満開の桜

2023.3.31

今日で社会人2年目が終わった。

このメモは、最近よく座るベンチで書いている。
夜の公園。
日付けをまたぐ前に座ったのは久しぶりかもしれない。
いつもは夜中、寝れない時、どうしようもない時に座ることが多い。

ただ、よく座ってるけど、
お気に入りではないなって思う。
座りに行こうって思って来たことは一度もない。
他に行きたい場所がなくて、他に行ける場所がなくて、とりあえずで座ってる。
とりあえずのはずなのに、何時間も座ってる。


今日はいつもより寒く感じる。
もう春なのに、もう春だけど、なんか寒い。
なんでだろうか。
でも、ただ寒いんだ。


いつも見ている景色の中で、
今日は桜が咲いている。

東京は今年、
満開になったその日から雨が降って、
風が吹いて、
お花見日和の空になる前に、だいぶ散ってしまった。
だから、満開は見れなかった。
一部が散ったものしか見れなかった。
よくよく考えてみれば、散った花びらって絶対に元に戻らないんだな。
そうか。戻らないのか。


今、私が座ってるベンチの
ちょっと離れたところに、桜が咲いている。
スマホを見つめる顔をあげて、
ちょっと20メートルくらい先を見れば、
そいつは咲いている。

ゆっくり見てみれば、
けっこう大きい木だった。
とは言え、立派とまではいかず、
縦にだけ大きい。横はあんまりない。
だから、あまり雅でもない。

ただ、なんでか満開に見える。
辺りが暗いが故の目の錯覚だろうか。

今年、見ることができなかった満開の桜を、
実は心の底ではけっこう強く、
見たい、見たいと願ってて、
その願いが、目を眩ませてるのだろうか。

ただ、なんでか満開に見える。

もし、また明るい時に来て確かめたら、
本当の姿が分かりそう。
ただ、きっと、私は見に来ない。



今日で社会人2年目が終わった。
冒頭でも書いたな。

そうだ、これを書きたくて、
このメモを開いたんだった。

社会人2年生、自分が今いる会社で、
どんな時間を過ごしたのか思い返してみる。
とは言え、思い返そうと思わなくとも、
色んなことがたくさん蘇ってきた。
あぁそうだ、色々あったな。

散々な一年だった。
酷い一年だった。

ちょうど一年前は、
年明け1月から加速的に忙しくなって、
繁忙期の4月の入り口に立ってたんだ。
そんな2年生のはじまり。

色んなことが言えなかったな。
色んなことが、怖くて言えなかったな。

分からないです。
教えて欲しいです。
困っています。
助けて欲しいです。
今日はちょっと具合が悪いです。
最近、調子が悪いんです。
今日は早くあがりたいです。
コロナでした。
休みたいです。
それはちょっとできません。
私にはできません。
今の私にはできません。
もう私にはできません。

色んなことが言えなかったな。
色んなことが、怖くて言えなかったな。

でもそこで、
はい！って良い返事を続けて、
顔も歪ませずに、
言い続けて、立ち続けられたのは、
学生時代、スポーツの世界で鍛え上げられた体育会系精神のお蔭様で。

結果的に、
5月からおかしくなって、
6月くらいかな、適応障害って言われて、
11月には、うつ病の診断書を持って、
会社に稼働をセーブする交渉にいったんだ。
稼働は今もセーブ中。
1年目の私が知ったら、どう思うんだろう。
内定者時代の私が知ったら、どう思うんだろう。

はじめて指を折って数えてみる。
6月から今日までって、10ヶ月もあったんだ。
社会人2年生、こんな長い時間、
こんな過ごし方になったのか。


色んな種類の、苦しいを知った。
色んな種類の、悲しいを知った。

色んな種類の、どうして？を知った。
色んな種類の、分からないを知った。

色んな種類の、できないを知った。
色んな種類の、ため息を知った。


今日は全社の2023.1Qの総会で、
終わった後にカンパニーで振り返りをやった。

ある先輩が言っていた。
自分は若手の時に、本当にデキないやつで、
今の君たちの何倍もデキないやつで、
〜中略〜
でも今はこうなれています。って。

そう、その先輩は今すごくデキる人で、
てか、そもそも東大卒だし。
今のクラスまで歴代最短昇進してるじゃんよ。

なんでこの話を持ってきたのか分からなくなったけど、
とりあえず、
きっと、勇気づけようと思って、
きっと、良かれと思って、話してくれたその話も、
今の私にとっては、勇気なんかより焦りが増える、
良かれくない、不安が募る話でしかないのが現実なんだ、それが今の現在地なんだ。


ただ、今日の総会でも改めて思った。
私はこの仕事がとっても好きで、
すんごい面白くて、
たまらなく意義を感じる。

とっても好きなのにデキない、
すんごい面白いのにデキない、
たまらなく意義を感じるのにデキない、

気持ちはあるのに、力がないって、
どれだけ残酷なのか、
この一年で、狂ったほどに学んだ。

だから？さすがに？そろそろ？
もう接続詞が分からないけど、
明日からの3年目、
私は何かを灯したい。

大きさなんて強請りません。
栄光なんて強請りません。

ただ、小さくても、微かでも、何でもいいから、
自分が誇りに思える、尊いって思える、
何かを灯したい。
想いはそれだけだ。

苦しくても、自分にとって正しい道を、
苦しくても、自分がどこよりも価値を感じる道を、
結果的に辿り着けなくても、歩くこと、歩き続けることに意義を感じる、意義を感じられる自分を大切にしたい。

そして、この長いトンネルを抜けて、
何かを灯せる1年にしたい。


桜、この目の前の、満開の桜、
きっと満開じゃない、満開の桜。

どうか、散らないで。
まだ、散らないで。

ただ、散らないで。