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ブサ猫転生は幸せか?


ライトなBL? AIブンチョウっていうサービスがあって、何か文章を書いたら続きを書いてくれるっていうからやってみたけど、何か気に入らなくて結局全部自分で書きました。
最後の一行だけAIです。


 僕はある日目を覚ますと一匹の猫になっていた。とてもまん丸でブサイクな太った猫だ。
 僕は傾城と呼ばれるくらい絶世の美少年だったのに、どうしてこんなブサイクな生きものになってしまったんだ。
 まあでもこれはこれでいいか! あまりに美少年すぎて男女問わず惚れられて追っかけ回されていたから、そろそろ飽き飽きしていたし。
 実は僕は異世界からここに転生してきた。最初は凄い美少年になったから嬉しかったけど、さすがに毎日口説かれて持ち物を奪われて、平穏無事ではいられなかった。その僕は今度は猫に転生したんだろうか。
 そして僕がいたのは見知らぬ邸宅の出窓に置かれた猫ベッドの上。つまり飼い猫だ。餌をもとめて流離ったりしなくていい。ラッキーじゃん。
そう考えながら伸びをすると、毛並みは真っ黒で長くてモフモフしているのが分かった。ブサイクだが毛並みは悪くない。太っているのもこの家で甘やかされて暮らしている証拠だ。
これはのんびりぐうたらライフの始まりではないか。そう思った僕は猫ベッドから降りて華麗に着地しようとした。けれど猫の目では予想外に高さがあるように見えて──足が竦んだ。実は僕は高所恐怖症なのだった。
そこへ小さな足音が聞こえてきて十歳くらいの女の子が入ってきた。
「まあ、ジュヌビエーブちゃん。目が覚めたのね」
猫の記憶を辿ってみると、彼女は僕を飼っている家の主人の一人娘、リリアンだ。ジュヌビエーブって……僕はメスではないんだけど。えらい大層な名前をつけられてる。
リリアンはとても優しい女の子だけれど少し変な子だからしかたない。
「あなた二日も眠ったままだったのよ。そんなにショックだったの? アリエス様のところに行くのが」
そうだった。リリアンの婚約者のアリエス王子が僕のことを気に入ったから飼いたいと言い出して、リリアンがそれを告げてきたのだ。
 いや、だって嫌に決まっている。アリエス王子といえば、僕が人間だったときにしつっこいくらい追っかけ回してきて、デートしようとか付き合おうとか言ってきたあいつじゃないか。婚約者がいたなんて知らなかったけど、どっちにしてもアウトだろ。
 猫の時でもアリエス王子は何かにつけて構ってきて、何か嫌な感じの目を向けてきたのだ。何をされるのかわからない。とにかく、あの男に関わるのは御免被りたかった。何か酷い事されるに決まっている。
「アリエス様はとてもお気に入りだった方がずっと学校を休んでいらっしゃるから落ち込んでいらっしゃるの。だからあなたが元気づけてくれれば嬉しいわ」
 リリアンはそう言って僕の背中を撫でる。
 ……休んでいる? 僕は死んで猫になったとかじゃないんだろうか。
 そうだった、思い出した。
 僕は事故に遭って、気がついたらここにいたんだった。例によって僕は上級生に追っかけ回されていて、逃げているところにアリエス王子に出くわして、慌てて方向をかえようとして階段から落っこちたんだ。
 だってどうせあいつだって僕を追っかけ回してくるに決まってるんだから。
 そこへ慌ただしい気配がして、侍女が王子の来訪を告げてきた。大きな猫ケージを抱えたアリエス王子が入ってきた。背が高くてあいかわらず腹立つほどのイケメンだ。ただし僕を追いかけ回して口説いてくる変態だが。
 リリアンもこんな男さっさと見限って婚約破棄したほうが幸せになれると思う。
「リリアン。早速子猫ちゃんを迎えに来たよ」
 僕はぞっとした。王子が僕につけたあだ名が「子猫ちゃん」だった。今のこの猫はどう見ても成猫だっていうのに。しかもなんかアリエス王子、興奮した様子で鼻息も荒い。何に興奮してるんだお前。その顔はリリアンに見せていい顔じゃないだろ。18禁だ。
「まあ、アリエス様」
リリアンが驚きの声をあげる。そりゃそうだ。アリエスは僕が絡まなければ完璧で立派な王子様なのだ。
「そんなにジュヌビエーブちゃんのことをお気に召していらしたのね」
「ごめんね。リリアン。僕は不実な男だから。婚約者の前でジュヌビエーブに愛を囁くのを許しておくれ」
「ええ。かまいませんわ。私はアリエス様が誰かと愛し合っているところを壁紙になって眺めているのが好きなんですもの。禁断の愛ならもっと素敵。お気に入りの男性のお話を聞くのも楽しみでしたわ」
 いやいやいやいや。リリアン、君もなかなか変態さんだな。十歳にしてどこぞの腐女子みたいなことを言わないで欲しい。
 ていうか、アリエス王子、お前、僕のことを婚約者に話してたのか。なんでそんな不実なこと話しちゃうわけ?
「ごめんね。彼のこともちゃんと愛しているんだ」
「まあ、愛多き殿方って素敵」
 いや、リリアン、それは間違ってる。男の趣味悪いぞ。
 僕は慌ててリリアンの腕の中から飛び出そうとした。けれどいかんせん、この身体はリリアンに甘やかされたデブ猫だ。機動力はすこぶる悪い。床にべしゃっと落っこちた。その首根っこをアリエス王子の大きな手が掴む。
「じゃじゃ馬だねえ……猫なのに」
 そう言ってケージの中に放り込まれる。
「では、リリアン。首尾はまた報告するよ」
 アリエス王子はにっこりと婚約者に笑いかける。そして馬車に向かう途中でケージを覗き込んできて。
「やっと君を手に入れたよ。子猫ちゃん。どんな姿になっていても僕にはわかるからね。可愛がってあげるからね」
 こいつ。ヤバい奴じゃん。全部わかってるのか。ってことは僕はこれから……。
 無理無理無理無理。誰か助けてくれ。僕はできる限りの声で助けを求めた。
 ふぎゃー!! (了)

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