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ネタバレ有りのラストマイル感想

容赦のない脚本だなと思った。

私はアンナチュラルとMIU404が本当に好きで、それは日々を真っ当に生きる人々への敬意を作品から感じるからなのだけれど、

今回はなんと言うか、敬意ももちろん感じるけれど、同時に、

「無知や鈍感ゆえのぬるま湯に安住するな」

という強いメッセージを感じた。

知らずにいれば、気がつかない。
気がつかなければ、痛みを感じずに済む。

たとえ気がついたとしても、自分の生活と地続きに捉え、考える人が、一体どれだけいるだろう。
「知ってる人じゃないし」というエレナの呟きは、そのまま多くの人の心の声を代弁していると思う。

けれど、ラストマイルは、観客に傍観者でいることを許さない。
これは、今を生きる私の物語、私が生きるかもしれない未来の物語だ。


「うまく生きること」が正解になることが圧倒的に多い世界で、さまざまな事情でそこから外れた人を見捨てて、あるいは搾取して、それでいいのだろうか。

搾取されたくないのなら、「うまく生きる」ために頑張り続けなければならないけれど、心身をすり減らして、その先に得られるものはなんなのだろう。

「私たちはみんな同じレールの上にいる」
エレナの台詞が重くのしかかる。

生きている限り、人は誰だって社会の歯車の一部だ。この世界は、生きるすべての人たちの日々の営みの上で成り立っている。

その世界の中で、アンナチュラルは「理不尽な死」、MIU404は「理不尽に負けた人が犯した罪」に立ち向かう者達が主人公だった。

では、ラストマイルは?
私たちは、何に立ち向かうべきなのだろう。

どこかに苦しむ人がいて、それがどれだけメディアで取り沙汰されたとしても、自分の生活の便利さを優先する。
自分や大切な人に火の粉が降りかからなければ、痛みに気づくことができない。
見て見ぬふりすらできてしまう。

敵はきっと、誰もの中にある怠惰さだ。

煩わしさを厭わず、隣にいる誰かを思いやる。
理不尽には団結して声を上げる。
そういう真っ当で地道な努力の連続が、世界を明るい方へ進めていくのだと思う。

食べて、寝て、働いて、休んで、立ち向かって。
人生の暗闇に負けないよう、生きて戦い続けよう。
そしていつか、負けそうな誰かが隣にいたら、手を差し伸べられるくらい、強く優しくなれるといい。

曖昧さを置き去りに、世界は変わり続けている。
目を逸らさずに現実を見つめ、地に足をつけて、考え続けていたいと思う。

「次は私の番だ」

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