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はじめに。


青春モノクローム

生まれ育った三重から京都の大学に進学し、その後東京に出てきて20数年が経つ。今年50歳を迎える。

それなりに何かあったような気もするが、結婚と葬式以外特に覚えておきたい出来事もなく、上を目指すでもなくどん底で喘ぐでもなく、ただぼんやりと生きている。

青春という言葉はそれを遠く過ぎ去った者にしか価値がない、と言ったのは誰だったか。正鵠を射た言葉だと思う。

ただ、私はビルドゥングスロマンの一片のように自分の青春を甘く切ないものとはいまだに思えず、だからと言って黒歴史などと矮小化して笑ってしまうこともできない。

旧友と10数年ぶりに再会し酒を飲み、ああ学生時代はあんなこともあったねえ、とみなで遠い目になっている間、私はそれが今もなお自分の中に強く刻印され過去として切り捨てられていないことに気づいた。

それは成長していないということだろうか。
他人から見ればそうかもしれない。
しかし私自身はちょっと違う気がした。

40代に入ってから「青春モノクローム」のサイト名で10、20代の頃の自分とその周辺を散文詩のように絵や漫画、ポエムで描き始めた。
既にそれも10000ページを超え、なおも毎日同じ場面、同じ青春を描き続けている。

この執着は一体なんなのか。
サイトを更新しているとあまりに独善的なポエムになってしまうため、
この辺で少し客観的に考えてみる時間を作ろうと思った。

時々こうして言葉に向かう時間を作ろうと思う。

2023.12.17


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