"成田悠輔「アナーキズムは中学生メンタリティ」暮らしで実践する男性と考える" を考える

https://abema.tv/video/episode/89-66_s99_p3940

 面白い番組だから観て。成田悠輔・あおちゃんぺ・紗倉まな・平石直之がアナキストの「みく」さんに次々疑問を投げかけていくスタイル。私は、スタジオの「イラッ」とした空気、出演者たちの釈然としない表情がよく理解できる。

成田「行政サービス受けないって、どういう感じですか。道とか歩くのも行政サービスなんですが」
みく「できるだけ役所に行かないとか」
成田「ソフトな感じですね」
あおちゃんぺさん「ゆってることわかんなさすぎ。資本主義に抵抗するって、ドーナツ屋さんやってるじゃないですか。売上20万で、老後は心配じゃないですか。老後は『行政のものを使う』とさっき。 めっちゃ思いっきり頼ってますよね」
成田「本当に無支配主義を志向してるのかは怪しくて、既存の国家や企業の提供するものにパラサイトしており、ある意味では、スーツ着てる社会人よりももっと徹底的に依存していて支配されていると思うんですよ」

※一字一句精確な文字起こしではない。

万事こんな調子だ。

 「みく」さんの思想に自立したリアリティを感じない。社会の土台に寄生して、「上澄み」を啜っているように感じる。

アナキストによる国・企業への批判は、暗に国や企業へコミットする「体制内の人々」への批判でもある。そしてアナキストは十分な税金を支払う人々の、「地に足の着いた暮らし」に寄生・フリーライドすることで、リアリティの欠如を補っているかのように感じる。社会の土台にフリーライドし、「上澄み」を享受する感じ。

要するに、親に「遊ぶための金はくれ。でも口は出すな」という「大人の子ども」のように感じる。私は少し、羨ましさも感じてしまう。

※雑コラ

 とはいえほとんど佐々木俊尚・田中ひかるのみが擁護し、みくさんが集中砲火を浴びている構図は気の毒だ。みくさんはアナキズムの代表・象徴として、スタジオの「感情」を集めてしまっている面がある。 

 また「週3日で月20万の売上 、これで最低限の生活費はまかなえる」といった時間・精神的ゆとりある暮らしの希求。島民の困りごとを無償で解決という、コミュニティ活動への志向の価値も理解できる。今の世の中・暮らしにストレスや欠如は必ずあるわけで、その不満自体は否定されるべきものではない。 

 ただしみくさんの語る「アナキズム」を、国家や資本主義への抵抗と捉える自己認識には、大きな違和感がある。佐々木俊尚の紹介に示唆されたが、これはアナキストではない「田舎暮らし」「都会を離れた暮らし」に憧れる人にもよく当てはまるライフスタイルで、古い言葉では「プチブル」の範囲に収まるのではないか。

 最近千葉雅也のサイゼリヤ論が炎上したが、資本主義・国家による疎外を批判する事が、体制の外に出ることではなく、「プチブル」の暮らしから「地に足の着いた暮らし」を批判する(orフリーライドする・搾取する)構図に受け止められる事が、「資本主義・国家批判」の難しさかもしれない。


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