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浦井が一人と「話」が三つ

2021年11月19日
男性ブランコ浦井さんのライブ
3名の脚本家による3つのお話を、浦井さんが一人で演じていくライブです。
配信で鑑賞。アーカイブが当初の予定より一週間延び、嬉しい限り。またまた毎日鑑賞。本当に幸せな時間でした。アーカイブも終わったことで、ゆっくり感想をしたためたいと思います。ライブ後のアフタートークライブでの感想も少し織り交ぜています。

【オープニング】

真ん中に浦井さんが座っている。改めていい声だな。浦井さんが座っているだけで、なんだか落ち着くな。静かにこれから始まる期待感が沸々。3色のライトが混ざって真っ白な浦井さんが、どんな色に染まるのか。その中でもちゃんと笑いをとっていたのはさすがです。

【素直になれない僕の四季】作:マツモトクラブ

日頃なかなか素直になれず、そのせいで孤独な独身生活を送っていると思っている男性の春夏秋冬のお話。最初、電車を待っているシーンで、台詞を発することはなく、浦井さんの声でのナレーション台詞。本当に心地のいい声。台詞を言わない分、居方や表情などでの表現が求められるところだと思うのですが、これを自然とやってのけてしまう浦井さん。冒頭から浦井さんの表現力の凄さを見せつけられました。本当に表情や仕草のひとつひとつが素晴らしかった。そして、お話の中にでてくる、女性と中華料理屋の店主(おそらく外国人・・・笑)の声も浦井さんが担当。ちゃんと分け切ってますね。すごい。
この作品は、自分の気持ちを素直に言えない哀愁が漂っています。私も、自身のことをきちんと発することが苦手で、つかなくてもいいつまらない嘘をつくことが多く、すごく共感できたこと、そして台詞がとても美しくて、その世界観にどっぷり浸ってしまいました。
その中で、男性ブランコのコントでは到底お見受けできない、ちょいと大人なワードも!その場面について、アフタートークで浦井さんが、笑っている人半分、えーって人半分。それが心地よかったと仰っていましたが、私は笑っている一人でした。マツクラさんはそれを言わせたかったと仰っていましたね。男性ブランコのコントと違う一面を見れたのも、とても嬉しかったです。
そしてお話の最後は、ある女性に告白できたのですが、そこに至るまでの心の移り変わりを、見事に、そして哀愁を漂わせながら演じていた浦井さんに、本当に惹き込まれていきました。

【幕間】What  is  Urai?

幕間は、浦井さんのプロフィール映像でした。
まだまだ新参者の私にとって、この映像はとても嬉しい!
え~!そうなの~!?と画面に突っ込みながら、にやにやしながら見ていました。

【幅】作:此元和津也

ライブ前のTwitterで、一枚のイラストが載っていました。そのイラストがとても素敵で期待感がものすごかったです。イラスト一枚一枚の浦井さんの表情がとても素敵で面白い。このイラストへの、浦井さんと妖精大図鑑の飯塚うなぎさんによるアテレコという形で、お話が進んでいきます。主人公のケンジは、恋人にプロポーズをしている瞬間に車に轢かれてしまいます。その時に、イラストから舞台上のお芝居に場面が転換しました。設定がすごすぎる!閻魔様的な人の部屋に飛ばされてしまったという展開で話が進みます。恋人とも不思議なことにビデオ通話ができるものの、部屋からでることができず、そのジレンマや苛立ちの表現が伝わってきました。
その後わかったこと。ケンジはもともとは漫画の世界という二次元の世界の人物で、もともとの世界に戻るか、この世界にとどまるかと二者選択を迫られます。恋人は、どうやらきれいな顔のケンジとの新しい道が始まりそう。このケンジの顔が、なんとも言えないきれいなお顔なのですが、なぜかにやけてしまう。ケンジは結局、恋人のいる世界へ戻ることを選びます。その時の独白が、本当に切なくて。設定がすごかっただけに、いろいろと考えてしまいました。まさか最後に、閻魔様的な人が登場するとは思いませんでした。想像と違った!けど面白い!

【幕間】What  is  Urai?
再度のプロフィール映像。またまたにやけるお時間です。
もっと知りたいわ。

【東京の話】作:ワクサカソウヘイ

夜。東京タワーが見えるオフィス。そこへ一人の男性が現れる。
すでにいた神田くんを見つけて、話し始める。
この作品はこれまでの2作と異なり、完全なる一人芝居です。おそらく一番難しいであろう作品だったのではないかと思いましたが、やはり見事ですね。アフタートークでマツクラさんが、途中イッセー尾形さんに見えた(話の前後ちょっと省いています)と仰っていました。私、イッセー尾形さんがとても好きで、以前コンスタントにやられていた一人芝居を毎回観に行っていました。
一人芝居なんだけど、一人ではないんですよね。そこに神田くんがいるし、オフィスからお寿司さんに場面展開するシーンもちゃんと、そう見える。そしてそれを、さらっとみせてしまう。この浦井さんの表現力の素晴らしさに、ただただ感動していました。浦井さん演じる高輪さんは、一週間前に亡くなっていて、幽霊となって思いを寄せていた神田くんに会いに来ていたのでした。その設定だけ掻い摘んでみると、悲しすぎるお話なのですが、なぜかそうは思わない。それはお話の中の、神田くんと高輪さんのおしゃべりのエピソードが面白くて、そうは思わなかったのか。はたまた浦井さんの自然たる表現力の賜物なのか。なんだか心をくすぐられるような、でも切ない感情でいっぱいになりました。
それと、私は神田くんは男性だと思ってみていて、それでいろいろ感じた思いがあったのですが、あとからいろいろな人の感想などを見ると、神田くんは女性だったのでは?という感想が多々ありました。はぁー、なるほど!!と思いましたね。そういうこともあるのか。後日、浦井さんのスペースにワクサカさんとマツクラさんが登場してお話されていたのですが、それは観た人に判断をお任せしましょうと。なので、配信期間は女性と思ってみたり、男性と思ってみたりして、違った見方ができたことがとても面白かった。作り手の方が、観客に判断をゆだねてくださるのって、すごくうれしいのです。個人的な思いなのですが、私は設定をあれこれ妄想するのがとても好きです。男性ブランコのコントがまさにそうです。いろいろと妄想して、その中で再度観ていくのが好きなので(ちょっと変ですかね・・・)こういった考えをもってくださるのは、とてもうれしいです。このお話の最後の高輪さんの台詞。「よそう、夢になるといけないから。」これは芝浜かな?と思いました。この台詞の浦井さんもよかったなぁ。アフタートークでもこの話は触れていて、落語を随所に入れていたそうで。あたったことがまたうれしかった。
途中、浦井さんのキスするお顔が見れた・・・。これには私、お恥ずかしながら、ときめいてしまいました・・・。
あと、本当に最後の最後のお背中の切なさと、紙飛行機が合いすぎていて、涙が滲んでしまいました。

【エンディング】

本当にどの作品も見た目は浦井さんだけど、すべて全くの別人。
エンディングでそこにいたのは、その三者三様の浦井さんではなく、男性ブランコの浦井のりひろさんでした。
てんどん記のチラシが、浦井さんの目の前に落ちていたことに驚く浦井さん。なんともかわいらしい。
そして、相方・平井さんのコントライブが明日あると触れている浦井さん。
どこまでもコンビ愛を感じ、とてもうれしくなりました。
最後の声の裏返り。マツクラさんに突っ込まれていましたね。突っ込んでくれてよかった(笑)


どの作品も世界観が本当に素晴らしかったです。それぞれ全く違う世界観なのですが、どこか共通のするものがありました。それは落語だったり、死生観だったり。それも素敵なことでした。そしてそれに見事にこたえている浦井さんに感動しっぱなしで、平井さん曰く、100のやりたいことを120で返してくる浦井さんの表現力の凄さ、それも大げさではなく、あくまでも自然にこなせること、本当に素晴らしいと思いました。ますます浦井さんに惹かれていっています。

そして全体の音楽がとても好きでした。作品の中の音楽や幕間の音楽、どの音楽も共通して心地よくて、音楽でも心を揺さぶられたり、和んだりできたのもよかったです。

マツクラさんや此元さんが月一でやりましょうと仰っていましたね。
月一は難しくとも、またぜひ浦井が一人、やってほしい。
願わくば、平井さんの脚本が見たいな。

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