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同人誌装丁2022
昨年は流星群とティアラという字面を並べると、キラキラが止まらない称号を二つ得た。
特に後者に至っては似合わない称号すぎるのと、いま!? とツッコミをあらゆる方向から入れられたけど今なんだよ、今。今ハマった人間もいるってアピールしていくのも重要だと思うんだよ。
ちなみに前者の舞台と風さんのライブは来月。たのしみだね。やることが多い。
以下自分のための備忘録。
(あらすじ:採算度外視、印刷所のHPに記載をされていない紙や加工を依頼、ほぼ毎日本屋に行き気になる表紙の紙を特定するのが趣味の文字書き)
お前じゃないやんけという本が混入してますが、掲載許可はちゃんと得てるんで大丈夫
1.2022/1/22
LULLABY OF CALADAN
(ララバイ オブ カラダン)
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B6/104p/オフセット
印刷所:BRO'S
カバー:WPHOエンボス135kg/4C+金箔押し(150㎠)
表紙:タントN-1 180kg/1C(金)+マットPP
遊び紙:色上質紙 中厚口70kg黒
本文:美弾紙ホワイト+小口染黒
え:むとうさん デザイン:れ〜さん
日本で死ぬほど興行振るわなかったんだけど15回くらい観に行ったし$607 の設定資料集を輸入した。後悔はしていない。
着想→まじで本当に美術方向に全振りした作品かつ原作40年こじらせ強火監督だったので、ちゃんと作品に沿うような美しい本にしたかった。監督と殴り合いすな。小説本というよりも詩集っぽい雰囲気にしたくて、本文用紙はあえてちょい硬め。小口染めもした。イラストの雰囲気も含め美術点全振り。
紙とか→本当はアナログ手触りカバーなし見返しでいきたかった。小口染ってめちゃくちゃかわいいんですけど、PPをしないといけないという制約があったりで、考えた結果表紙を黒の紙にしてカバーをかけて小口を実施。
カバーも本当は、タスクレスENという紙を使いたかったのだけれど、うちじゃそれに4Cは刷れねぇ……と断られた(はじめて)(ほんとすみません)。アナログ感を持たせつつ小口と地続きにしたかったので表紙はタントの黒。
デザイン→椅子にくくりつけて映画を観てもらった結果、イラストのシックな感じにマッチしたSF感を出していただいた最高。そういう映画なんよ。ちなみに各種フォントは映画中に都市の紹介とかで出てくるフォントと同じ。HAPPY
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2.2022/3/27
There is no evil
(悪は存在せず)
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B6/40p/オンデマンド
印刷所:大阪印刷株式会社
表紙: ミニッツGA プラチナホワイト 170kg
遊び紙:色上質 黒
本文: タブロ65.5kg
え: チタさん デザイン: つちやさん
大阪にお手伝いに行くにあたり、わたし誕生日じゃん!! 奥付に誕生日入った本欲しい! とわけわからんこと言い出して、二週間くらいで作った。無茶苦茶なスケジュールにご協力いただいた皆さんの靴舐めまくり。
装丁は本当にシンプル。印刷所のプルダウンから選んだ。ミニッツはいいぞ。タブロも軽くて新聞っぽくて好き。
デザインは大好きな大陸ノワール映画のポスターぽく。中国語のタイトルを副題として入れていたので大陸ノワールつよみ(東リベ前作の流れとして)(あとイラストなんか……そんな感じがしたので本能的に)
3.2022/5/4
63分46秒(あるいは3826秒)
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B6/124p/オフセット
印刷所:BRO'S/ グラフィック
表紙:ミラーコートゴールド180kg+スミ+蛍光グリーン+4Cシール(ユポ紙/広告部)+クリアPP+表2,3/蛍光グリーン
扉:中厚口緑+スミ
本文:ニューバルギー
その他:ゴムバンド締め
え:タベさん デザイン:つちやさん
シール芸とゴムバンド芸という人力を信じた結果、当日お手伝いくださった皆様には多大なるご迷惑をお掛けいたしました。いつもありがとネェ……
着想→まじで二期のビジュアル出る前に作っておいてよかった。パクリになるところだった。とにかく山手線。山手線がキーアイテムなので。あとこの時なぜか蛍光グリーンがブームで、特色蛍光グリーン絶対に使おうと思ってた。作品の雰囲気的に絶対にタベさんにお願いしようと思ってたし、タベさんには蛍光グリーンが似合うと思ってた。すごいぴったりでうれしみ。
イラストは広告部分のシールにしたい、スミと蛍光グリーンを使用するのは最初からお伝えしてあった。ラフ二種いただいて、蛍光グリーンを使う面積が多かったのと単に好きなので引きの画を選択。不穏で最高だぜ。
本当は最初シールで封して破ったら二度と戻らないにしようと思ったけど、それよりも、輪とか切れないという意味でゴムバンド巻くことにした。のちのち脱稿後永遠にピーマンの輪切りを作る羽目になる。人力を讃えよ
紙とか→装丁はシンプル。表2,3に蛍光グリーンを入れるなら絶対にテカらせたくなかったので(インクのテカりは大敵おたく)、ミラーコートゴールド(表は塗工、裏は非塗工)を選択。地続きで扉に色用紙を入れてスミで印刷。
スミと蛍光グリーンで締めながらも、広告部分だけ異和を持たせたかったのでシール芸導入。ユポ紙なのでクリアPPとも触った感じの差が出ていい
デザイン→下地提出型。その後なんかすごいわたしの趣味を120%汲んでくださったデザインを本当にありがとうございますねぇ……タイトル含めゴリゴリに蛍光グリーン入れてくださり本当にありがとうございました。イカしてる
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4.2022/6/4
YOU KNOW SOMETHING?
(ユー ノウ サムシング?)
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B6/128p/オフセット
印刷所:BRO'S
表紙:ルミネッセンス ニュートラルホワイト 220kg+浮き出しプレス+フランス製本+ベルベットPP+表2,3/スミ
扉:中厚口アマリリス+スミ
本文:ニューバルギー
え:サコさん デザイン:れ〜さん
行きの飛行機ずっと原稿しててスイスから入稿した思い出が強烈すぎて本当に限界原稿おたくだったし、フランクフルトのトランジットで短時間でビール飲みすぎベロベロで通販のカート開いた記憶がある。限界。
着想→完全にペーパーバックにしたかった。アメリカの映画なので。いい感じに加工もしたいな。そういうときは洋書が多く取り扱いされている本屋に行くんだ。新宿高島屋の上に紀伊國屋の洋書専門店があってな……? 結果、パチンコの洋書版を参考にさせていただきました。パチンコの洋書版まじでかっこいい
紙とか→ベルベットPPかけると色しずみがちなので発色がいい紙にしたかったかつ、浮き出し加工が目立つ紙を選んだ(つもり)。ベルベットPPかけたら、かなり変わった手触りになってよかった。
イラストいただいた時点でかわいい! 人物に加工しよ! と思って人物部分全部浮き出しにしたら特注凸版になったせいで、「ほんまにやるぞ! ええか!? 見積もり一回出そか?」と印刷所から連絡きたので、「構わんやれ」(三回目)でお願いした。多分次から確認の電話かかってこないと思う。
扉を色紙に印刷ブームで印刷。表2,3印刷はペーパーバックってだいたい表2,3印刷されてるのでそんな感じ。
デザイン→椅子にくくりつけて映画をみせた。それからアメリカの雑誌画像を数点お送りして、大きめのフォントドーンの色使いこんな感じバーンでニュアンスこんな感じがいいですを示しました。映画のポスターっぽくて好き。色使いも2色なのにシュッとしててバランスよくてかっこいい。ラブ
番外編 2022/8/13
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新刊セットディレクション案件。
わたしはあかあむさんのこと詳しくないのですが、推しカプの思い出が生半可な覚悟でみれると思うなよ……? という気持ちでご提案。封筒を破いて開けないと本とノベルティが見れない。鬼って言われた。
Fe○Exパロディステッカーの記載内容は、DCに関連する数字とかでできてる。めちゃめちゃ調べた。つちやさんがきれいに整えてくれました。
まじで大手のサークルさんにやらせんな案件なんですけど、本当にお付き合いくださった皆さまとサコさんThank you love……。
5.2022/12/24
Everyday Chemistry
(エブリディ・ケミストリー)
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B6/184p/オフセット
印刷所:BRO'S
カバー: WPHOエンボス135kg+黄色箔50㎠
表紙: ファーストヴィンテージオーク170kg+1Cシアン
見返し/遊び紙: 色上質紙中厚口うす水
本文: 美弾紙ノベルズ
その他: スピン藤色
え:水さん デザイン:つちやさん
たぶん過去最高にやりすぎ。市販の本とやってることほぼ同じ。
着想→「Everyday Chemistry」(異世界から持ち込まれたビートルズの新譜)はもともとどこかで書きたい題材だったので、いまや! これや! となって書いた。呪術のはなしでビートルズ使いがち。
群像劇という時点で水さんに絶対にお願いしたくて、自分の欲望に正直に見開き一枚の大きな画が拝見したかったのでカバーで依頼。雰囲気的に、海外のペーパーバックではなく日本の本屋にあるソフトカバー本(原作は海外だけど、日本語に翻訳されたもの的な)に寄せた。
紙とか→これまじこれ死ぬほど悩んだ。竹尾に二回くらい駆け込んだ。王子のショールームにも行って引き出しを開け紙見本を片っ端から抜いてきた。
実はデザイナーO氏にアドバイスを求める機会をもぎとって(お前はなにをやっているんだ)、王道にヴァンヌーボとかラメ入った紙がいいかもといただいて最後の最後まで悩んだのだけれど、イラストいただいた時点で抱いた「絵画みたい」という第一印象を優先した。
表紙は1Cと決めていたのでクラフト紙。見返しはタントと悩んだけど、本を硬くしたくなかったので色上質紙にした。
デザイン→イラストを邪魔しないようなデザインにしましたとのこと。折り返しにトラックリスト書かれてるのオシャレ〜。
箔のところ超絶天才。透過性がある箔のため、その特徴を活かしたいですねああでもないこうでもないと相談していたところ、じゃあイラスト側の白抜き調整すればいいんじゃない? とご提案いただいき、上手くいって箔の透け感も出た。ヨッッつちやさん天才!!
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年明けに188ページの本をすぐ脱稿したので、なんかもう2022年作ったのは実質7冊の感じで今、一年半振りくらいに原稿から離れていまスンてしてます。
2022年は装丁も中身も挑戦ができたかつ、技術的な成長を感じられてよかったです。継続は力なりを実感。
改めてご助力くださった皆さんたちには感謝しかありません。ほんとにね、わたしは紙触ってため息ついてるだけなのでほんとに。
2023年も満足のいく本作っていきたい所存〜。