバニ、王輝耀──1人ずつへの事前インタビュー)

第2章 ディベート:CHINA AND THE WEST(中国と西側世界)──中国はリベラルな国際秩序に対する脅威か?
(オープニング・スピーチ / 反論タイム / 貿易問題 / 軍事・安全保障面の問題 / テクノロジーの問題 / 超大国ではない「より小さな大国」はどうすべきか / 最終スピーチ / 投票結果)

解説──本書を的確に読み解くために 佐橋亮(東京大学東洋文化研究所 准教授)
(書籍版で30ページを超える長文解説。日本を代表する米中問題研究者の一人である著者が、専門家ではない一般読者に向けて、米中問題を見るにあたってのポイント、歴史的経緯、キーワード、討論者と内容の解説、日本人にとっての本書の意義ほかを、わかりやすく総合的に解説)


また、本書の著者である4名(インタビューを受けた上で討論者として登壇し激論を戦わせる4名)は、米中・世界を代表する論客で、以下のような方々です。

【アメリカチーム】CHINA AND THE WEST
【中国チーム】CHINA AND THE WEST

H・R・マクマスター  元・国家安全保障問題担当アメリカ大統領補佐官(トランプ政権)。トランプ政権下で発表された国家安全保障戦略(NSS)の作成に深く関わる。この文書は、米国が政権として初めて公式に中国を「競争相手(competitor)」と位置付けたものの1つ。米国の対中政策の「主流派」の一人。

マイケル・ピルズベリー  日米両国でベストセラーとなった『China 2049──秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」』(日経BP社)の著者。対中関係に関する米国政府の重要なアドバイザー。過去には親中派だったが、その後、考えを変え、対中強硬派に。コロンビア大学で博士号を取得。

キショール・マブバニ  世界的に名を知られている知識人・論客。シンガポールの元外交官で、国連安保理の議長を務めたこともある。国立シンガポール大学上級顧問兼公共政策教授。本書の中では、<中国には確かに問題があるが、アメリカという国やその対中強硬策にも大いに問題がある>という議論を展開。

王輝耀(ワン・フイヤオ)  中国の主要な独立シンクタンクの一つである「中国とグローバル化シンクタンク」の創設者で会長。ウェスタン大学とマンチェスター大学で学び、国際ビジネス経営学の博士号を取得。本書の中では、中国政府の公式見解に近い議論を展開。

(Image credit: ▷マイケル・ピルズベリー=Hudson Institute, Flickr. ▷キショール・マブバニ=mahbubani.net/ ▷王輝耀=securityconference.org/)

ご存じの通り、米中問題がニュースで取り上げられない日はありません。
ただ、日々のニュースに触れているだけだと、わからないことも多いですよね。たとえばこんな疑問を抱いたことはないでしょうか?

・そもそも、なんでこういう事態になったんだっけ?(歴史的経緯)

・今日のニュース、事実としてはわかったけど、問題全体の中でどういう意味を持つんだろう?(問題の全体像。事実と全体の関連)

こうした疑問について、解決しないまま、毎日のニュースに触れている方も多いのではないでしょうか。

もし思い当たるところがあるのなら、おそらくこの連載が、お役に立てると思います。

連載全7回の構成は、以下のようなものです。

【第1回】連載の概要
【第2回】マイケル・ピルズベリーへのインタビュー
    (↑第1章の一部を公開。ピルズベリー氏の個人的な体験とからめる形で、米中問題の歴史的経緯の一端が語られます)
【第3回】キショール・マブバニへのインタビュー
    (↑第1章の一部を公開。マブバニ氏の見解は、「米中双方に問題がある」というものです。米中双方を相対化する視点が入っているので、米中問題の全体像を把握するための手がかりとしやすいと思います)
【第4回】ディベートの一部
    (↑第2章の一部を公開)
【第5回】「解説」[前編]
    (↑↓佐橋亮・東大准教授による長文解説の、全体の3分の2程度を、3回に分けて公開)
【第6回】「解説」[中編]
【第7回】「解説」[後編]

連載を通して読めば、米中問題についての理解が立体的になり、毎日報道されれる米中問題関連のニュースの理解度がぐっと深まるはずです。

記事の最後に、本書の基になったディベートについて、少し説明します。
この本は元々、「ムンク・ディベート」という、世界的に有名な公開ディベートをベースにしたものです。

ムンク・ディベートは、原則として1年に2回、カナダのトロントで開催されており、毎回、公共的な問題(立場や職業に関わらず皆に関わる問題)を討論のテーマとして設定し行なわれています。
日本ではいまひとつ知名度が低いですが、英語圏では非常に注目度が高いディベートです。
(ちなみに「ムンク・ディベート」という名称は、私財を投じてこのディベートを開始したカナダ人実業家、ピーター・ムンク (Peter Munk)の名前に由来します)

2008年に第1回目が開催されて以来、既に25回ほど行なわれており、その時々のディベートをベースにした書籍も何冊か刊行されています。そのうちいくつかは、日本語にも翻訳され出版されています。
たとえば以下の2冊の本も、「ムンク・ディベート」をベースにして刊行された本の日本語版です。


小社の本も、同じ流れで出版された英語の本を基にしていますが、英語版をそのまま翻訳するだけでなく、日本語版オリジナル・コンテンツとして、解説を巻末に収載したものになっています。

なお、元のディベートの動画はここにあり、

無料登録すれば、視聴できます(英語)。

ただし、このディベートに入る前にディベーター4名それぞれに対して行なわれたインタビュー(書籍では第1章に収録されている)は、上記では見ることはできません。

連載の概要説明が少々長くなりましたが、次回から、本文を公開していきます。
興味を持っていただけましたら、お近くの書店やAmazonなどでお買い求めいただけるとうれしいです。

連載第2回へ進む


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