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DVの体験談とまとめ

前記事の毒母話にも少し登場した DVに遭った時の話。

母親の多額負債と、一家離散となったことが原因で住まいを失う直前に出会った人、S氏。

彼(戸籍の性別は女性だが、性自認は男性なので『彼』と表記したい)とはインターネットを通じて知り合った友人(セクマイ)を介して知り合った。

当初、私は彼に対して全然タイプじゃなかったという事と、私には好きな人が他にいた(失恋した後だったけれど)というのもあり、『年上の友達』という感覚で関わっていた。

何度か会っているうちに、家族のことや高校の事を相談するようになり、彼から『住む場所がないなら俺のところに来る?』と言われたことをきっかけに、交際と同棲が始まった。

彼は私より12歳年上の当時29歳。振り返ってみればいい大人の年齢である。交際当時、彼は個人業の配送職をしており、収入はとても良いとは言えず、住んでいる部屋は1Kという狭いものだった。家賃3万円、光熱費、携帯代、食費に加えてギャンブルをする人だったため、娯楽費用が5万円〜は消えていたと思う。10代だった私に『一緒にパチンコ行こう』と誘ってきたあたり、なんかもう色々非常識なのかもしれない。

1、DVの始まりは彼が職を失ったところから始まる。

同棲して半年経った頃だったと思う。委託業で、トラックの運転手をしていた彼が失職した。当然、月々の生活費がかかるため、仕事を早く探してほしかったのだが

彼「俺、男で働けないと無理だから」と言い出した。

今振り返れば、これがDVの始まりだったと思う。その後、私はバイトを掛け持ちした。私が働いて貰ってきた給与を彼が全部使う。通帳に入るお金を全部下ろさせられ、当然のようにお金が消えていった。一緒にお金を使うのだから、当然という考えにさせられたところもあった

これを世では「経済的DV」という。


お金の管理が始まると、次に来るのは行動管理である。

まず、彼は私の家族が嫌いだった。何故あんなにも家族のことを罵倒されたのか、今考えても不明な点ばかりである。

彼「お前の母親はお金にだらしない幼稚な人間」

あんたに言われたくないよ!って話なのだが、この時は当然言えなかった。そんな母親とは連絡を取らせたくなかったらしく、携帯電話を取り上げられた。しかし、自分と連絡が取れないと困るということで、与えられたのはプリペイド式の携帯電話。

プリペイド式なので、お金をいれないと、こちらから連絡を取ることは不可能なもの。

プリペイド式に変わって直ぐ、彼が私に対してやったこと

電話帳のチェックと架電・入電履歴のチェック

これが「行動管理DV」である。

不審なものがあれば全部追及され、答えなければ物を投げつけられ、脅しのような事を言われたこともあった。

これが「精神的DV」である。

仕事時間の開始と終了の時間を彼に聞かれて伝えていたため、仕事の終わる時間になると、彼から必ず架電があるのが日常だった。

ある日、職場の会議で帰宅時間が1時間遅れてしまった日。会議が終わって携帯を見ると、50件近い架電履歴。しかも彼氏・・・。

家に帰ると一言も口をきかないところから始まり、暴言を浴びさせられた。怯えて泣き、謝る私に「心配だったんだ」と宥める彼。私の事を考えてくれていたんだ、と当時考えていた私。

これを行動監視と精神的DV後の「ハネムーン期」という。

交際して1年後、彼はアパートから30分程離れた場所で働くこととなった。私だけが休みの日は、部屋のカギを持たせてもらえなかった。一人で出掛けるのを阻止する為である。

彼が遅番で、私の帰りが少しでも早いと、彼の職場まで自転車を漕いで行かなければならなかった。彼からの命令である。

これを「支配」という言葉以外で表現することは難しい。

二人休みの日には、彼の出掛けたい場所へ行き、夜になるとアダルト映像を観ながら性行為をさせられたり、鏡の前で自慰行為を強要されたこともあった。唯一助かったのは、彼の肉体が男性ではなかったことだけである。

しかし、これは「性的DV」にちゃんと該当する。

彼との関係は2年程続いたが、私は大人になるにつれ、この環境に違和を感じ始めた。母親と連絡を取り合い、相談しようとした事が彼に知られてしまい、とうとう手を挙げられた。

いうまでもないが、これを「肉体的DV」という。

19歳で彼とはさようならをしたが、2年程この繰り返しの生活をしていた。こうしてまとめてみると、自分はDVを受けたんだと認識をするのと同時に、正直辛い気持ちになる。

DVを受けている間は「自分もいけないところがあるから」と思うように加害者からコントロールされることが殆どである。それが被支配と支配の関係性であり、健康的な繋がりでないのは明白である。

DVまとめをここに再度書いてみる。

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⑴精神的DV

暴言を吐いたり、物を投げつける・壊すなど相手が怯えるような行動を取る。「あなたのために言っている」などを言うパターンもある。


⑵行動管理・監視

スマホのチェック、休日の過ごし方を指定してくる・同居の場合、鍵を渡さない事をしたり、被支配者の人間関係を狭くしていく。つながりを強制削除させられる事が多い。


⑶経済的DV

被支配者の働いたお金を搾取する。通帳管理・財布管理、ギャンブルに当てられる等もある。逆に加害者が働いている場合、お金を1円も渡さないなどのパターンもよく見られる行動の一つである。


⑷性的DV

アダルトビデオのような事を強要される・自慰行為を強要される、したくない事をさせられる性行為はDVの一種であると考えても良い。合意がなければ強姦と何ら変わらないのである。


⑸身体的DV

言うまでもなく、暴力である。よくあるのが「自分から手を出した」という被支配者の声。一つの項目で考えるのではなく、DVは幾つかの項目で考えてみることがいい。監視されたり、性的DVを受けている事などが前提にあれば、どちらが被害者かは明確である。


⑹ハネムーン期

加害者(支配者)が、被害者(被支配者)に対し、急に優しく接したり「手を挙げてごめん」など、謝ってくることで、被支配者が「この人にも優しい一面があるから」と気持ちをにポジティブへ動かそうとする事。実はこれが一番厄介で、自分がDVを受けた被害者である認識を持ちにくい記憶になってしまう。

DVで最も大切なのは、周囲の人間が気付くこと・早期発見である。恋人との話で何か辛そうにしていたり、話しにくそうにしていたら、まずは「何でも話して、大丈夫だよ、あなたの彼(彼女)にも誰にも言わないよ」と伝えること。一緒に秘密を持つ事を伝え、その覚悟も必要である。

安心して吐露できる場所がなければ、被害者は自分が被害を受けたことに気づけないからである。

全国的にDV被害者に対する救援措置は存在する。地域の女性相談に電話をすることも良いだろう。(自分の住んでいる地域+女性相談で検索)

私の体験手記が、どこかで誰かの役に立てば良いと思う。

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