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初恋ハラスメント見た(ネタバレもあり)

結局のところ、誰向けの作品だったんでしょうかねこれは。

ドラマ本編前に流れてた、特番調の画面の隅っこで暴力を受けてる菅沼さん(本当だったら放送事故だよ)が映っているのは、ミステリものやサウンドノベルゲームのヒントや証拠探し的には少しだけ興味深かったです。

作中でもドラマ内のリアル(特番の事故映像や菅沼さんの霊障など)でも、パワハラシーンはただひたすらに心が痛かったですし、全く怖くないと評されている菅沼さんの怨念で画面が歪んでゆくところは、反撃も戦い方も知らない幼子の足掻きを見せつけられているようで辛かったです。

戦い方も怖がらせ方も何も知らない(センスがないと言えばそれまでか)精一杯の霊障が滑稽に見えてしまうのが、本気に見てもらえないのがただただ悲しい。

勧善懲悪でもなければスカッとするようなざまぁもない。
(主犯の監督や出演者や裏方全員に対して、霊障にありがちなケガとかの事故も起こってないんでしょきっと)
しかも「映像にちょっと変なもの映っちゃいましたテヘ」という感じで「除霊済みの動画もあげますね」というのが、菅沼さんの怨念を全て無駄にされている感が悲しい。

お母さんいつも言ってるよね。投げっぱなしはやめろって。
このお話を見てどう感じたか、皆様思い思いの感想も考察もあると思います。沢山作品と心の対話をしてみてください。的な。

あれはあくまで作品が名作であり「終わるのがもったいない」「まだこの世界の余韻に浸りたい」「別の視点で見えるものがあるかもしれない」ってぐらい、縋りつきたくなるぐらい作品に魅力がないと湧き出ない感情なんです。

昔ルーブル美術館や英国博物館に行った時は、自分も時間の許す限り作品と心の対話を繰り広げましたよそりゃ(二度と行けないかもしれないしね)
本作に関しては「お前(作品)と何を語ることがある?」という感じ。
私の感想は「ただただ悲惨だった」の一言に尽きます。

……それはそれとして。小宮氏だけはパワハラにかかわらず、傍観者ポジションだったんだろうなというのは、作品の端々にあったかなと思います。
ヒロインに対しては全力で邪魔してやろうという気概が見えますが、彼の登場シーンでは、比較的話の邪魔しないように遠慮どころか配慮すらうかがえる。

いじめもからかいもしなかったけど、傍観者に徹していた小宮氏に対してまで、憎しみに囚われた菅沼さんは「助けてくれなかった」「見て見ぬふりだった」と怒りと恨みの念を向けてしまったのかもしれないですね。

自分の心が平和なら、少しでも余裕があれば「自分だって怖いし見て見ぬふりをするかもしれない」と考える余地も出てくるかもしれませんが、追い詰められた彼にはそんなものはもうなかった。

……小宮×菅沼のスピンオフが出るなら、DVD買います。

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