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サラリーマンが生き延びる方法

最近、たちばなあきらさんが書いた、『お金持ちになれる黄金の羽の拾い方』という本を読んで感銘を受けたので、その一部分をピックアップして私自身のサラリーマン時代の経験と私の現在の立ち位置を交えながら解説したいと思います。

この本の中ではパート3、人生を最適設計する働き方の章で書かれていた内容を中心に話します。
話の順番としては、
① 仕事の3分類
② サラリーマンとは何者?
③ 日本の労働環境の変化
④ 生き延びるための方策

では順番に話していきます。
① 仕事の3分類
高度なテクノロジーに支えられた知識社会では、私たちの仕事は大きく3つに分けられます。クリエーター、スペシャリスト、マックジョブです。
マックジョブとは誰でもできる代替可能な仕事です。こうした仕事の象徴がマクドナルドの店員でマニュアル通りに作業すれば新人でも初日からベテランと同じハンバーガーを作ることができます。
スペシャリストとは専門家の事で、医師や弁護士、公認会計士、などを言いますが、国家資格を持っていなくても。何らかのビジネスに精通し、その知識や経験にふさわしい報酬を得ていればスペシャリストと見なせます。
クリエイターは、その名の通り、創造的なビジネスに携わっている人たちで、作家や音楽家、俳優や歌手、スポーツ選手などが含まれます。
マックジョブに対してスペシャリストやクリエイターは相対的に高い所得を期待できます。ここでどれが良くてどれが悪いという話ではありません。
スペシャリストの仕事は高給で安定していますが、強いストレスがかかります。マックジョブでは大金は稼げませんが、仕事や人間関係で悩むことはありません。マックジョブは外国人だけでなく、タイで良く見られるような性的マイノリティーのように差別されていたり、人間関係をうまく構築できない人たち社会の中での居場所と収入を与える大事な役割を果たしています。

② ところでここで区分した中にサラリーマンがどこにもありません。
なぜでしょうか?実は日本以外ではサラリーマンという職業などそもそも存在しないのです。これは私も中国とタイで働いてみて薄々感じていましたが、改めて指摘されると衝撃の事実でした。
欧米人に職業を尋ねると、会社名ではなく自分の専門を答えます。
それでも会社名を聞くと、なぜそんな質問をするのだと不審な顔をされます。日本人が先ず会社名を答えてそれから仕事の内容を説明するのとまったく逆です。欧米の労働慣行は人種や宗教などが異なる複雑な社会なので、すべての労働者を公平に扱おうとすると、客観的に明示できる能力や資格で昇進・昇給を決めるしかないのです。それ以外の理由で従業員の待遇を変えると、すぐに差別として告訴されてしまします。グローバル企業は、国籍に関係なく世界中の社員を同一の基準で評価できます。現地採用の社員が現地法人の経営を任されたり、本社の幹部に登用されることも当たり前です。
それに対して日本の会社は、終身雇用・年功序列の日本的雇用慣行によって日本人社員を特別扱いしているので、現地法人の社長は事情も分からないまま本社から派遣されてくるので現地語や英語すら話せないことも珍しくありません。現場の課長がいきなり海外工場のトップに立つ事もザラにあります。現場の事しか分からない人がいきなり経営を任され、結果を出せると思われますか?現地採用では現地法人の幹部にも日本本社の幹部にもなれませんから優秀な社員ほど将来がない事に気づいてさっさと転職していきます。
実態は人事制度によって外国人を差別しているのです。
私が働いていたタイでもそうでした。タイは親日国であり、トヨタをはじめ日本の主要なカーメーカーの生産工場があり、ワーカーレベルにとってはボーナスも多く人気があります。しかしマネージャー以上のクラスになると欧米系の外資系の会社に人気がありました。またタイの優秀な大学生たちの人気の就職先はやはり欧米系で、日系はトップ10にも入りません。自分でも驚いた記憶があります。タイ人を未だに見下す風習が日本にはありますが、優秀な人材は滅茶苦茶優秀なのです、彼らはどの企業が将来性があるかをよく見極めているのです。だから日本人はグローバル市場で戦うためには危機感を持たねばならないのです。当然人事制度も見直さないとならないのです。そのことを未だに分かっていない日本企業が多いのです。
日本会社は新卒で社員を雇い、異動や転勤で様々な仕事を体験させます。
しかし実際はその会社でしか通用しない『企業特殊技能』を学ばせるためです。サラリーマンはその会社でしか通用しない知識や技能を苦労して習得したのですから、景気が悪いからといって簡単にクビになったり給料をカットされたらたまりません。会社としても悪い評判が立つと優秀な人材が集まらないので、年齢に応じた昇給と終身雇用を約束して社員を安心させようとします。さらに日本のサラリーマンは会社に退職金という人質を取られているようなもので、定年まできっちり働かないと正当な報酬を全額受け取れないのです。ですから日本の会社が大学院卒や転職者を嫌がったり、サラリーマンが学歴や入社年度にこだわる理由がよく分かります。年齢に応じてほぼ一律に昇進させるのが年功序列制度ですから、中途採用や年齢の異なる新卒を受け入れると人事制度が壊れてしまいます。
企業特殊技能に対してどの会社でも共通なマニュアル化できる知識を『一般的技能』と呼びます。これはパソコンの部品のようなもので、それぞれの主要パーツが規格化されていれば、海外から一番安いパーツを集めて組み立てればいいだけです。同様に会社が一般的技能で運営されていれば、労働市場で必要な経験や知識・資格を持つ人材をいつでも調達できるのです。
つまりアメリカの会社は一般的技能によって、日本の会社は企業特殊技能によって運営されています。なぜこのようにきれいに二つに分かれるかと言えば、それぞれが安定した雇用慣行だからなのです。
少し話が長くなりました。
さて日本のサラリーマンとは何者なのかを理解できたでしょうか?

③ さて次に日本の労働環境の変化について話します。
ところがいま、日本の労働環境に大きな変化が生じています。
グローバルな競争の中で、日本企業は中高年を中心に大規模なリストラに手をつけざるを得なくなりました。企業にとっては合理的な判断かもしれませんが、サラリーマンにとっては災厄以外の何物でもありません。これまで会社との暗黙の約束で終身雇用と退職金という安定と最後のご褒美と引き換えに安い給料で働いてきたにも関わらず、その約束を一方的に反故にされてしまうのです。日本企業はそもそも中高年の転職をほとんど受け入れませんから、転職の機会は外資系かベンチャー企業しかありませんが、こうした会社は前述したように徹底した能力主義で、標準化された資格などの一般的技能を要求します。日本の会社がこれまでスペシャリストを育ててこなかったのは、社員をできるだけ会社に依存させるためです。また国もサラリーマンが同じ会社で働き続けると税金を確実に払ってもらえるので国の財政が安定すると考えたのでそのような雇用形態をバックアップしてきたというカラクリがあるのです。サラリーマンは給料の30%を国に納めているという事実をご存じでしたか?
社員が高い専門性を持てばどこでも働けるようになって人材への投資が転職という裏切りで無駄になることを恐れたのです。
このようにして日本の会社では仕事の内容にかかわらず、その会社でしか通用しない、自分の専門がない正社員がサラリーマンと呼ばれるようになった訳です。自分に専門性がないため、職業を聞かれたら会社名を答えるしかないのです。中高年は人件費が高くなっていくので会社にとって、コスパが悪いお荷物になっていくのです。経営が苦しくなってくると目を付けられるのが中高年なのです。かつてはサラリーマンの人生は若いうちに苦労して、年を取れば楽になると言われていました。しかし今は年を取るほど辛くなっていきます。中高年のサラリーマンが抱える問題の本質は、労働市場で客観的に評価される一般的技能が欠如している事です。サラリーマン個人を責めても仕方のない事、かといって誰かが救済してくれる訳ではありません。企業特殊技能しかもたないサラリーマンの人的資本は会社を離れるとゼロになってしまいますから、定年後の再就職も極めて難しくなってしまいます。
定年後は退職金をもらって悠々自適の筈だったのに、不況と低成長、またこのコロナのせいでそれが難しくなると、安い給料で元の会社に再雇用してもらうしかなくなりました。現在私もそのような立場で仕事をしています。
会社に言われるままに漫然と働いていると、いずれこうなります。
サラリーマンという生き方は40代を過ぎたあたりから苦しいものになってしまします。幸か不幸か私はたまたまそれに気づいて40代で脱サラする決心をしました。今や多くのサラリーマンが人的資本を枯渇させた状態で労働市場に放り出されています。これが日本の社会を蝕む労働問題の本質なのです。
日本の労働環境の変化について理解できたでしょうか?


④ 生き延びるための方策
暗い話ばかりでやってられませんよね。
ではこの残酷な世界で生き延びるためにはどうすればいいのでしょうか?
目標は明確ですが、実現は容易ではないのです。
方策はあるのです、しかしそれを実行するか否かという話です。
仕事はクリエイター、スペシャリスト、マックジョブしかありません。
会社から見捨てられ、マックジョブで一生を終えるのがイヤならば、クリエイティブクラスとしてキャリアを積む以外に道はない事は誰にでも分かります。

原理的に次の二つの方法があります。
・人的資本への投資によって運用利回りを上げる
・人的資本の運用期間をできるだけ長くする

初めの方法は、資格を取得したり、コミュニケーション能力などのスキルを上げたり、最強の営業力を身に付ければ収入を増やすことができます。
なかなか難しそうですね。
それより確実なのが二番目の人的資本の運用期間をできるだけ長くするという方策です。当たり前の話ですが、長く働けば働くほど得られる収入は増えます。老後問題とは老後が長すぎる事なのですから、80歳まで働ける仕事を持てば問題は消滅し、年金制度の破綻を気にすることもないでしょう。そう考えれば、一番大切なことは楽しく長く働ける仕事を見つける事です。
今までは60歳定年、つまり会社員人生は大学卒業から定年まで40年と区切られていたからこそかろうじて成立する人生設計でした。定年が延長され、80歳まで働く世の中になれば、60年間苦行の人生です。こんな人生に耐えられますか?
2021年4月より70歳就業法が施行されます。働く年月がどんどん長くなり、更に年金は徐々に減額されていくのです。
そう考えれば、超高齢社会の人生設計は、自分の好きな仕事をすることしかありません。私たちには『好き』を仕事にする以外に生き延びる術がない、そんな残酷な世界しか残されていないという事です。

自分だけのニッチを見つけ、人的資本を最大化するスペシャル、つまり専門に特化し、会社に依存せずに市場から富を得る。知識社会に生きるとはそういうことです。しかしこれは、クリエイティブな職業でなければ成功はない、ということではありません。サービス業や建築業、あるいは農業や漁業にも、あなたの『好き』を実現できるニッチな部分はあるでしょう。
人生は有限であり、私たちにとってもっとも貴重なのはお金ではなく時間です。経済的独立によって得られる自由の価値は何物にも代えられません。
経済的独立とは、使いきれないほどの大金を稼ぐということではありません。自家用ジェットを買い、大型クルーズ船を買い、高級車を買うくらいしかお金の使い道はありません。毎日三ツ星レストランで食事をしていては生活習慣病で寿命が縮んでしまいます。
その結果ほとんどの富裕層が暇を持て余しているという調査結果もあります。とはいえこれは限られた幸運な富裕層の話で誰もが楽しく働いて十分なお金を稼げるわけではありません。
経済的な独立を達成して真の自由を手に入れるためには、いつかはリスクを取らなければならないのです。ですから現在サラリーマンの方々は早めに人生を設計しなおしてキャッシュフローを最大化するための道を探し、そこに向かっての第一歩を踏み出して下さい。

私の場合はタイ駐在から日本へ帰任というタイミングで一大決心をして再雇用中の身分に加えてシニアユーチューバーの道を選びました。以前から文章を書くことがそんなにも苦ではなかったのでタイ駐在スタートの時期からブログをやっていました。
ブログの記事を書くことはYouTubeの台本を書くことにも応用できるなと考えた訳です。YouTubeで広告収入が入って来るかは現時点ではまだ分かりません。動画投稿を続けられるのかもまだ分かりません。
とりあえずチャンネル登録者数1,000人を目指して、日々、自分なりの努力をしています。2021年2月からnoteを始めました。
考えるだけではダメです。まずはアクション、実行あるのみです。
どうか現役サラリーマンの皆さん、長い人生です。長い人生を再設計してみて下さい。それが良い方向へ舵を切り、あの時の判断は良かったと思えるようになることを切に願っています。

そんじゃまたね!

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