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初期設定公開:金比羅電鉄1000形120号専用レイルロオド「いるか」

みなさんこんばんわ。レヱル・ロマネスクシリーズの原案、シリーズ構成を勤めます、進行豹です。

本日は金比羅電鉄1000形120号専用レイルロオド「いるか」の初期設定を公開させていただきます。

金比羅電鉄といえば、同じ職場の「むにむに」をすでにご紹介ずみです。

大ベテランのむにむにから見ればかなりの後輩にあたるいるかはしかし、初々しい後輩――というイメージからはかなり離れた印象の持ち主です。
それも、ロールアウト直後から。

なんとなれば「金比羅電鉄不要論」が吹き抜けるさなかにロールアウトされてきたという、はじめからEXハードモードな運勢を、いるかはもってうまれてきてしまったがためです。

苦労性、貧乏性、不幸体質。

それでも決してめげないいるかを、どうぞご応援いただけましたら嬉しいです。

と、申しつつもまこと申し訳ないことに、
いるかの今後の活躍予定は、いまのところ一切ないのでございますけれど<不幸

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【いるかの最初期設定】

嵩松港から金比等山へと参拝するため鉄道の敷設は、嵩松市民の悲願であった。

それを受け、民・官一体となり、多額の募金を市民から集めて設立された金比等電鉄は、しかし、まさかの完全電化、完全オリジナルの新造・高規格車両という採算度外視の初期投資を強行。
その結果、赤字が常時垂れ流し状態になってしまったことにより、一転、市民の反発の対象となってしまった。

財務状況がはっきりとしてくる前、宿願であった鉄道を祝う市民の歓喜の声の中でロールアウトできた1000形の100号、110号のふたりの姉とは全く異なり。
いるかのロールアウトに際して向けられたものは、
「こんなに贅沢な電車がいるか」という批判の声ばかりであった。

そのため、「そうした声を見返してやろう」という(些か皮肉な)願いをこめて、「いるか」と名付けられた。

しかしいるかは、反骨精神という言葉とは正反対の、控えめで、地味~な性格の持ち主だった。
決して前にでることはなく――座席を選べる場合には、常に一番後の一番端に座りたがるし、座ると落ち着くタイプ。

なまじお嬢様らしい外観とその性格とがある種の化学反応を産み。
いるかは常に、実際以上にびくびくとした印象を与えてしまい、俗に言う「いじめてオーラ」を周辺に振りまいてしまうレイルロオドとなってしまった。

その悪影響によりお客様から寄せられてしまう理不尽系のクレームも、しかしいるかは常に真正面から受け止めて、決して適当にあしらわない。

一生懸命にお詫びして、可及的速やかに対応可能な責任・権限を持つ職員を呼んできて――
結果呼ばれた職員からも「あんなのはまともに相手しなくていい」と叱られてしまう始末。

が、それは半面、『お客様からのどんな声にでも反発をせず、ともかく一度は真剣に・素直に受け止める』という大きな美徳でもある。

赤字批判にさらされ続けてきたいるかは、その影響なのか、節約が大好きなレイルロオドへと成長した。

お風呂には水を満たした一升瓶(現在ではペットボトル)を沈めて節水し、充電はできるだけ、充電を許可してくれている民間や公共の施設で行うようにしている。
制服なども、破れてしまったところにこっそりと自分でツギをあてたりし、「レイルロオドはある意味会社の看板でもあるのだから」と、営業から怒られてしまったりもする。
身の回りの物にも自作品・廃品修理品が多いし、ずうっとそうした日々を繰り返してきているため、なかなかに器用。

仕事面でもその性質は全くかわらず、安全第一と修理・検査費用の節約とを両立すべく、こまめにこまめに日常点検整備を行っている。

のちに、金比等電鉄は放漫経営が災いし、大廃線の波にあっさり流され、一度は不渡りを出す羽目に陥る。

が、旧金比等電鉄の経営陣・職員の中では「貧乏臭い」とみそっかす的な扱いであった いるかの地道な節約を見て、評価していた市民は、決して少なくなかった。

市民中心となって行われた金比羅鉄道再建・募金運動の旗印となることを求められたのは――旧金比羅電鉄の宣伝役を務めていた先輩たちの誰でもなく――「いるかはいるか?」と、その存在感の薄さをからかわれつづけていた、いるかだった。

いるかはむろん、あふれる鉄道愛――金比羅電鉄愛から、要請を快諾。

一回目の不渡りを出してしまってから、わずかに1年半後。
いるかといるかの1000形120号、そしているかを評価していた数少ない元職員たちとレイルロオドたちによって再建された、新生金比等電鉄が誕生。
経営の合理化と市民・利用者の声を丁寧に聞き集める主義とにより、見事な再生を果たし、昨今では毎年の黒字を産めるようにまで成長した。

「こんな贅沢な電車がいるか」という問いに、長い長い節約の日々を重ねて。
いるかは、「いる!」という答えを、市民とともにつくりあげたともいえよう。

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そんな節約大好き、不幸体質レイルロオドないるかの外観がこちらです!


かわいいのですが、そこはかとなく幸薄の匂いが漂っており、素敵ですね。

そんないるかの日常を、今日は短いお話にしてみたいと思います。

タイトルは
「いるかいるか」です。

もしよろしければどうぞ、ご笑覧ください。

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『いるかいるか』

<あらすじ>

金比羅鉄道の存否を計る住民投票。
その直前に最終プレゼンの朝にもいるかは
かつての住民からの厳しい問いを、夢にみてしまうのです。

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