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ハンドルをめぐる冒険

君がハンドルについて多く語りたい雰囲気を感じる事実について、僕は何も興味を持っていないし、何かを言う権利もない。

勝手に出会いの思い出を語ればいいし、惚れ込んだ理由を説明すればいい。相手に対する満足感を語ればいい。君が何をしようが君の自由だ。

手に取ったスマホで他のハンドルと見比べればいいし、買ったばかりのハンドルのパッケージについて眺めてもいい。取り付けるその光沢に溢れる工具に目を奪われてもいい。悪くない選択だ。

君は鏡越しに「ちょっとよくわからないな」という僕の表情を垣間見たかもしれない。確かにそうだと思う。僕だって君に「いいでしょ…このハンドル」と言われれば「いいんじゃないかな」と思案したふりを見せるしかなかった。

「どう?つけてみたくなったでしょ」「うん」食い気味に言った僕の言葉を聞いた君は次の言葉がうまく出てこなかった。僕はその間、君の向こうに見える乱雑に並んだ数々のハンドルを凝視するしかなかった。

「ねぇ、あなたグラベルハンドルで間違いないわよね」

「自転車には体に接する3点があります」というのはサイクリスト界隈には割と知られた言い文句である。
サドル・ペダル・そしてハンドルだ。
その中でも一番目につく場所にあり、運動性能もっとも体感しやすいパーツがハンドルだ。そのハンドルには意匠が溢れ、各メーカーの開発コンセプトが色濃く表れるパーツであるが故に面白いのである。

オートバイのスワローハンドルにも似たシェイプを持ち、特徴的なステムマウントからの前へのオフセットした後に12°のバックスィープで手元に還ってくるポジション。
更に16°のアウトスィープでフレア(外へ広がる)しています。フレアすることで操作性を上げながら(個人的には下ハンを握った際に肘が広がらない為ポジションが楽)重心が下がる為、安定性が確保できると感じています。

アスファルトで上ハン、要はステムから左右に伸びた部分を持てば、ステムに近いが故に脇が締まり空気抵抗が減る、操作性・安定感が必要なグラベルでは広いフレアした下ハンを持てば車体を抑え込みやすい、グラベルロードでの安定感は飛躍的に向上します。

「完璧なシェイプは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね」

更にカーボンで軽量であればその操作性はさらに向上します。
各メーカー意匠に溢れたグラベルハンドルをリリースする中で特に特徴的なシェイプを持つのが私が使っているDEDA GERA(デダ ジエラ)シリーズである。カーボンはもちろん、アルミでも同じようなシェイプを持ちコンフォートでありながらレーシーなポジションと外観を持ち合わせたGERAシリーズ、ぜひあなたのグラベルバイクに合わせてみては如何でしょうか?見た人の注目を集めること間違いない。

「荷物をしっかりとしまえたとしても、深いところにしっかりと沈めたとしても、それがもたらした利便性は消すことができない」

やれやれ、時間だ。

僕はスマホのスリープボタンを押し、まるで地獄の底のような真っ黒な画面を確認してからハンドルについたバックに入れてチャックを閉めた。
「それで」仲間は言った。「どうしていつも貴方はハンドルの写真ばかり際限なく飽きもせず撮るの」「それは愚問だ」
貴方は戸惑った表情を見せた。僕にはわからない。

「ねぇ、そのハンドル、DEDAで間違いないわよね」聞きなれない女性の声だった。あるいは僕にだけそう聞こえていたのかもしれない。
彼女が指をさした先には、いつも僕が眺めているハンドルがそこにはあった。

その通りだ、と僕は心の中でつぶやく。

僕は立ちつくしながら、口に出す言葉を探していた。その知見が僕の人生にどのような影響があるというのだろう。「それは……きみの感性だ」「きみの感性だ」

僕はDAVOSのボトルに入った水で口の中のWay to Goのクッキーを片付けた。


DEDA GERA Carbon


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