電子構造と電子状態の鈴木の解釈

以下は鈴木の主観的な考えです。

「電子求引性置換基を導入した化合物の紫外可視スペクトルにおいて、吸収バンドが長波長シフトしたので電子状態が変化したことがわかりました。」という人がいます。この時の「電子状態」には違和感があります。

電子状態は electronic state なので、例えば、一重項とか三重項とかを指す言葉でかなり限定的なタームかと思います。紫外可視吸収スペクトルでは一重項か三重項がわかるか?というとかなり詳細に解析すればわかるかもしれませんが、普通はわからないです。電子求引性置換基を入れただけで変わったらそれはすごい結論で、なんで?ってなります。

上述のようなことを語りたい場合は「電子構造」を使うのがテキトーかと思っています。電子構造は electronic structure なのでだいぶ緩く使えます。分子構造が少しでも違えば分子のもつ固有の電子の動き?がちょっと変わるので電子がもつ構造が変わる、と考えられます。これだと、ちょっと紫外可視吸収スペクトルが変わるということを表現するのに、「電子構造が変化しました」と言えばいいのです。

ということで、私が言うなら、「電子求引性置換基を導入した化合物の紫外可視スペクトルにおいて、吸収バンドが長波長シフトしたので電子構造が変化したことがわかりました。」となると思います。

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