世界でひっぱりダコの半導体(1/2)

コロナ禍の中で半導体不足が話題になっています。

半導体は、あらゆる電化製品で使われている装置です。電化製品の機能が高度化するにしたがって、ニーズがどんどん増していて、ぼくたちの周りにあふれているものですが、いったい半導体とは何なのか?どんな機能を果たしているかは、正直ぼくもよくわかっていません!

なので、この記事では半導体について、勉強しながら、解説していきたいと思います!

そもそも半導体とは?

半導体の名前の由来は電気の通しやすさに由来します。電気を通しやすい物体を「導体」、電気を通さないものを「絶縁体」と呼びます。

前者は、電線によく使われるような銅、アルミニウムや金銀などの金属が該当しますし、後者はゴムやガラスが含まれます。意外なことかもしれませんが、実は不純物をまったく含まない純水も絶縁体です。水に食塩などの物質が混ざるとイオンが電離してプラス極とマイナス極ができて、よく電気を通すようになります。

ここまで説明すれば、もうわかりますね?そう、「半導体」とは、導体と絶縁体の中間、絶妙な感じに電気を通す物質のことです! とざっくり行ってしまいましたが、ようは導体と絶縁体の両方の性質を持っているということです。温度によって電気の通し具合が変わるので電流の制御に都合が良いのです。代表的なものはシリコンですね。

しかし、半導体という言葉は、このシリコン(日本語でケイ素)のような個別の物質を指すこともあれば、それら物質をつかって作られたトランジスタ、ダイオードなどの素子や、この素子が寄り集まって構成される回路を集積したICチップを指すこともあります。

大体ニュースで半導体と呼ばれるものはIC等の加工品をしめしていることが大半だと思います。じゃあ、このICは何をしているかというと、大量の情報を蓄積・処理しています。ICは日本語で「集積回路」と呼ばれます。

回路とは一つ一つの電子部品の繋がりの事を読んでいて、この複数の回路、つまりコミュニケーションをとれる複数の電子部品を一枚の基板(チップ)上に寄せ集めたものが集積回路です。

ここで言う電子部品こそが、コンデンサ、トランジスタなどの素子であり、これら同士が電気的に接続されることで、機能を発揮します。小さなチップ上で電気を増幅したり、演算処理(情報処理)をしたりしているんですね。

そして、このICチップの基盤はシリコン、一つ一つの電子部品はトランジスタなどの素子なので、ICチップのほぼすべてが半導体で構成されている。だからこそ、現代では一般的に半導体といえばICチップのことを指しているわけです。

ICチップは、大量のデータを記録したり、大規模で複雑な処理を行ったりする電化製品の頭脳として機能している重要なものです。ろいろな種類があって、プロセッサ、メモリ、GPUなどはPCを触ったことのあるみなさんにはなじみ深い半導体で、身近にあふれてますよね。

なぜ半導体不足になっているの?

新型コロナウイルスによるパンデミックをきっかけとして、半導体不足が加速しているといわれています。

じゃあ、どういう理由で半導体不足になっているのでしょうか?
実は、コロナ禍は直接的なきっかけではあれど、それだけが理由ではなく、長年続いてきたトレンドが蓄積した結果として問題が表出してきただけです。

そのトレンドとは、「半導体需要の急増」、「米中貿易問題」、「投資効果の不全」の3つです。

①半導体需要の急増
すでに述べたように電化製品の機能の高度化、スマートホーム・スマートシティ化の進行、(自動運転をはじめとする)自動車における半導体重要度の高まり、また5Gの普及やクラウドコンピューティングの継続的な成長等の新技術の進化を受けて、世界的に半導体のニーズが急激に高まっています。

そのことによって、従来の生産体制・生産量ではニーズに応えきれなくなりつつあるという事が半導体不足のひとつの要因です。

②米中貿易問題
さらに2017年頃より度々行われてきた米中間の衝突が激化し、2020年に米中貿易戦争として表面化したことも、半導体不足を加速する要因となりました。

世界の電子機器・半導体の約90%を中国の塩田港を通して、世界に輸出されています。また半導体の生産に関する生産量も対全体生産量比率で、中国は15%強を占めていました。

そして、2020年に米国が、中国からの輸入品に対する関税を高めることに決めた結果として、中国から米国に対する半導体の輸入量が大幅に減少しました。半導体に係る市場規模として、米国は世界の55%を占めています。この巨大な米国での半導体ニーズを満たすために、米国が他国から半導体の輸入を増やしたことによって、世界の半導体ニーズに対するバランスが崩れ、世界的な供給不足を引き起こしたと考えられます。

③投資効果の不全
(増産体制・体制拡充のための投資不全と生産調整困難性)

半導体の生産体制の確立には、莫大な資金と非常に長い期間が必要になります。製造する半導体の品質・性質にも依存しますが、一般的には、工場を建設し、フル稼働まで持ち込むためには、1700億円~5400億円程度の資金注入が必要で、12~24か月の時間が必要と言われています。

このような背景から、突然需要が増加した場合あるいは減少した場合の対応(生産調整)を即座に行うことはむずかしく、中長期的な目線での戦略的な投資を必要とする特徴があります。

しかし、COVID-19感染拡大によるパンデミックで、急激な需要の変化が起きました。具体的にはお家需要やリモートワーク急増によるデバイス類のニーズ増加が起きた一方で、自動車等の高額・高度技術製品に対する買い控えを恐れて自動車メーカー等が、自分たちの製品につかう半導体の注文を一気に絞りました。

このことによってほとんどの半導体メーカーが、自動車等の産業製品でなく、PC等の民生品に用いる半導体の生産へと一気に方向性を転換しました。その結果、こんどは自動車等の産業製品向けの半導体が不足するようになり、需給のアンバランスが加速しました。

さらには災害的・地政学的なリスクも見逃せません。

災害的という側面では、日本のルネサス社は世界の自動車用半導体の1/3を製造していますが、この工場が火災により生産を中止し、アメリカのテキサス州では大規模な半導体製造工場が歴史的な大寒波によって停止に追い込まれました。加えて、台湾では深刻な干ばつがおき水が不足しました。半導体の製造には大量の水が必要なため、生産量が大幅に減じてしまいました。

さらに上で述べたような、米中貿易摩擦、中国と台湾の政治的摩擦など世界の半導体製造の中心地がことごとく分断される結果となりました。

これら①②③は、ここ数年続いてきた長期的トレンドです。これに新型コロナウイルス感染拡大によるパンデミックが、モノやヒトの行き来を遮断し、生産体制の崩壊、物流の停滞を引き起こした結果として、①②③の負の面を促進し、一気に世界的な半導体不足の状況を作り上げたのです。

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さて、ここまでで半導体に対する基本的理解と半導体不足の原因について、まとめてきました。

半導体はよく聞く言葉でしたが、改めて勉強してみると知らないことが多くて新鮮ですね! 次回は、半導体不足に対する対策を歴史的な背景を踏まえて考察していこうと思います。

よろしければ、またご覧になってください!

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