第39回 マイルCSのみどころ
明日は、阪神競馬場でマイルチャンピオンシップ行われます。
まさに群雄割拠、ノーチャンスの馬は2頭くらいしかいないのかな……というくらいの大混戦となりそうですね。
それでは、早速、レースのみどころについて解説していくことにしましょう。
阪神11R マイルチャンピオンシップ
これだけの大混戦になると、道中の位置取りの差だけで結果がゴロンとひっくり返ってしまうものですが、それに加え、明日の天気がなんとも微妙。
スパコンの予報を見ると、阪神競馬場に強い雨雲がかかるかどうかは五分五分みたいな感じですから、前日に記事を出す身としては、相当に悩ましい状況となってしまいました。
先週のエリザベス女王杯も、昼前後の強い雨が無ければまったく違う結果になっていた可能性もありますから、実際に明日、馬券を買う予定の方は、できる限りレース直前まで慎重に馬場傾向を見極める必要に迫られるのではないでしょうか。
前売りを買うのは、それ自体が大きなリスク。そんな状況にあるんだろうと思います。
ただ、事前にできることがないかと言えば、決してそんなことはありませんから、できる準備だけはしておきたいところ。
ということで、まずは昨年のこのレースと、春に東京で行われたヴィクトリアマイル、安田記念の計3レースを振り返りながら、現状における出走各馬の力関係を推し量っていきたいと思います。
まずは、昨年のこのレース。
マイルの絶対王者グランアレグリアが大外から各馬をねじ伏せる形で勝ち切ったわけですが、2着シュネルマイスターは馬場の悪い内をうまく捌いて伸びてきましたし、3着ダノンザキッドもグランアレグリアを負かしに行く強気なレースをできていましたから、少なくとも一年前の時点では、このメンバーに入ればこの2頭の力が一枚抜けていたとは言えるのでしょう。
また、5着ホウオウアマゾンは馬場の悪いところでしぶとく粘り、6着サリオスはブリンカー着用が裏目に出た中で大きくは負けていませんから、この2頭に関しても、ガッチリと噛み合ったらワンチャンス。そんな位置にはいたと判断すべきなのかな、と。
次に、ヴィクトリアマイル。
ここは、ソダシが好時計で快勝。このレースではスムーズさを欠いたソングラインが、次の安田記念ですぐに巻き返した事実を見ても、レースレベルに関しては、最低でも安田記念と同格くらいの評価はしておかないといけないのではないでしょうか。
最後に、安田記念。
ここは、前年のNHKマイルCの1,2着馬の着順が逆転しただけという結果でしたし、その1,2着馬とて、はたして本当に本調子でレースに臨めていたのかという疑問も残りますから、個人的にはあまり高い評価は与えられないレース。そう見ています。
このレースには、 3着と好走したサリオスのほか、ダノンザキッドやホウオウアマゾンも出走していましたが、サリオスはブリンカーを外した分だけ前進してきたけれど、ダノンザキッドは状態面が今ひとつ、ホウオウアマゾンは東京コースとの相性が悪いという理由で力を出し切れず、これらの馬たちもなんとも煮え切らない走りになってしまった印象が強かったですね。
そしてこのレースには、上がり馬として臨んだソウルラッシュも出走していましたが、最後の直線でドン詰まって万事休す。こちらは評価不能なレースとなってしまいました。
最後に3歳馬について付け加えておくと、今年のNHKマイルCは基本的に凡戦という評価でよく、ダノンスコーピオンとセリフォスの2頭の現状の力では、マイルの一線級相手にはやや足りない。そんな位置にいるような気がします。
この2頭ならば、前走の富士Sで接戦を演じたソウルラッシュのほうが、前走からの上積みも加味すれば好走のチャンスは大きいと思えますし、そうすると、マテンロウオリオンを含めた今年の3歳馬は、馬場なり、展開なり、よっぽど何らかの要素がガッチリと噛み合わない限り、苦戦は免れないのかな、と。
こうやって、ここ一年で行われたマイルGⅠの結果を振り返ってみると、シュネルマイスターとソダシが頭一つ他馬をリードしている印象があるものの、体調面や道中の位置取りなどちょっとしたことで力関係が逆転してしまうくらいの力差しかない。そんな言い方ができるように思います。
つまり、GⅠ実績がない馬でも、十分に勝ち負けに持ち込めるのが今年のマイルチャンピオンシップ。大雑把に言えば、そのようなな見立てでいいのではないかと考えています。
そうなると、あとは展開面と馬場、それから当日の各馬の状態ということになるでしょう。
正直、これらは直前までわからないことばかりですが、こと展開面に関してだけは、ある程度の想像はできそうですよね。
おそらくですけど、ハナは②ウインカーネリアンか⑫ホウオウアマゾンのどちらかでしょう。
⑭ベステンダンクも行ければハナに行きたいクチですけど、今のこの馬のダッシュ力では、ハナに行き切るところまでは難しそうですから、結果的にはジョッキーの胆力の差で、ホウオウアマゾンがレースを先導する可能性が高いのかな、と。
だとすると、坂井瑠Jが極端なスローに落とすとは考えづらいので、おそらくペースは昨年と同じか少し速いくらい。そう考えるのが自然かな、と。
個人的には、切れる脚のないホウオウアマゾンで大逃げを打ったら結構いい線まで粘れると思うのですが、さて、本当にそんな形になるのかどうか。ちょっとだけ期待はあるのですけれど、このあたりはいかにも不透明なところではありますね。
さて、ここからは個人的な結論を。
中心には、⑦ジャスティンカフェを推したいと思います。
この馬のベストは、ズバリ、マイル。ここ2走は、東京の千八で負けていますが、阪神のマイルに舞台が変われば、この馬の切れ味が存分に発揮されるに違いない。そう考えました。
個人的には、先週のリステッドを勝ったウインシャーロットを子ども扱いできる馬は、GⅠでも好勝負できる素質を秘めていると考えていて、今回、この条件に該当するのは、ソウルラッシュとこの馬の2頭。これまでの実績面では上位人気馬に見劣りしますが、適条件を得たここは、とことん自分の競馬に徹し、最後の直線で全馬まとめて面倒を見られるはず。そんな見立てでの中心視となります。
馬場は、あまり悪化しないほうがいいですけど、デビュー戦で中京の道悪をこなせていますから、多少の雨ならこの馬にトラックバイアスが味方することも考えられるので、先週くらいの悪化までであれば、あまり割り引かなくてもいいのかな、と。
2番手は、⑪ソウルラッシュ。
この馬も、ウインシャーロットとの比較でGⅠでも通用する可能性をすでに示せていますし、春の安田記念も、個人的にはまともなら勝ち負けのラインまで突っ込んできていたはず、と考えているので、このメンバーに入っても力負けするイメージはまったくありません。
馬場不問で動けるのもいいですし、枠的にも馬場のいいところに持ち出しやすい好枠を引けましたから、力さえ出し切れれば、苦も無く上位に進出してくる。そう考えています。
3番手は、⑫ホウオウアマゾン。
この馬は、スイートスポットが狭いタイプの馬なので、ハマらないと大きな着順になることも多いのですが、阪神のマイルはベストの条件ですし、スンナリと前に行ける組み合わせで適度に時計が掛かる馬場になれば、春のマイラーズCでの好走を持ち出すまでもなく、結構いい線まで粘れるのではないか、と。
前走の凡走で一気に人気を落としていますけど、昨年のこのレースでサリオスを差し返したしぶとさは今でも印象に残っていますから、坂井瑠Jの現状の勢いをも考慮に入れるならば、決して侮ってはいけない伏兵馬。そんな扱いが妥当な気がしますね。
最後4番手には、⑨ピースオブエイトを拾っておきます。
この馬、時計のかかる馬場、そして阪神のマイルがピッタリの条件だと思うのですよね。前走はジョッキーも後ろからソロっと乗りましたが、本来はもっと前に行ける馬ですし、明日のレース条件を考慮すると、3歳馬の一発があるとすればこの馬なのかな、と。
過度な期待まではできませんが、GⅠ実績のある古馬勢にいろいろと不安な点が散見されることを考えれば、この馬にもワンチャンスはあっていいように思います。
その他、ここはどの馬にもチャンスがある組み合わせですから、言い出したら本当にキリがありませんからね。
シュネルマイスターは、状態面がどうかという不安と、となりのムーアJにがっつりプレッシャーをかけられそうな点が嫌ですし、そのサリオスも安田記念では最後は脚が鈍りましたから、ムーアJが2歳時のイメージで強気に乗ると、終い伸び切れないイメージもありつつ、、、
さらにソダシは、ここ2走の走りにもの足りなさが残りますし、ダノンザキッドもこの枠を引いてゲートで終わってしまうリスクもありますから、どちらもちょっと狙いづらいよな~、と。
まあ、そんなこんながあって、結果的に人気薄の各馬を狙うことになりましたけど、決してあまのじゃくでこの結論になったわけではありません。
よって、個人的には普段どおりのテンションでレースを楽しめたらいいですね。ここまでGⅠは絶不調続きですけど、小細工したからと言って、予想が的中するわけではありませんから……。
まずは全馬無事に、そして明日は各馬がしのぎを削る素晴らしいレースになることを祈りつつ、願わくば思ったとおり、またはそれに近い結論になることを期待して、レースの発走を待つことにしたいと思います。