第28回 NHKマイルカップ/第45回 新潟大賞典のみどころ
明日は、東京競馬場でGⅠNHKマイルカップが、新潟競馬場でGⅢのハンデ戦、新潟大賞典が行われます。
今年のNHKマイルカップは、ただでさえ力の比較と展開の読みが難しいところに来て、レースまでにどの程度の雨が降るのか非常に不透明な予報となっていますので、前日出しとなるこのコーナーを切り盛りする者としては、思わず頭を抱えてしまいたくなる苦しい状況に陥ってしまいました。
それでも、できる限りの比較はキッチリやっていきたいと思っていますので、少しでも皆さんの役に立つ情報発信になればよいのですが……。
では、早速、レースの見どころについて、解説していくことにしましょう。
東京11R NHKマイルカップ
今年の3歳マイル戦線は、阪神ジュベナイルフィリーズと桜花賞がハイレベルなレースだったのに対し、朝日杯フューチュリティステークスは明確な低レベル戦。
さらに、このレースのトライアルに位置付けられるレースに関しても、大枠としてさほどのレベルにはなかったという事実が、ひとまずは予想の大前提になると考えていいのではないでしょうか。
あえて言うならば、着順の良かった馬を素直に評価できるのはニュージーランドT組だけ。その他の臨戦過程からここに出走してきた馬に関しては、着順以外の部分に決定的なストロングポイントを持っていないとやや厳しい。そんな言い方ができるのかもしれないですね。
次に展開ですが、「できるだけスムーズに先行したい」という馬がズラリと揃った今年は、さすがにスローということはなさそうですけど、馬場が悪化してジョッキーたちがペース配分を過剰に意識したりすると、思わぬラップ構成になることもありそうですからねぇ~。
そこらへんのところを正確に読み切るのは、正直、困難という以外にないのですけれど、ひと押しを欠くが幅広い展開に対応できる馬を狙うのか、それとも自滅するリスクは高いけどハマった時に爆発力はスゴイという馬を狙うのか。
この点に関してだけは、いずれにしろ必ず決断を迫られるわけですので、やはりある程度は大胆に決め打ちしていかないと、良い結果を得るのは難しい。そんな気がしています。
そして、さらに厄介なのは、相対的にポテンシャルの高いと思われる複数の馬が、非常にスイートスポットの狭いキャラクターであるということ。
ハナに行けないとまったくダメ……とか、ちょっとでも行きたがったらアウト……とか、、、
まあ、各馬ともいろいろと注文がつくものだから、本当にこのレースを当て切るのは難しいな、と。「裏の裏は表でしたね」でいいのなら話は別ですけど、狙ったとおりに的中に持ち込むのは、かなりの至難の業であると考えているところでもあります。
そんなこんなな状況ですので、まずはポテンシャル的に通用しそうな馬を次のとおりピックアップしてみました。
順不同で、内枠から順に、モリアーナ、ウンブライル、シングザットソング、エエヤン、シャンパンカラー、ユリーシャ、カルロヴェローチェ、ミシシッピテソーロの8頭となります。
考え方としては、まず朝日杯フューチュリティステークス組は全馬を選外とした上で、ニュージーランドT組の掲示板組を全馬ピックアップ。
続いて、ハイレベルだった桜花賞最先着馬と、その馬に完勝した実績がありつつアーリントンカップで自爆した馬を拾い上げ、最後にトップパフォーマンスが特に優秀な馬をケアした格好です。
今度は、8頭から絞り込んで行く作業を。
まず、カルロヴェローチェに関しては、外枠を引いてピタリと折り合うイメージがまったく湧いて来ないので、走ってもタマモブラックタイに敗れた前走程度が限界とみて消し。
次に、シングザットソングについては、桜花賞が完璧なレースをしてクイーンCの1,2着馬に先着を許したので、対モリアーナではやや分が悪いとみて消し。
続いて、前走が完璧な競馬であれ以上のレースは望みづらいと判断したウンブライルを消し。
そして最後に、雨の影響でパワーが必要な馬場になった時に、軽い走りをするモリアーナには厳しいとみて同馬を消し、4頭まで絞ることとしました。
ということで、中心には⑥エエヤンを推します。
この馬に関しては、実績のない東京コースに替わることを不安視する向きもありますが、二千メートル戦で出遅れてスキルヴィングと2馬身差だったデビュー戦を振り返ってみれば、コース替わりがなんら不安材料にならないことは明らかだと思っています。
あとは折り合い面がどうかですけど、戸崎Jに乗り替わることで暴発するリスクはかなり低くなりましたし、先行馬が揃ってペースが流れそうなこともこの馬にとっては好材料ですので、ここも実力発揮に支障はないとみて、シンプルにこの馬を中心視することとしました。
2番手は、⑪シャンパンカラー。
この馬は、東京のマイルがベストという印象がありますので、舞台が替わることでエエヤンとの差が詰まる可能性は十分。そう考えています。
あとは、鞍上面がどうかですね。正直、戸崎Jの騎乗なら勝ち切るシーンまであっていいくらいに考えていたのですけれど、アクセルワークに難のある内田博Jの騎乗でどこまでスムーズなレースができるか。すべてはそこにかかっているような気がしています。
この点、鞍上の特性を踏まえるならば、馬場が悪化して底力勝負となったほうが、むしろこの馬にはプラスに作用するのかもしれません。
3番手は、⑭ユリーシャ。
こちらは、展開面が課題になることは間違いありませんが、もしもスタート難があるフロムダスクが出遅れてこちらがマイペースで行けるようなことがあると、かなりいい線まで粘るシーンがあっていいのではないか、と。
今回は、暴走ラップを踏みパッタリと止まった前走の惨敗で一気に人気を落としていますけど、2走前には強い桜花賞2着馬とシングザットソングに好時計で完勝しているわけですから、結果はどうあれ、完全に人気の盲点になっていることだけは間違いありませんからね。
もちろん、ピンかパーか的な存在にはなりますが、この人気で消してしまうにはあまりに惜しい馬ではありますので、一発大駆けの期待込みで最後のひと枠はこの馬に使うこととしました。
最後4番手に、⑰ミシシッピテソーロを拾っておくことにします。
この馬は、レース直前にまとまった雨が降ったりして、急激な勢いで外が伸びるトラックバイアスへと変化した時、無欲の追い込みでアッと言わせる想定での推しとなります。
力的にガチンコ勝負ではさすがに厳しいでしょうが、前走と阪神ジュベナイルフィリーズの5着は、どちらも馬鹿にできない立派な実績ですので、昨年人気薄で3着と健闘したカワキタレブリーの役回りを引き継ぐ馬がいるとすれば、この馬以外にはいないという判断に最後は至りました。
新潟11R 新潟大賞典
明日の新潟は、雨が断続的に降り続く予報となっていますので、いかに水はけがいい競馬場とはいえ、それなりに重い馬場になると考えたほうがいいでしょう。
よって、極端な瞬発力勝負にはならず、ある程度は地力を問われるレースになる公算が高いのではないかと考えているところです。
展開的には、トーラスジェミニがスタートを決めてハナを主張するにしろ、スピード上位のショウナンマグマがスッと先頭に立ってしまう形になるにしろ、いずれにしても極端なハイペースになることはないはず。
よって、前半はいつでも仕掛けられる位置で脚を溜め、勝負どころから馬場のいいところを選んで差してこられるタイプの馬に有利な競馬となるのではないでしょうか。
ということで、中心には⑧モズベッロを推します。
この馬は、GⅠで馬券圏内が2回もある馬ですので、条件さえ揃えばここでは力は上の存在と言っていいでしょう。
そして今回、降り続く雨の影響で時計がかかる馬場になって、いよいよこの馬向きのレースになりそうな条件が揃ったわけですから、展開不向きの前走でも大きく崩れずに走れていたことを考えれば、ここは3年ぶりに重賞制覇のチャンスが回ってきたと考えたいですね。
2番手は、⑥セイウンハーデス。
この馬は、極端な道悪になるとどうかですが、ある程度の馬場悪化はこなせる馬ですので、今の充実ぶりなら、前々で流れに乗って十分に勝ち負けに持ち込めるのではないか、と。
3番手は、②カラテ。
この馬にとって、時計がかかることは間違いなくプラスですから、トップハンデではありますが、この相手関係なら、さすがに大きく崩れないのではないでしょうか。不器用な面があるので、取りこぼしの不安はどうしても拭いきれませんけど……。
4番手は、⑦カレンルシェルブル。
この馬は、おそらくこの条件がベストですので、その分のプラスを見込むのなら、ここで通用しておかしくない気がするのですよね。基本は詰めが甘いタイプの馬ではありますけど、ここは脚の使いどころがうまくハマりそうな予感もありますので……。
その他、スパイダーゴールドは、馬場悪化がマイナス材料になるとみて評価を下げました。良馬場なら消すという選択はなかったのですけれど……。
レッドランメルトは、器用さを生かしたい馬だけにこの条件がどうなのか、そこが引っ掛かったのでこちらも評価を下げました。力はここでも通用するだけのものを持っているのですがね。
ロングランは道悪になって怖さが出てきたのですが、それでもやや足りないとみて拾うところまでは行きませんでした。
キラーアビリティは、今のこの馬の力だと、トップハンデの道悪はちょっと厳しいのかな、と。
ヤマニンサルバムは、立ち回り上手なので崩れないとは思うのですが、この馬も道悪で時計がかかるのはマイナスなのかな、と。
ピースワンパラディやハヤヤッコにも道悪になっての怖さがありますけど、さすがにここまでは手が回りません。