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【リアルかばん持ち】テスラなのだ![後編]

2023.06.11
信州大学2年の石井恵里です。私は現在、信州大学の特任教授、株式会社docomo gaccoの山田崇さんのオンラインインターン「オンラインかばん持ち」の6期生として活動しています。
今回は、長野県塩尻市でフィールドワークに参加させていただきました。山田さんが12年前から塩尻市大門町で取り組まれている「空き家から始まる商店街の賑わい創出プロジェクト-nanoda」に、株式会社ONE X代表取締役CEO・塩尻市特任CIO・信州大学特任助教の濱本隆太さんをお招きして、テスラをテーマにしたディスカッションイベント「テスラなのだ!」を開催しました。


テスラなのだ
テスラユーザーの濱本隆太さんをゲストにお迎えして、テスラをテーマにディスカッションします。当日は、テスラの見学会も予定しています。

日時:2023年6月11日(日)13時-15時
会場:nanoda(長野県塩尻市大門3-2-4)
参加費:1,000円

ゲスト:濱本隆太さん
株式会社ONE X 代表取締役CEO/一般社団法人ONE X 共同代表理事
CHANGE by ONE JAPANリード(大企業挑戦者支援プログラム)/塩尻市特任CIO、信州大学特任助教
【ゲストプロフィール】
岡山県出身。新卒にて大手総合電機メーカーにて中小企業・大企業向けセールスを実施し、数十億円規模の受注獲得を経験。その後、社内起業家育成プログラムGame Changer Catapult事務局を経て、くらしのプラットフォーム戦略策定、エネルギー関連の新規事業開発プロジェクトリード、サステナブル経営推進コンソーシアム事務局の取り組みを推進。2022年4月にはサステナブル経営推進の取り組みをご評価いただき、グループ社長賞を受賞。2020年4月から挑戦者支援を加速するために一般社団法人ONE Xを創業し、共同代表理事に就任。その後は塩尻市の関係人口拡大事業「塩尻CxO Lab」、大田区の副業人材を活用した商店街・町工場復興支援取り組み「大田区SDGs副業」の立ち上げで2年連続Work Story Award W受賞。これまでに副業者を活用した地域企業のSDGs経営戦略支援や新規事業伴走支援を数十社推進。更に多くの挑戦者を支援するため、2022年11月に株式会社ONE Xを創業して、2023年1月に独立。オンライン事務アシスタントサービス「TIMEWELL」をリリースして、挑戦者の時間を創出する事業を推進中。趣味は世界中の音楽フェス巡りとDJ。これまで世界30箇所の音楽フェスを巡り感動体験を得る。「人の目の色が変わる瞬間を作る」が人生のモットー。

ファシリテーター:山田崇 nanoda代表

テスラ見学会

濱本さんにイーロン・マスク氏の事業やテスラの特性についてお話を伺った後、実際にテスラを見せていただきながら、機能や今までの車との違いについて伺いました。

キーロックから空調、オーディオまですべての操作がスマホアプリと社内の1つのパネルで出来て、まさにスマホ感覚で車が使えることを実感しました。

質疑応答

― スターシップの目的地は地球から宇宙ではなく、地球から地球だったんですね。

濱本さん:
最終的には宇宙もやりたいと思っていますが、イーロン・マスクはあくまでもビジネスマン。だからビジネスになることから始めよう、ということで、まずは資金調達のためにも、地球から始めていますね。

― イーロン・マスクはどうしてこんなにも国際規模の事業を実現させることができたのでしょうか。

濱本さん:
アメリカには、夢を笑わないカルチャーがありますよね。物理学上はできそうだけど実際に挑戦するなんて、とは言わないんです。

山田さん:
ロケットは、昔の映画では全部使い捨てでしたが、戻ってくるという仕組みをつくることで価格破壊になるんだね。常識だったことを変えるために、60年代までに米ソの競争で人を月に立たせようとしていました。アメリカではとにかく速くソ連に勝つことが優先されましたが、今はサステナブルな視点が重視されるようになってきましたよね。

― はまちゃんは、米国株のアプリ支援をしていたりするけど、株を自分で買っているから詳しくなったのか、詳しくなったから投資したのかどちらですか。

濱本さん:
アメリカ株はポートフォリオの一つでしたが、決算情報などは絶対に見るようにしていました。投資先の会社では、投資家向けのイベントで長いセッションも公開しています。その情報を聞いて、どれぐらいインパクトがあるかについては学んでいます。

宇宙開発の話についても、宇宙技術は退化していると言われています。アポロの時代に宇宙に行っていますが、スペースシャトルで月に行けていません。通信技術は進化しているが、物理的な技術は退化しているということです。テクノロジーは黙っていても開発できないから、まずは宇宙に行くところからということで、イーロン・マスクもロケットの開発に踏み切っています。

―近い将来に大きく世界が変わると思います。産業構造の中で特に変わりそうな分野はどこですか。

濱本さん:
アメリカにインパクトがあるのは、雇用者の多いトラック業界です。自動運転技術の進展で解雇者数が増加することが予想されています。タクシーも同じように変化すると考えられて、もうアメリカでは日本のようなタクシーは無くなりつつあります。
通信インフラもスターリンクがメインになり、今の通信会社が基地局を貸すビジネスに転換すると思います。航空会社のインパクトも、顧客ロイヤリティを高めるサービス業になる。国内線で効率の悪いスターリンクとの事業の棲み分けの結果、航空会社は国内線に絞られていくと考えられますね。

― 飛行機でも自動運転できるようになりますか。

濱本さん:
飛行機は既に大部分で自動化されていますが、急な気流変化などへの対応はリスクが大きいので、まだ人が必要な状況です。でも、いずれは自動運転になると思います。

【参考】
日本経済新聞「スペースX、ロケットで旅客輸送 主要都市間30分で」

― 日本の教育は専門分野で分けているますが、その教育を受けた人間は、ハードでもソフトでも仕組みを繋げているイーロン・マスクのようにはなれないと思います。これから、どのような教育が必要だと思いますか。

濱本さん:
イーロン・マスクは、図書館にある本を全部読むほどとにかく読書家でした。就活しても受からなかったようですが、相当知識を得て、自分で実践する能力が高いのが彼の強みです。未だに、最新の情報を書籍で購入して学んでいます。技術のことだけ知っていても行動することができないので、ジャンルを問わず色々な知識を得ることが必要ですね。

また、事業が結果的に戦争を防ぐことに繋がっていますよね。テスラの車も全方面にカメラが取り付けられていて、例えば中国にテスラの車が走っているとそのカメラに取られている前では堂々とはやりにくくなったりと抑止力になっていて。経済だけを見ているわけではないんですよね。
実際、上海の工場が一番儲かっているので、中国に工場をつくる代わりに雇用を生むなど交渉が上手いんだと思います。

― アメリカ株にも積極的に投資をしているとのことでしたが、バイオ系で注目している会社はありますか?!。

濱本さん:
脳とコンピューターを繋ぐシステムを開発しているNeuralink(ニューラリンク)に注目しています。
【参考】
Forbes「イーロン・マスクの脳デバイス企業ニューラリンク、ついにヒトの臨床試験か?」

― 日本人は今まで、正しく出来る方法を確立して、それを細分化して量産することを得意としてきました。ただ、テスラのように、一つの企業の中でデザインから生産までする仕組みは、今の日本企業の状態では難しいような気がします。

濱本さん:
日本では、関東大震災や第二次世界大戦など一旦全部をやり直すということを乗り越えてきた経緯があります。コロナ禍も同じ状況になりましたよね。車も今まであったチェーンを切らなければ、テスラのように一つの製品にまとめることは出来ないですよね。

山田さん:
安宅和人さんが「才能と情熱を解き放つ」というお話をされていました。今の日本は、貧困層やシニア層が活躍できていないので、むしろ伸びしろがあると言えます。若い人を信じて応援する風土が作れたらいいですよね。
【参考】
「風の谷」という希望

濱本さん:
高度経済成長期に、なぜトヨタ、パナソニック、ソニーが世界の中で勝てていたのか。それは、徹底的に海外を攻めてきていたからです。海外に行き稼いで外貨を獲得していたんですよね。
今は、圧倒的に中国が凄いです。色々な交渉の土台に載っている人が多い。だからこそ、昔のトヨタマンがやってきたことをもう一度やればいいはず。外貨を獲得しなければ国は発展していきません。このことから、OneXでも、地方の特産品を海外に買ってもらうLOCAL Xという事業にも取り組もうとしています。

― テスラのような製品を作るためには、垂直統合じゃないと難しいですよね。

濱本さん:
テスラのビジネス構造は、デザインから製造までを手掛けているところが特徴ですよね。ボディはアルミで作っていて、トヨタでは165個の部品に分かれているものが1個になり、製造コストが安価になっています。
また、マーケティングも、スマホの1クリックで購入ができ、スマホを買うようにB to Cを実現しています。加えて、テスラでは今のところ広告費を1円もかけていません。これには、広告の代わりに1.4億人のフォロワーに向けてイーロン・マスクがTwittetで投稿しています。ときどきテスラ株の下がるような発言をしているのも、注目を集めるためなので戦略的な発信だと思います。

―テスラに乗っていて心配なことはありますか。

濱本さん:
500万円強ではもう少しいいインテリアになるはずですが、インテリアが少し安っぽい感じがしたり、微妙な隙間があったりはしますね。

―充電でどれぐらい走行できますか。

濱本さん:
400km走行できます。日本で多い充電規格のCHAdeMO(チャデモ)の充電速度は遅いですが、テスラのスーパーチャージャーは80%程度の充電になるのに30分ぐらいです。CHAdeMOは8000拠点、その他の拠点も含めて3万拠点と、ガソリンスタンドと同じぐらいありますが、スーパーチャージャーはまだ少ないので、まだCHAdeMOのアダプタがないと困りますね。
アメリカでは、フォードとGMがテスラ規格を採用していますが、ヨーロッパや中国ではさらに別の規格なので、どの規格が主流になるかは競争がありそうです。
スーパーチャージャーのために敷地を貸したら儲かる仕組みもありますね。

― 一般家庭のコンセントからでも充電はできますか。

濱本さん:
一戸建ての家であれば、一晩充電すると満充電できますね。家庭での太陽光発電などと組み合わせれば自律分散型の電力として、国内電力源では優位性がありますね。V to H(車から家)の重電技術が広まると、車が充電池として使えるようにもなります。


Check out

テスラの凄さを知れました。濱本のお話から、テスラを買ってみようと思いました。

飯田さん:
ニュースで情報を拾えていなかったと感じました。今日お聞きしたような視点で物事が見れたらいいし、これから先イーロン・マスクがどんなことをするのか想像しながら生活すると面白そうだなと思いました。

車が好きで、テスラに座ることのできた実体験がすごく良かったです。

最初に思っていた、車というよりも動くIOTというイメージそのものを感じました。値段が下がったら乗ってみたいです。

最近工芸品を見に行くことが多いですが、実物を近くで見る経験があるとすごく刺激されますね。

山田さん:
nanodaを借りた時は37歳でした。はまちゃんは今34歳。今48歳になって何ができるかを考えました。車のシステムの話題から考えましたが、一般企業に勤めてみて、大企業のコミュニケーションのコストをすごく感じますね。守れている雇用はありますが、狭い視野で取り組んでいるところがあるのかもしれないですね。

金成さん:
ふらっと来ましたが、話しながら楽しく2時間を過ごしていたら、この場がすごくいい場だと感じていました。これを長いことやってきたのであれば、最後のnanodaに参加できてよかったです。テスラは、濱本さんから来たことで何人か買い出すし、そのうち皆が持っているものになるのかなと思いました。

関さん:
今日は長野から初代トヨタアクアに乗ってきました。当時の最先端でしたが、テスラと乗り比べると内装、機能も全然違うし、動きが凄くスムーズでした。EVのブレーキとの兼ね合いも良く、オーディオも整っています。地球環境に意識を持っているからではなく、テスラだから買いたくなるものだなと思いました。

濱本さん:
テスラに勝ちたい、イーロン・マスクに勝ちたいと思いながら知恵を出し合いたいと思っってお話ししました。イーロン・マスクが起業してからすぐに加わった方とお話しする機会がありました。初めは走りの速い車を作っていて、イーロンマスクは24時間働いていたそうです。自分自身も組み立てを自分でやるぐらいのベンチャーマインドを持てるようになりたいです。
イーロン・マスクはTwitterを買収した際に従業員を8割削減しています。そして、従業員が少ない中で、3か月間コーディングの修正を自分でやってきていたそうです。自分でやらなければ会社は変わらないから、がむしゃらに、でも戦略的に取り組んだということです。ただ、テスラもそうですが、最終的に何かかっこいいから好まれるんですよね。


きづき

日本では、一つの車を作るために複数の企業が関わり、分担をしてきました。私自身、複数企業が協力関係の下に取り組んでいて、話し合った折衷案を軸に取り組むことにはいいイメージを持っていました。ただ、テスラ社が一社でデザインから製造までを担い、それによって機器が一元化されてかっこよく、かつコスパも良くなったという結果からは、1番のものを狙うのではなく、折衷案の状態では出来ないのでは、と思いました。
また、日本でも今後イノベーションを起こしていくためにはイーロン・マスク氏のような人がいなければならないとなると、人口減少のなかそのような人を待つだけでは変えられません。色々な人のアイデアを組み合わせていいものを作るのが日本人の強みなのであれば、折衷案ではなく、最適解を目指す意思決定が出来るようになれば、強みが活かせるのではと思いました。

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