すてきながま口を、使う
※このお話は今のところフィクションです。
がま口を、お財布として初めて使ってみた。
駅の改札で、PASMOにお金をチャージするために、がま口を開く。
お札を仕舞うときに、丁寧に仕舞わないと、くしゃっとなってしまう。
なるほど、お金は、丁寧に扱ってあげた方が良さそうだ。
とても当たり前のことなのだけれども、今まであまり気にしていなかった。
がま口からお金を出し入れするときは、丁寧に丁寧に、お金を入れたり出したりしよう、と、心の中で小さく誓う。
いつも通り、一軒家を改装したコミュニティセンターにヨガを教えに行ったら(私はヨガを教えることを生業の一つにしている)、お庭のお花をいただいた。
花の入れ替えをするそうで、先日まで花が生い茂っていた花壇は、すっかり一掃されていた。
また新しい種を蒔くのだという。
秋に蒔いた種は春に、春に蒔いた種は夏に咲くのだと、教えてもらった。
春になって新芽が出ていた街角の紫陽花は、あっという間に蕾をつけて、段々と花が開き始めている。
なにごとも、流れがあるのだなぁと、ふと思った。
まずは、土を耕して、種を蒔くところから、か。
なるほど、どんなことも同じかも知れない。
帰りの電車が最寄駅のホームに着いて、見覚えのある後ろ姿を見付けた。
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