はじめての面接。『熱のあとに』観た。

東京。

留学が終わって燃え尽きている中、締切前日の夜から書いたESとWeb提出課題がなぜか通り、面接に行くことになった。

新幹線は「線路内に立ち入ったお客さまとの接触」で遅延。改札の前でスーツの人たちが立ち往生し、丁寧な言葉で電話していた。

「なんで今日なんだ。」と思ってしまった。きっと珍しい出来事じゃない。だるいな、とか思う日が来る。立ち入ったお客さまに思いを馳せる人間でいられなくなったのは、いつからだろう。

私の新幹線は20分ほどの遅れて出発。着いてからはもう人人人。電車の中でも人人人。大量の生ものに囲まれて、吐きそうだった。私も限りなくその一部だった。

ホテルで一泊して翌朝面接会場に行った。今日は簡単な性格診断と面接が1回あるらしい。トータル1時間もかからない選考のために、丸2日かけた。

性格診断ではFかMか記入しなければいけない欄があった。採用後部署配属の参考にするためと書かれていたが、なんの参考になるんだろう。僕は身体が急激に熱くなったのか冷たくなったのかよくわからなかったけど、身体の中からわき起こる何かを抑えて空欄にした。

回収される時、明らかに監督者は名前を記入しているかチェックしているらしかった。性別欄のことを聞かれたらどうしようかと考えたけど、何も言われなかったのでホッとした。

その後、順番に番号で呼ばれて面接部屋に連れていかれる中、私が前の子たちを差し置いて先に呼ばれた。内心性別欄のことだろうかと考えて焦ったが、それぞれ担当の面接官が決まっているらしく、偶然面接時間の短い面接官に当たったらしかった。

もう性別欄のことでかなりどうでもよくなっていて、私は楽に対応することができた。「自分らしい服装で」とのことだったので、安心する身なりで挑めたからというのもあったかもしれない。まあ面接のことはもうどうでもいい。

もうその後は道に人間ばっかり歩いててもう気分が悪くて、前日予約していたloneliness booksに急いで向かった。初めて利用したが、これが良かった。たったひとりでアパートの一室に構える本屋を満喫した。穏やかな店主の方が美味しいお茶を出してくれて、あとはほっといてくれて、本棚の本を片っ端からじっくり眺めた。

ずっと読みたかったZINEを数冊手に取ったあと、机の上に置いてあった友人と暮らす日々の記録をまとめたエッセイ本を読みながらお茶を飲んだ。私が廊下のクィアコーナーをうろうろしすぎて少し冷めていたけど、声をかけずに私の居場所をとって待ってくれていた店主の優しさを感じた。

エッセイ本も含めて5冊購入。この頃にはかなり気持ちも落ち着いていた。フェミニズムに関するZINEが多め。やっと息をすることができた気がした。

16時。次は電車の中で調べてちょうど良い時間を見つけていた、『熱のあとに』を観に新宿武蔵野館へ向かう。前々から観たいと思っていたやつ。

その前にお昼ごはんを食べていなかったことを思い出し、コンビニを探す。都会のくせにコンビニが見つからない。やっと見つけたファミマでおにぎりを買って、食べながら映画館に向かった。

『熱のあとに』鑑賞。セリフの多い映画だったけど、特に響かなかった。

「愛」を大きなテーマにしている中で、キスやセックスの描写がひとつもないのが私にとっては現実的に受け入れられた(実際にはキスシーンが一度存在したが、愛情表現の意ではない)。愛の表現を、一緒に死ぬこと、もしくは生きること、見つめ合うことでなされていたのが、私にとっては最も現実的だった。愛情から人を殺害する人間に対して、セックスなどもはや何の意味も持たないということなのだろうか。

あとは、はじめのホストの死(んでないけど)のシーンで、沙苗が深く深く煙草を吸って吐くのが、目の前の惨状から愛(の完成もしくは終わり)を味わっているようで良かった。スプリンクラーから水が降ってくるのも、後からすれば熱が冷めていく(?)のを表現しているように感じられた。

なんだか、長いミュージックビデオを見ているような気持ちになった。特に最後のシーン。

映画館を出た後は、街の景色が全く違ってみえた。自分含め街の人みんながこんな映画のエキストラだと考えたら、なんか耐えた。

でもとにかく東京には住めない。てか働けない。何を一生懸命生きようとしちゃってるんだろう、とか考えてきた。また良くない思考。わかってる。わかってるけど、抜け出せない。てか普通にきつくて吐きそう。もうすぐ新学期がはじまって人間がうじゃうじゃいるとこに行かなきゃいけないってのも吐きそう。

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