グランドブタペストホテル

ウェス・アンダーソンの「グランドブタペストホテル」DVDをamazonで買って、見た。
エレガントなピンクの城が、険しい山の頂に建っている。レイフファインズ演じる、ホテルのマネージャーは、お金持ちで孤独な超高齢のマダムを慰める役だ。
軽薄で繊細、人情家で厳格、粗野でエレガントなホテルマンと彼に仕込まれるロビーボーイ。戦争前夜の不穏なヨーロッパの山奥で繰り広げられるウェスの世界にまた引き込まれる。
コミカルな空想世界を紡ぎだして、ときどきゾッとするような不吉で理不尽な社会の姿を戯画化しているところ。舞台が、お菓子のような甘いブタペストホテルであっても、儚い夢のようなひと時にピタリと張り付く孤独や絶望が、ヒリヒリと伝わってくる。
だからこそ、限られた時間に出会った人と過ごした思い出を、なによりも大切に生きてじっと残された日々を静かに見つめる人たちが、この作品に息づいている。

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