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3分で読めるレイルロオドのお話「ニイロクの、初盆」&WEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』第16話シーン4ネーム&字コンテ公開

お盆ですね。

お盆すぎると暑さ和らぐ……というのが過去の実感としてございますが、
本日は午後からはかなり体感涼しかったのではないかと思います(@埼玉県狭山市

とはいえ室温計は28度を示しておりましたので、
あまりの暑さに体感もなかなかバグってきているなぁ、と感じました次第です。

で、お盆。

仏教の「盂蘭盆会」(餓鬼道に落ちた亡者の苦しみを救うためにお布施を行う行事)が、
そもそもの起源とされているそうです。

この盂蘭盆会そのものが、もともとの仏教(仏教の原典)には一切記載のない、いわゆる偽経で。
仏教が中国に伝来したとき、中国の「先祖供養」の思想を取り入れたものだと言われているそうです。

で。
盂蘭盆会が7世紀頃に日本に伝わってくると、まずは宮中行事となり。
宮中行事から武家・貴族社会へ広がり、江戸時代に幕府が(キリスト教を排除するために)檀家制度のもととなる「寺請制度」を始めたことにより、日本古来の祖霊信仰と融合し――
いまのような形の「お盆」行事群が定着していった……という感じのようです。

日本古来の祖霊信仰というのは、
「ものべの」のイメージモデル地域である高知県物部郡にかなり原型をとどめて残っているのではないかと思われる「ああしたもの」であり。
それは広義では「神道」の一部であるとも言えるでしょう。

つまるとこ、日本の「お盆」は仏教・神道の習合行事であるとも考えられ。
そうなると「神社でのお盆の扱い」はどうなっているのかしらん?

というあたりのところで、本日の短いお話を書こうと思うのですが、
そのまえに『レヱル・ロマネスク0』のネーム掲載を告知しとこうと思います。

WEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』のネームの方は、
先日公開しました、
第16話『敷かれたレールの食い違い』のシーン3

に続きましての、シーン4を公開させていただきます。

「垂直狂い」という新しい専門用語もでてきましたので、
この辺もそのうち短いお話で触れたいのですが、
いまは先に、お盆のお話を書きます。

登場するレイルロオドは「ニイロク」。
タイトルは「ニイロクの、初盆」です。

どなたにも無償でお読みいただけるコンテンツとなりますので、よろしければどうぞご笑覧いただけますと幸いです。

■ニイロク■


旧帝鉄クハ26 000試験編成専用レイルロオド。
帝鉄の最後の希望、全線電化の夢を担っていたスーパーエリート。
なのだが過去にいろいろあって、いまは引きこもり同然となっている。

■「ニイロクの、初盆」■

(あらすじ)
赤井阿蘇神社にやってきて、はじめて迎えるお盆。
清春からあれこれを教えてもらううち、
ニイロクは、なにかを用意しはじめます。

///

「清春。何作ってるの?」

「ああ、これは精霊棚というものですよ」

「しょうりょうだな?」

「ええ。祖霊供養――いわゆるお盆に際してこしらえる、
そうですね……いわば、ご先祖様の霊のおうち、
というものとなります」

「霊」

霊とは、たましい。
たましいは、人間にやどっているとされるもの。

そうして……一部の研究だと――

「レイルロオドも、霊になるの?」

「……それを実証することはできないかもしれませんが」

ぽんって、清春の手が自分の頭に乗せられる。

撫でるでもなく、動かすでもなく、ただ置いてるだけ。
だけなんだけど――とっても、とってもあったかい。

「お迎えする誰かがいてくれるなら。
きっとレイルロオドも帰ってくるものかと、
私は思っています」

「そなんだ」

清春は、試験運転士だった。
自分と組む前、幾体もの試験機レイルロオドの解体を見送ってるって、
噂で何度も聞いている。

(なら、清春のショウリョウダナ? は、きっと――)

見守ってると清春は、ショウリョウダナにどんどん物を並べてく。

米、塩、お餅、魚、乾物、桃、塩、お水、お団子――

「あ」

その横に、小さな乾電池。
乾電池なんかじゃ全然充電できっこないけど――でもわかる。

もしも自分がいつかお迎えしてもらえるなら、目印はやっぱり乾電池って思うから。

「……『お迎えする誰か』って……それ、自分でも構わない?」

「もちろんです? 誰か、お迎えしたい相手が?」

「ん……」

相棒だった機関士さんが。
一緒に仕事した機関助士さんが。
きっとお迎えしてくれているって思うけど。

それでも、もしも一瞬だけでも、遊びに来てくれたら嬉しいなって思うから。

(いらないって思ったけど、捨てないでおいてよかった)

御一夜鉄道の投炭練習場を見に行ったとき、お土産にもらった石炭。確か――

「あった。これ」

「石炭? ――ああ」

電池のとなりに、清春がそっと並べてくれる。
そうして何かを言いかけて、顔を歪めて口をつぐんで。

もう一度、ぽん。
自分の頭に手を乗せる。

「清春?」

「提灯を、買いにいかなければいけませんね」

「提灯?」

「神道の――うちの神社の祖霊供養では盆提灯は飾らないのですけれど。
彼女の初盆となりますし」

「はつぼん? だと、提灯を飾るの?」

「はい。何の絵柄もついていない、白提灯を飾りましょう」

ぐっと。一回息を飲み。
大事に大事に、清春がその名を、読んでくれる。

「――シロを、彼女を迎えるために」

;おしまい

///

いかがでしょうか?

そんなこんななWEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』

どなたにも無償でご確認いただける0~7話のネームはこちらとなります。

よろしければどうぞ、あわせご笑覧ください。

(それ以降のまとめはメンバーシップ特典です)

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