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アイスリボン横浜武道館大会IIの感想

アイスリボン横浜武道館大会IIを観戦しに行ったので、その感想を。

尚、詳しい試合レポートはバトルニュースさんを参照して下さい。


第1試合 チェリー&松本浩代&キク vs 石川奈青&網倉理奈&神姫楽ミサ

魁!女熟とKISSmeT PRINCESS(KISSぷり)のユニット対決となった、この試合。まずはお揃いの新衣装で登場した、KISSぷりに驚かされましたね。

やっぱり衣装を揃えるとユニット感が出て良いなと思ったし、KISSぷりの華々しさとは対照的に、鉢巻一本で登場する女熟の簡潔さも良いなと。プリンセスの敵と言えば、(美)魔女が定番なので、両者は争い合う運命なのでしょう!

試合の方は、女熟入りした(?)松本浩代が流石の存在感で引っ掻き回す展開でしたが、最後は石川がキクをジャーマンで3カウント。この瞬間、自分は別の方を見てて、すっかり見逃してしまったのですが、周りの歓声が凄かったので、おそらく凄いフィニッシュだったと思われます。(石川さん、ごめんなさい…)

試合後は、まさかのKISSぷりによる、生歌&ダンスのパフォーマンス。振り付けもしっかりしてて、普通にアイドルでした。笑

KISSぷりに関しては、本当にバカらしいなと思うんですけど、バカらしい事を本気でやるのがエンタメの基本だと思うし、何かとシリアスにならざるを得ない今のアイスリボンには、こういうバカらしさが必要だと思うんですよね。

個人的には終始笑わせてもらったし、これから試合数を重ねれば、連携や絆も生まれると思うので、今後も期待したいユニットです。


第2試合 バニー及川&Yappy vs 柳川澄樺&咲蘭

バニー&Yappyと言うと、ビッグマッチでは6人タッグや8人タッグにまわる事の多かった印象がありますが、今回は同期タッグとして出場。所属選手が減った影響もありそうですが、会社側の期待も感じさせます。

そして、その期待に応えて、バニー&Yappy組の勝利。Yappyのタラ・サ・インピエルノは一度見てみたかったので、生で見れて嬉しかったですね。

一方、柳川&咲蘭のタッグ。咲蘭は重さに潰されて、なかなか自分の良さを出せなかった印象。得意の丸め込み技をもっと見たかったかな。柳川さん(神姫楽さんも)は以前にJTOの試合を見た時より、断然成長しているなと思いました。他の選手と比べても見劣りしないし、もはやアイスリボン・ファミリーの一員と言っても良いのではないでしょうか。


第3試合 雪妃真矢&櫻井裕子&NATSUMI withラム会長 vs 本間多恵&安納サオリ&尾﨑妹加

8ヶ月ぶりの復帰戦となった本間さんですが、ブランクを感じさせない動きを披露。後半ちょっとバテた様に見えたので、試合勘の部分はまだまだこれからなんでしょうけど、とりあえずは怪我なくリングを降りられて一安心かなと。

試合的にも、このレベルの選手は自分の魅せどころが分かってるし、6人タッグとは思えない程に、1人1人の個性が見れる充足感のある試合になりました。(ラム会長も含めて。笑)

さて、本間さんが復帰したからには、やっぱり妹加とのSPiCEAPは見たいところですし、安納さんを始め、元アクトレス勢との絡みも楽しみにしたいところです。


第4試合 アジャコング vs 松下楓歩

前半のメインイベントと言ってもいい、この試合。開始前から「楓歩~!」という声援が沢山聴こえてきて、「楓歩ちゃん愛されてるんだな~」と思いグッと来てしまったのですが、不安と緊張が見て取れる楓歩の表情を見れば、そりゃ応援したくなるものでしょう。

案の定、試合はアジャさんのワンマンゲーム。楓歩が何をしても、岩の様に響かないアジャコング。こんな経験は初めてだと思うし、無力感や焦燥感、いろんな感情を味わったんじゃないかな?

でも、レスラーは効かないと分かっていても、エルボーを打ち込まなきゃいけない。負けると分かっていても、肩を上げ続けなければいけない。それは綺麗な技を決める事よりも、レスラーにとって大事な事なのかもしれない。そんな事を思いました。

このアジャ戦をどう糧にしていくのか、松下楓歩に注目しましょう。


第5試合 真白優希 vs 山下りな vs 真琴

トライアングルリボン選手権試合となった、この試合。序盤こそコミカルな展開がありましたが、終盤は完全にシリアスモード。終わってみれば、真白は山下の技をガッツリ受け、その上で最後はビーナスクラッチというサプライズで勝利と、実はめちゃめちゃ王者らしい戦いをしてたのではないでしょうか。

かつてはヘッドロックでギブアップしてた人が、今や山下のラリアットを何発も食らっても立ち上がる様になったのですから、隔世の感があります。個人的にはガチャスタイルを極めて欲しかった気もしますが、今の真白からは真白なりの決意が感じ取れるし、それがファイトスタイルにも現れているのかもしれません。

興味深いのは、同期の石川がプリンセスを名乗りだして、真白の方はガチャ王を封印している事。キャラクター先行の真白と正統派レスラーの石川という関係性が逆転してるんですよね。意識してるのかどうかは分かりませんが、常に対照的な関係性になってしまう辺り、やっぱり同期というかライバルなんだな~と思わされます。


第6試合 SAKI&清水ひかり vs トトロさつき&まなせゆうな

インターナショナルリボンタッグ選手権試合となった、この試合。王者ぎゃらぱんは流石に場数を踏んでるだけあって、自分達の魅せ方を知っているな~と思いました。場を盛り上げるのが上手いし、自分達の空気にしてしまう。

勿論、実力も十分で、トトロが蹴りを食らいまくってた時間は「いつもの負けパターンか…」と諦め掛けていたのですが、今回はまなせさんがいた。彼女のカットとアシストによって、何とか息を吹き返したトトロが最後は如して3カウントを取りました。

BIG☆DEKAI!!!…というか、まなせさんの熱血キャラは面白いなと思うし、それによって感化されるトトロも新鮮で。トトロは人を頼るタイプじゃないからこそ、まなせさんの様な姉御肌が必要だったのかもしれません。ぽちゃじょも含めて、BIG☆DEKAI!!!がアイスリボンにどんな新しい風を吹かすのか楽しみにしたいところです。


第7試合 春輝つくし vs 朝陽

ICE×∞選手権試合となった、この試合。じっくりとお互いの技を、気持ちを確認する様な序盤戦に始まり、後半は朝陽が猛攻を見せるも、それを受けきった春輝つくしが一枚上手でした。

朝陽は持てる力を全て出し切ったと思います。感情を前面に出す朝陽らしいプロレス…もっと言えば、アイスリボンらしいプロレスが出来ていた。この試合を見て、朝陽のファンになった人もいるんじゃないかな?

朝陽は悪くない。ただ、春輝つくしが偉大だったというだけ。どちらも最強でした。

朝陽はいずれICEを戴冠する事でしょう。問題はそれが何時になるのか。出世は早ければ早い方が良い。立場が人を作るという事もありますからね。そういう意味では、今回の結果は残念でした。

でも、こうやって回り道するのも朝陽らしいかな…とも思います。学業との両立が難しく、なかなかプロレスが出来なかった学生時代を思えば、少しくらい遠回りしてから戴冠するのが朝陽らしいのかもしれません。

負けはしたものの、やっぱり彼女の口から発せられる「プロレスでハッピーを守っていきます!」という言葉には胸を打つものがあったし、最強の春輝つくしを体感出来た事は間違いなく、彼女の財産になったはず。

個人的にも「朝陽のICE戴冠」はアイスリボンを応援する大きなモチベーションの1つでもあるので、それを見届けるまではアイスリボンを追いかけ続けますよ。


第8試合 藤本つかさ&星いぶき vs 中島安里紗&志田光

藤本つかさ休業記念試合となった、この試合。対角がつっかのタッグパートナーという事もあって、お互いの連携技を見せる場面などもありましたが、そんな中で気を吐いたのが星いぶき。

金髪&赤黒コスチュームでキッズ感を消し去った姿はインパクトがあったし、志田相手に真っ直ぐ向かって行く姿勢も見事。つっかの狙い通り、アイスリボンの未来を体現してくれたのではないでしょうか。

いぶきの闘いぶりや覚悟を見ると、次期ICEを託したくもなるというか、少なくとも、そのチャンスは与えて欲しいなと。そういう意味では、つくしが防衛してくれて良かったのかもしれません。

一方で、つっか。超過密な休業ロードをこなし、この日も2試合こなしながら、疲労や衰えは全く見せない鉄人ぶり。これだけ動けるのに休業してしまうのは勿体ないな~と思っちゃいましたね。

でも、つっかクラスになると、レスラーとしてだけでなく、人生の先輩としても後輩の手本にならないといけないわけで。「結婚か?引退か?」みたいな二者択一ではなく、休業という選択肢を提示する事は、女子プロレス界に限らず、社会的にも必要な事なのかなと思います。先日、弓李選手の復帰が発表されましたが、休業という選択肢が当たり前にあれば、彼女が抱えた様な苦しみは解消されるのかもしれません。

兎にも角にも、これまで走り続けた分、十分に休んで欲しいし、プライベートも楽しんで欲しい。そして、40代で更なる全盛期を見れる事を楽しみに待っています。


第9試合 春輝つくし&藤本つかさ vs 星ハム子&高橋奈七永

春輝つくし引退記念試合となった、この試合。つくしが所属選手1人1人にコメントを送る、試合前のVTRの時点でかなりヤバかったんですけど、入場時の所属選手によるロープ上げで、完全に涙腺が決壊。こんなん、泣くやろ…。

久々に嗚咽するレベルで泣いたというか、今でも思い出すと涙が出てくるんですけど、個人的には、この瞬間が今大会のベストモーメントでしたね。所属選手の団体愛が感じられた瞬間であり、つくしが団体に残した成果が可視化された瞬間でもあり、本当に心が揺さぶられました。

試合の方に関しては、ただひたすらに楽しい30分。ハム子が「終わらせたくなかった」と言うのも頷ける内容で。引退試合とは思えない程に強度のある闘いだったし、途中で他の選手が乱入したり、ハム子のハルカゼで終わるのには頭を抱えちゃったけど、それも含めて全部が楽しかったなと。“プロレスでハッピー”とは、こういう試合の事を言うのでしょう。

これだけ動けるのに引退してしまうのは、やっぱり信じられないし、最後の最後まで「やっぱり引退やめます!」って言うのを期待してたんですけどね…。でも、引退セレモニーを見てたら、こんなに最強で最高な状態で引退出来るなんて、なかなかない事だし、全てが完璧で美しい春輝つくしの姿を記憶し続けられる事は、ファンとして幸せな事なのかもしれません。

12年間のプロレスラー生活、お疲れ様でした!


最後に

昨年末から激動続きのアイスリボンですが、武道館を終えて、ようやく一段落。本当の再スタートがこれから始まります。

「楽しみ半分、不安半分」というのが、武道館を終えた直後の私の正直な気持ちですね。毎年離脱者を出すよりは一気に世代交代を図った方が良いし、これが5年後~10年後とアイスリボンが続いていく為に必要な過程である事は重々承知しているのですが、つっかもつくしもいないアイスリボンは未知すぎて、想像が出来ない怖さがある。

ただ、その一方で、若手にとってはチャンスな状況でしかないし、スター選手に頼らない分、何か新しいアイディアが出てくるかもしれない。元々はマットプロレスから始まったインディー団体。あの頃の初期衝動・原点回帰したって良いかもしれない。

それに何より、今のアイスリボンには団体愛のある選手が揃っている。やっぱり、それが一番の財産だし、希望なんじゃないかな。この半年間は寂しい事、悲しい事があまりにも多すぎた。だからこそ、これからのアイスリボンには沢山の愛を、ハッピーを届けて欲しいなと思います。

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