【リアルかばん持ち】テスラなのだ![前編]
2023.06.11
信州大学2年の石井恵里です。私は現在、信州大学の特任教授、株式会社docomo gaccoの山田崇さんのオンラインインターン「オンラインかばん持ち」の6期生として活動しています。
今回は、長野県塩尻市でフィールドワークに参加させていただきました。山田さんが12年前から塩尻市大門町で取り組まれている「空き家から始まる商店街の賑わい創出プロジェクト-nanoda」に、株式会社ONE X代表取締役CEO・塩尻市特任CIO・信州大学特任助教の濱本隆太さんをお招きして、テスラをテーマにしたディスカッションイベント「テスラなのだ!」を開催しました。
Check in
山田崇さん:
6月の末で12年3か月15日借りてきたnanodaをお返しすることになりました。契約自体は4月末で終了しましたが、5月・6月はnanodaのお片付けと、お世話になった人に「なのだ!」をやる月間にする予定です。更地になるまで、大家さんがどんなことで困ってしまっているのかを学ぶために、借り続けようと思っています。
濱本隆太さん:
今日は横瀬から3時間半かけて塩尻に来ました!
石井恵里:
先週山田さんとイベントページを作っていた時には、これほどたくさんの方がいらっしゃることは想像していなかったので、企画を作り、広報する大切さ、声を掛けたら来て下さる関係性の重要性を感じました。私自身は車にはあまり関心がありませんでしたが、最近ニュースのトピックスとして取り上げられることの多いテスラやイーロン・マスク氏について、最新の情報をアップデートしたいと思います。
関拓人さん:
信州大学教育学部2年です。昨年9月からオンラインかばん持ちとして、山田さんのインターンをしています。今日は長野市から来ました。かばん持ちとしてリアルのイベントに参加出来るのは初めてなので嬉しいです。来週17日(土)8時半~「ラジオ体操なのだ!」をやらせていただきます。
金成潤さん:
ドコモ・サポート株式会社で講師をしています。ドコモ社内の人材育成プログラム「ドコモアカデミー」を受講し、講師だった山田さんにお会いしました。2021年1月に山田さんが塩尻で企画されたフィールドワークでは、濱本さんにもお会いしました。今日は、機能のVoicyを聴いてとても惹かれたので、急遽東京から来ました。
2年前に開催された濱本さんのイベントに参加させていただきました。育休に入ったこともきっかけに、たまたまFacebookで見たので来ました。仕事柄、自動車の設計もしていたこともあり、自動車関連の話には懐かしい思いもあります。自動車業界の友人とオンライン飲み会をしていて、テスラの話にもなったので、関心にも近かったので参加しました。
飯田さん:
車に詳しいわけではありませんが、テスラの話題は普段ニュースで少し触れるぐらいで接点のあるものではないので、伺ったことをたくさん吸収したいと思います。
山田さんはじめ、他のコアメンバーと一緒に始めた一人です。車は一ユーザーとして好きで、テスラ製品では、テスラトラックに衝撃を受けました。また、テスラウォールも建設の関係で興味があります。
nanodaについては、はじめるときに、少なくとも10年は続けたいという思いがあったので、12年続けてこれて良かったと思っています。nanodaでは毎月20日にワインの企画をする「ワインなのだ!」があります。今月も6月20日にはnanodaで企画したいと思っています。nanodaようなオルタナティブスペースが好きで、この建物の建築的な記録をするための実測などもしてみたいと思っています。
塩尻市役所の新人研修を担当したことで山田さんとお会いしました。出身は兵庫県ですが両親が長野を気に入り、移住もしました。その担当をしてくださったのも山田さんでしたね。テスラは、乗れるIOT機器ということで興味があります。また、濱本さんは世界のフェスを周られているということで、フェスにも興味があるので今日は楽しみにしてきました。
仕事柄、間接的に電池部分の研究開発の話も聞いているので、自動車の最前線の話を聴きたいと思い参加しました。
山田崇さん
先週nanodaで6月のイベントページを作っていたところ、大門商店街の元区長の宮沢さんが10年の思い出話をしにいらしてくださって、nanodaがなくなっちゃうことがさみしいと話されていました。また、街灯の集金ができなくなってきていて、街灯を守るための取組が必要という課題も知ることができましたね。オープンな企画にしてみると、想像を超えることが起こりますよね。今日も、朝起きてこのメンバーで集まれると思っていなかったので、イベントページ作って良かったなと思っています。
危機感を感じて
濱本さん:
Panasonicに勤めていた時には、トヨタの担当をしてきました。車業界の話題も頻繁にあり、テスラの話もよくあがっていました。イーロン・マスクのビジョンや、その実現力が半端ないと思いつつ、日本の企業がどうなるか危機感も感じています。実際、先月テスラのModel Yがトヨタ・カローラの売上台数を超えました。また、SpaceX社の衛星インターネット事業「スターリンク」も、現在の4000基から、将来的には40000基になるとの発表がされています。それに伴い、通信費も6600円から1500円ほどに値下げされます。今までの価格帯とは大きく異なるサービスになるため、NTTやソフトバンク、KDDIの事業が大丈夫かとなってきますよね。
そこで、今日は、イーロン・マスクのようなイノベーションが考えられないか、これからの日本でどんなことができるか作戦会議ができたらいいと思っています。そして、イノベーションはペインが深くきっかけが作りやすいローカルから起こると思っているので、塩尻のnanodaでぜひやりたいと思い今回企画しました。
乗れるIOT
ガラケーからiPhoneへの変化と対比すると分かりやすいです。日本でガラケーが主流だった時代に、突然iPhoneが出てきました。iPhoneは、デザインがかっこいいのはもちろん、その中にiOSというハードウェアやアプリケーションとユーザーを繋ぐOSがあり、この構造を作ったのがiPhoneのイノベーションといえます。さらに、スマホは買い替えることなく常にアップデートされる仕組みです。そして、同じ機器を持ちながら、個々人に合わせたアプリケーションが使えることで、それぞれに合ったスマホにすることができます。
これと同じことを車版でやったのがテスラです。テスラでも、毎月OSが更新されたり、アプリが更新されます。車でハッキングされたらどうなるかが課題で、他社では未だに実現できていませんでしたが、テスラは世界一のセキュリティと言われるようなシステムを独自に構築しているため実現できています。
携帯の次は車、車の次は家、街とIOT化の流れは進展しています。
さらに、テスラの特徴として、空調やオーディオなどの操作が1つのパネルでできることが挙げられます。従来は、それぞれ搭載されているシステムが分かれていて、それぞれの製造者が異なりました。1つの製品にしようとするとサプライヤーが切られ、そこで働く従業員の仕事がなくなってしまうため、実現できていませんでした。その点、テスラでは自社の中で製品を開発することで、パネル1つで操作できるイノベーションを起こしました。
常にアップデートできる強み
濱本さん:
Webサービスでは、サブスクのように毎月料金を支払うケースが多いです。ソフトウェアとハードウェアの製品で比較すると、車のようなハードウェアでは商品を売り出すまでは多くのお金をかけますが、発売後は発売時から変わらない、というものが多いです。
これに対し、ソフトウェアでは、発売時には単純な設計でも、その後の利用者の要望に合わせて機能が追加されたり、使いやすくなったりと発売後にお金をかけて製品がアップデートされます。
従来の製造業では、製造時に工場に原価計算書を送ると、それ通りには製品を作っても、その後の改善ができませんでした。一方、テスラでは販売後のサービスアップデートを見越して販売しているため、常に改善できるとともに、全力でアップデートしようとする力が働く仕組みになっています。
人間が生きられる環境を創るために
濱本さん:
イーロン・マスクは過去にこのようなツイートをしています。
ここから、現在イーロン・マスクが取り組んでいる事業は、地球環境問題の解決と火星移住の方向性に二分して捉えることができると考えています。
最初の会社、オンラインコンテンツを提供する「Zip2」を起業後、オンライン金融サービスと電子メール支払いサービスを行う「Xドットコム」を立ち上げ、同会社とコンフィニティが合併して「ペイパル」が設立され、その後売却へと買収と成長を繰り返していきました。「ペイパル」を売却した資金で「スペースX」を設立し、本格的に宇宙産業に参入、「テスラモーターズ」への出資と続きます。
テスラの初期に事業に関わっていた方の話では、当時来月の電気代が支払えるかの心配をするほど、経済的にひっ迫した状況にあり、イーロン・マスク本人も工場の中で自動車の組み立て作業に従事していたとのことです。1億円のマイナスがありながら事業をスタートさせたのが現在のSpaceXとテスラの事業に繋がっています。
現在では、サステナブルの実現やエネルギー事業は世界的にも課題なっていますが、イーロン・マスクは20年前にこの構想を考え、実現してきています。実際に、持続可能なエネルギーとして再エネ開発をテスラ社で行い、移動体をサステナブルにするために地下トンネルを建設するなど事業に落とし込んでいることが分かります。
また、宇宙に住むという大きなビジョンから、SpaceXにおいて、まずビジネスになりやすい地球周辺移動から取り組み、並行して火星に住むための技術開発を行っています。
事業と事業との連続性
さらに、テスラとSpaceXの両事業があることで実現できる分野もあります。特に、衛星を使った通信ビジネス「スターリンク」は、自動運転技術にも寄与する可能性があります。
濱本さんの仮説では、4万個の通信衛星によりどこにどの車があるのかを把握し出来るようになるため、事故率も減少させられるはずだと考えられています。
事業の連携の面では、最近、テスラのアプリ内にTwitterが導入されることも話題になっています。
【参考】
ONEX’S blog 2021.01.09 「イーロンマスクが目指す世界」
ビジネス+IT「イーロン・マスクの知られざる反省、壮大すぎる夢追い人の”基礎”はこうして作られた」
ビジネス+IT「迫る破産危機にイーロン・マスクは何をした? スペースX、テスラの逆転劇の裏側」
多くの人にサービスを提供するために
SpaceXでも、テスラでも、製品開発後は、「より良く、より安く」とコストを削減しより多くの利用者に届けられるようにしています。テスラの自動車も、オンデマンドで車を貸し出す「Uber like」な事業をすることを発表しています。
また、地球周辺移動のサービスも、発射後の機器を回収する技術によって大幅にコストを抑え、3年後には飛行機のエコノミークラスと同程度の運賃で提供できるようになるとしています。
【参考】
HUFFPOST「『Uberと競合?いやいや...』イーロン・マスク、新事業"テスラ・ネットワーク"構想を語る」
地政学的リスクを捉える
SpaceXの衛星通信サービス「スターリンク」はウクライナとロシアの戦争で有名になりました。ウクライナの地上の通信基地局が破壊されたことをきっかけに、Twitterからゼレンスキー大統領が「スターリンク」の貸与を依頼しました。
また、アフリカなど基地局のないところでも、「スターリンク」を使って安価に通信システムを導入しようとしています。さらに、現在海の中でも通信が使える製品は少ないですが、「スターリンク」では、海中の通信も可能にしています。
利用者数が増加し、範囲が拡大することで、他の製品と同様に「スターリンク」でも「より良く、より安く」が可能になりつつあり、6600円と他のサービスと比較しても安価に使えて、普通に通信する分には十分な速度で通信できるようになってきています。
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