弱々しい光に魅せられて


応援し始めて、2年が経ちました。


画像4


私は、阪神タイガースの近本光司選手が大好きです。
彼を知ってから、プロ野球にまったく興味がなかったはずが、いつのまにか、時間さえあれば野球場へ行くくらい、どっぷりハマってしまいました。それほどまでに、わたしにとっては特別で、どうしようもなく惹かれてしまう選手なのです。ヒットを量産するプレイスタイルも、俊足と技術でなしえる走塁も、圧倒的広範囲で魅せる守備も。彼が球場で躍動している姿に、今も心を奪われ続けています。


ですが、一番はじめに惹かれたのは、”活躍を見たから”というわけではありませんでした。
なぜ惹かれたのか、それはまた別の記事で可能な限り深掘りしてみようかと思うのですが(?)、とにかく、最初に彼を知ったときは、絶不調期で、30試合連続安打を達成できるような選手には、ほど遠い状態でした。

画像1



惹かれ始めた当初。それは2020年の6月末です。そのころの近本選手は、本当に成績が伸び悩んでいました。当時はまだ2年目でしたし、いつ彼を一軍で見れなくなってしまうのだろうと、私はひとり、本気で毎日心配していました。近本選手が活躍できなかった日は、つらすぎてどうしようもなくて、お酒を飲んでごまかしていました。打てることの方が圧倒的に少なく、スタメンを外れることもあり、毎日苦しかったです。それでも近本選手から、目を離すことができませんでした。時々思い出したように打ってくれるヒットは、ご褒美みたいに思えました。


近本選手が打てなかったとき、自分のことのように苦しく、精神を蝕まれ続けて…それでも、見つめるのをやめられなくて。あの時期は、今思い出しても辛いです。どうして絶不調だった彼にあそこまで惹かれ、感情移入というか執着というか、強すぎる思いを抱いたのかは、やっぱり今でもよくわかりませんが…
もしかすると、もやもやと不透明な視界の隅に、キラキラと光るものが見え隠れして、その歪な光に、無意識に反応させられていたのかもしれません。


忘れられない試合があります。7/22 広島戦。1点差で負けている9回2死2塁。当時の打率は1割台。でも代打を出されることはなく、打席には近本選手が立ちました。そして、同点に追いつく適時打を放ちました。……そのころはスタメンから時折外されており、その日も、スタメンに彼の名前はありませんでした。試合前にそれだけ確認したわたしは、その後の中継は観ませんでした。
翌朝、どうせ昨日も打てなかったんだろうな。そう思いながら一連の結果を見て、驚きました。スポーツ新聞の一面を飾るその姿は、雨に濡れながらも、静かに、輝いていました。

画像3



……この選手はきっとまたこの夜のように、キラキラと輝くときが来る。半ば自分に言い聞かせるようにではありましたが、漠然とそう思いました。そしてそのときが来るまで、どんなに調子が悪くても応援しようと、決めました。


……その後は、皆さまも知っての通り、1番としてレギュラーに戻り、ヒットを打ちまくる、本来の姿を取り戻しました。2年連続で盗塁王を取り、高い得点圏打率で、勝負強さも見せてくれました。あんなに打てずにいた開幕当初とは、別人のように。シーズンが終わるまで、キラキラと、まばゆく、輝き続けてくれました。


見つめ続けて、2年が経った今でも。
わたしにとって、彼が誰よりもキラキラと輝き続けているのは、変わりません。


見つけた頃は、ときに激しく、ときに弱々しく。危うげに、惑わすように、ちかちかと不安定に煌めいていた光は。今となっては、安定した輝きを放つ、穏やかなものに変わったように思います。
ですが、それは当たり前のことではありません。
彼が日々、鍛練と探求を重ね、努力し続けているからです。


いつか、その光が、にぶく、弱まってしまうときが来ても。
彼の輝きを信じて、見つめ続けたい。


それだけの思いを込めて応援できる選手に出会えて、そして今日まで、活躍をたくさん見せてもらえて。自分は本当に幸せだと。


改めてそんなことを思う、
応援3年目のシーズンです。


画像2



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?