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第42回 ローズステークスのみどころ


中京11R ローズステークス


明日の中京は、終日すっきりしない天気となる見込みで、レース時間中に雨が降る予報も出ていますので、前日段階で馬場の状況を見定めるのが非常に難しい状況となってしまいました。

したがって、本稿は「雨が降ってもやや重まで」という想定の下で書いていますが、レース直前まで馬場状態やトラックバイアスを見極められる方は、適宜、情報をカスタマイズしてご活用いただければと思います。


はじめにメンバー構成についてですが、ここは「オークス組 vs. 夏の上がり馬」という構図に春は牡馬戦線を主戦場としてきたレガレイラが加わったことで、かなり混沌とした状況になったとみていいでしょう。

ダービーとオークスの走破時計だけに着目するならば、レガレイラが抜きん出た存在であるとまでは言えませんが、両レースのラップ構成にまで目を向ければ、ダービーのほうが中身が濃いのは一目瞭然ですので、戦前における能力比較では、レガレイラがオークス組を一歩リード。
それくらいのさじ加減で、力関係を捉えておくとちょうどいいような気がしています。


そうすると、次に「オークス組 vs. 夏の上がり馬」という構図をどのように紐解いていくかが大事になってくるわけですが、そのカギを握るのは、このレースに出走していないランスオブクイーンになる気がするのですよね。

ランスオブクイーンは、中1週、中2週のローテーション、かつ長距離輸送があるかなり厳しい臨戦過程でオークスに出走し、僅差5着と大健闘。
大外枠から出て自ら前を捕まえに行く苦しい競馬を強いられての好走劇であったことをも踏まえると、もしもこの馬がひとつ前の未勝利戦を勝って余裕のあるローテーションで本番に向かい、ほんのちょっとの運を味方につけて好枠を引いていたとすれば、十分にオークス馬になる資格があったのではないか、と。

そう考えると、未勝利戦でランスオブクイーンを力でねじ伏せたチェレスタにはここで好勝負を演じる資格が十分にあるということになりますし、新潟の1勝クラスの平場戦でランスオブクイーンの後を追う形で伸びてきたサンセットビューも大きな力差はないとも言えるでしょう。
ならば、上記2頭とオークス最先着馬でここでも上位人気が予想されるクイーンズウォークとの比較においても、まったく歯が立たないどころか少なくとも互角に近い力関係にはある。そうみるのが自然ではないでしょうか。

さらに言うと、カニキュルはフローラSで紫苑S勝ちのクリスマスパレードを上回る内容のレースをしていましたし、オーロラエックスの前走時計は、同日に行われた米子Sの走破時計から換算してもかなり優秀。
レディーヴァリューは、自らハイペースを刻み同型馬を競り落として好時計勝ちをしての臨戦となるほか、フレミングフープは、前走で速い上がりを大外から問答無用に差し切る強いレースを見せてきましたので、上がり馬勢の層の厚さは、マスクトディーヴァを筆頭に上位を独占することとなった昨年のこのレースに近いレベル。そんな見立てができると思います。

ということで、総じていえばここは超ハイレベル戦になる公算が高く、GⅡ戦ではありますけど、年に数回レベルのものすごくワクワクするレースになることを期待せずにはいられません。


最後に展開ですが、逃げ候補となるはレディーヴァリューとセキトバイーストの2頭ですが、テンのスピードと枠の並びから逃げるのはレディーヴァリューになる公算が高く、問題は、スローに落とそうと思えばそれが叶いそうな環境が整っている中、永島Jがはたしてどんなレースメイクをしてくるかに尽きるでしょう。

当研究所的には、変にペースを落とさずきっぷのいい逃走劇を見せてくれると考えていますが、この馬のレースメイクが着順に大きな影響を与えることはほぼ間違いありませんので、そこをどう考えるかはより慎重に判断すべきなのかな、と。


ということで、中心には④チェレスタを推します。

前述のとおり、この馬はまったくもってオークス組に位負けすることはありませんし、「長くいい脚が使えて渋った馬場にも対応できる」という意味で言えば、明日のレース条件は相性ピッタリな気がしています。
また、折り合い面に不安な点がなく、レースぶりが大人びている点も強調材料になりそう。もちろんオークス上位組を完全に凌駕するというところまで行くかどうかは微妙ですけど、少なくとも上位争いの一角には喰い込んでくるとみて大丈夫なのではないか、と。


2番手は、①カニキュル

この馬のフローラS3着の内容は、当時の1,2着馬を上回るもので、先着2頭のオークスでのレースぶりを振り返ってみれば、この馬は春当時からオークスで掲示板に乗れるくらいの実力を備えていたとみていいのではないでしょうか。
またこの馬の場合、道中の折り合いがポイントになるわけですが、その点、最内枠を引いて前に馬を置く形でレースを運べそうなことが、何よりもの強調材料となることは間違いありません。
そう考えると、残る課題は輸送でイレ込まないかだけ。もともとテンションが高い馬だけに、パドックの気配は注視しないといけませんが、力を出し切れる状態に仕上がってさえいれば、上位争いの一角に喰い込んでくるのはほぼ間違いない。そう考えています。


3番手は、⑥レディーヴァリュー

この馬の前走を振り返ってみると、仮に自分の理想のレースができたなら、このコースを楽に1分57秒台で走破してきそうなイメージが湧いてくるのですよね。
明日は極端な高速馬場にならなそうですし、トラックバイアス的にもこの馬に有利とはいえない状況になる可能性もありますが、その分を差し引いたとしても、まだまだ十分すぎるほど魅力あふれる存在であるとみます。
イメージとしては、3年前のこのレースで2着に粘り穴を開け、秋華賞本番でも4着と健闘したエイシンヒテンのような位置づけになると言えるでしょうか。


4番手は、⑦サンセットビュー

前述のとおりこの馬は、夏場に成長を遂げランスオブクイーンと僅差の勝負に持ち込めるくらいの地力をつけてきましたので、いまならオークス掲示板組と遜色ない競馬ができると見込んでいます。
前走の敗因は、スローペースになってやや仕掛けが速くなってしまっただけですので、まったく気にしなくてもOK。
さすがに地力勝負になるとキツそうですけど、時計の掛かる馬場になって権利取りに徹するような弱者のレースをすれば、漁夫の利を得て馬券圏内に突入してくるシーンまで十分にあり得る。そんな評価にしておきます。


その他、レガレイラに関しては、明確に地力上位であることを承知の上であえて選外扱いとしました。
その理由ですが、今回も十中八九出遅れるでしょうし、本番を控える中で鞍上が無理に外から位置を取りに行くようなことをしないと読めば、後方待機から外を回して差してくるいつものレースに徹する公算が高いのでしょうが、仮にそうなった時に、はたして前の馬たちをサクッと差せるのか。
当研究所的には、そうは問屋が卸さないのではないかと考えていまして……
根拠としては、この馬よりも前に位置するであろう馬たちがかなり速い脚を使える馬であるというところにあり、言い方を変えると、レガレイラ自身はこの馬なりにいいレースをしてくると思うのですけれど、チェレスタやカニキュルに一列前の位置から速い脚を使われてしまうと、さすがのルメールJをしても先に抜け出した馬たちを簡単には捕まえ切れないのではないか。そんな考えがあるためです。
もちろん、半分は妄想で終わってしまう覚悟を持ちつつですが、残り半分は本気。それくらいの感触はあるんですけどね。はたしてどうなりますか。

クイーンズウォークは、このレース条件が合っていそうですし、桜花賞、オークスは人気ほど走れませんでしたが、ここも走破圏の一頭であることに間違いはないでしょう。ですので、あえて消したというよりは、序列的にただ拾い切れなかっただけ。そうご理解いただけたら、と。

オーロラエックスも、ここで勝ち負けに持ち込める力があることは当研究所も素直に認めるところです。
ただしこの馬は、スタートが遅くモタモタしていると今回も序盤の位置取りが後ろになってしまいそうですので、そうなってしまった時にはたして挽回が利くのかどうか。前走はうまく行きましたけど、今回は多頭数で相手もかなり強いですからね。

前走のレースぶりが鮮やかだったフレミングフープもまた、走破圏内の一頭とみていいでしょう。
ただ、川田JからM.デムーロJに乗り替わる今回は、「前走ほど道中で脚が溜まらず、いい感じで伸びてきて最後は前と脚色が一緒になってしまう」という絵面がどうしても脳裏に浮かんでしまい……


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