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第57回 共同通信杯/第116回 京都記念のみどころ

明日は、東京で共同通信杯が、阪神で京都記念が行われます。

今週は、どちらのレースも非常にワクワクするメンバー構成となりました。一歩引いて見ても、春のGⅠ戦線を賑わせてくれるような馬がうじゃうじゃいる印象ですから、レースを観る楽しみという意味で言えば、ある意味、ショボいGⅠ以上の期待があると言っていいのかもしれません。

競馬場に出かけて行って、明日のレースをライヴで観た人は、もしかすると歴史の証人になってしまう可能性も十分。どちらのレースも、それくらいの期待を抱かせてくれるレースであることは、ほぼ間違いないのではないでしょうか。


ただし、、、です。どちらのレースも馬券的には超難解なんですよね。

正直、バットに当てに行って確実にシングルヒットにできる感触はまったくありませんので、見せ場のない2タコも十分に覚悟しつつ、フルスイングしちゃったほうが確率論的にはまだマシ。そんな戦略で、明日の2重賞には挑んでみようかと考えています。


では、早速、それぞれのレースの見どころについて、解説していくことにしましょう。


東京11R 共同通信杯


ここは、何を軸としてレースシミュレーションを組み立てるべきか、そこをまず最初に検討しないといけないのでしょう。

メンバー構成的に、これだけ初対戦の馬ばかりということになると、各馬のポテンシャルを高い精度で比較するなんて、ほぼ無理と言ってもいいくらいの状況ですので……。


その中で、正解に辿り着くためのひとつの手掛かりとなりそうなのが、主要なステップレースのレベル評価ということになります。

ただ今年は、ホープフルSがドスローからの行った行った決着になったり、朝日杯フューチュリティステークスがトラックバイアス優先の馬場コンディションで行われることになったりと、今ひとつ「このレースは確実にハイレベルだったよな!」と言えるレースが見当たらないのですよ。

よって、苦肉の策にはなりますけど、ガチンコ勝負になった場合でもある程度は戦えそうな馬を最初にピックアップし、その中で展開とトラックバイアスがピタリとハマりそうな馬を中心に据える。このレースに関しては、そんなやり方くらいしか良いアプローチの方法が思いつかないな、と。


ということで、ここは思い切って⑫ロードプレイヤーを中心視することにしました。

ホープフルSで内容の濃いレースをし、見事3着と好走したキングズレインに関して、私自身はこれまであまり高く評価していなかったのですけれど、ホープフルSと百日草特別のVTRを何度か見ているうちに、いやいやどうして、キングズレインは見た目の印象以上に能力が高いんじゃないのかとちょうど思い直したところだったんですよ。

そんでもって、彼の能力を過小評価していた原因が、百日草特別のレースレベルを低く見積もっていたところにあるんじゃないのか……とね。

そして今日、まるでその考えを補完するかのように、新馬戦でロードプレイヤーと大接戦を繰り広げたブレイディヴェーグが東京の未勝利戦で圧巻の走りを見せつけてくれましたから、「なるほどそうだったのか」と勝手に意を強くしたというわけ。

この馬、ここ2戦は直線勝負に特化したレースをしていますが、その気になれば中団後ろあたりの位置を取れる馬ですから、前と極端に離されない位置でレースの流れに乗れるようだと、ラストはものすごい切れ味を発揮して勝ち負けに絡んでくる。そんな期待をしてみることにしました。


2番手は、④シーズンリッチ

この馬をこの位置に抜擢したのは、ロードプレイヤーとの比較で、「あっちが勝ち負けなら、こっちもでしょ!」みたいなシンプルな感覚です。

百日草特別では、出遅れて、道中で脚を使って、早めに先頭に立って……
という非常に厳しい競馬になった中でも、残り1ハロンまでは先頭をキープしていたくらいですからね。

加えて、この馬とって距離短縮は間違いなくプラス材料になりますし、この枠からスタートを五分に出られれば、前に馬を置いて脚を溜める競馬ができるでしょうから、その形になれば、こちらもかなりいいところまでは行くんじゃないか、と。妄想かもしれませんけど、個人的には、結構感触があったもするのですよ。


3番手は、⑥タスティエーラ

この馬に関しては、初戦で負かした相手がその後次々と強い勝ちっぷりで未勝利戦を勝ち上がっていますから、見た目の印象もかなり強烈でしたけど、もしかすると、この馬自身がとんでもない大物である可能性も否定はできないと思うのですよね。

常識的にはやや狙いづらい1戦1勝馬ですが、この馬に関しては昨年のダノンベルーガと同様に、そんな不安を打ち消す快走を見せてくれるのかも……。そんな期待を持ちつつ、レースを観戦したいと思います。


4番手は、①ダノンザタイガー

この馬に関しては、非常にスケールの大きい走りをしますし、昨秋からの成長も確実に期待できますので、ここも崩れずに走ってくるのではないかと考えます。

ただし、東スポ杯組のその後の成績がひと息であること、最内枠を器用に捌けるタイプの馬でもないことを考えると、今回の期待度は、このあたりまでにしておいてもいいのかな、と。


その他、レイベリングは、高いレベルで言うと千四くらいがベストにも思われたので、鞍上が外々を回ってなし崩し的に脚を使ってしまいそうな点も含め、今回はやや評価を下げることにしました。

ファントムシーフは、センスがいいので堅実には走ってくると思いますが、前走時のキングズレインとこの馬のパフォーマンスを比較した時に、実は百日草特別組のロードプレイヤーとシーズンリッチを上回ることができないのではないだろうか。そう考えた次第です。

タッチウッドはとにかく素質の高さを感じさせる馬なので、スローの単騎逃げに持ち込まれたら怖いなという気持ちはあります。ただし、好位差しのレースで楽勝したタスティエーラと比べると、こちらのほうがここでキャリアの浅さを露呈する可能性が高いと思われますから、怖さはありつつも、さすがにここまでは拾い切れないと判断しました。

シュタールヴィントは、東京千八の上がり勝負がピッタリの印象なので、あまり人気がないようですけど、間違いなく怖い一頭ではあるのですよね。ただしスケール感という意味で言うと、GⅠで勝ち負けするレベルには確実に足りない印象ですから、上位に評価した馬たちに力を出し切られてしまうと、この馬では少し足りないのではないかと最後は結論づけました。


阪神11R 京都記念


ここは、世代構成的にも、脚質的にも、臨戦過程という意味でも、非常にバラエティーに富んだメンバー構成となりました。

ここに出走するメンバーは、この先、大阪杯や宝塚記念で再戦することになりそうですから、各馬の今後を占うという意味でも、非常に重要な一戦になると考えていいのでしょう。


ただしここは、芝を張り替えた直後の開幕週ということもあり、おそらく、あまりフェアな馬場でのレースにはならないのではないか、と。

昨年のこのレースを振り返ってみると、逃げたアフリカンゴールドが勝ち、インのポケットの位置からしぶとく伸びたタガノディアマンテが2着に入って大荒れとなったんですよね。

ただ、4着ジェラルディーナ、5着ユーバーレーベン、7着エヒトあたりのその後の成績と比べた時に、上位2頭の成績は明らかに劣っているわけですから、昨年のこのレースに関しては、脚質と展開という要素がものすごく大きな割合で結果とリンクしたと考えるべきでしょう。

そして今年に関しても、昨年と似たような傾向をたどることは十分に想定できるわけですから、結果的に人気馬同士の決着になることはあり得ても、「ドウデュースとエフフォーリアのどちらが強いのか」みたいなところを入り口にして予想を組み立ててしまうのは、明らかな愚策と言い切ってしまっていいような気がしています。


そこで、はたして展開がどうなるのか……が焦点になってくるわけですが、前に行くのは、内からアフリカンゴールド、キングオブドラゴン、ユニコーンライオンの3頭でほぼ決まり。

このうち、キングオブドラゴンとユニコーンライオンは同厩舎ですし、キングオブドラゴンは控える競馬をした前走で一定の前進があったという事情もありますから、この2頭の並びに関しては、ユニコーンライオンが前と見てほぼ間違いありませんので、あとはそこにアフリカンゴールドがどこまで絡んでいけるのか。

個人的には、そんなレースの形になるんじゃないかと想像しています。


そうすると、この3頭の直後のポジションをどの馬が取り切るのか……。そこが非常に大事になってくると言っていいのでしょう。

私の感覚で言えば、この点をどう読むかが、このレースの的中/不的中を分ける明確な分水嶺となる。そんな見解ですね。


ということで、ここは⑧プラダリアを中心視することにしました。

その根拠としては、先行3頭の後ろのポジションを、この馬が自然体で確保してきそうであることが、まず最初に挙げられます。

前走の行き脚を見ても、この枠の並びなら、1コーナーまでに4番手のインを確保できそうな気配が濃厚ですし、仮にウインマイティーがインから突っ張ってきても、その後ろにスッと下げればいいだけのことですから、まずもってこの馬に展開上のアドバンテージがあるのではないか、と。

加えて、前走日経新春杯のレースぶりをパトロールで何度か再検証してみたのですが、この馬の道中でのロスの大きさは、レース直後に感じていたもの以上に甚大で、改めて考えてみると、よくあのレースぶりで3着に好走できたなと思うくらいだったんですよね。

ということは、本調子を欠いていたと思われる秋とは明らかに違う馬になっていると評価してもいいのでしょうし、もっと言えば、昨年のダービー当時からの成長も感じさせてくれるくらいの充実ぶりですから、今年に入って順調にレースを使えていること、展開利を得られそうなことをも考慮するならば、ダービーでつけられたドウデュースとの決定的な差を、ここで一気に逆転してきてもまったくおかしくはない。最後はそう判断しました。


2番手は、⑥ユニコーンライオン

今の阪神の馬場状態を考えると、先行馬の前残りは確実にケアしないといけないというのが個人的な見解。じゃあ、先行3頭の中で最もチャンスがあるのはどの馬か……という話になるわけですが、今回に関しては、単騎逃げが濃厚なこの馬でいいのだろうという考えに最後は落ち着きました。

もとをただせば、この馬は宝塚記念2着の実績があるわけですし、さすがに当時の充実ぶりにはひと息だったとしても、昨秋の段階で福島記念を勝てるところまでは復調していましたから、そこから少しでも上積みがあれば、十分に逃げ残りの目が見えてくる。そんなふうに考えています。


3番手は、⑩エフフォーリア

正直、今回は、この馬の置きどころに一番悩みました。

この馬の場合、現状、一昨年の充実ぶりにないことが明らかである一方、前走の有馬記念では昨春よりは復調に向けて一歩前進した姿を見せてくれましたから、少なくとも「前走より走れないことはない」と考えるのが妥当なのかな、と。

ただ、横山武Jの性格を考えると、前半は好位のいい位置で流れに乗るレースができそうですけど、勝負どころからは、前の3頭を自ら捕まえに行く強気なレースを仕掛けてくるはず。もしも読みどおりそんなレースになった時に、それでもこの馬が勝ち切れるくらいのところまで復調しているのかと言えば、さすがにそこまでの確信は持てなかったのですよね。

よって、やや玉虫色の見解になってしまいますが、今のこの馬には、このあたりの評価がちょうどいいんじゃないかと最後は判断しました。


4番手は、⑪インプレス

この馬に関しては、もしもトラックバイアスがこの馬向きの状況になっていたら、迷わず中心視していたと思っています。

今回は、この馬の脚質との相性が良くないレース条件となった分、ここまで評価を落としたのですけれど、鞍上の性格を考えると、一か八かの最内強襲というパターンもゼロではありませんから、確率論的に過度な期待はできませんが、最後のひと枠に拾っておくという判断はアリ。最終的にそう考えたところです。


その他、ドウデュースは、外々を回して差し損ねるイメージで消しました。

勝手な想像ですけど、武Jがレース後の取材に「ペースが遅くて差し届かなかったですけど、休み明けのレースとしてはいい走りができたんじゃないかと思います。」と答えている姿が容易に想像できてしまうのですよ。どうせ人気ですし、今回は「走られたら走られたで構わない」と割り切ればいいだけのことなのかな、と。


ウインマイティーは、枠の並びもいいですし、内々から流れ込んでの3着とかなら十分にあり得るとは思うのですけれどね。ただしこの馬は、一瞬の脚がない分、ドン詰まりになるリスクも高いですし、ガチンコ勝負では確実に足りないという状況の中においては、結局拾い切るには至りませんでした。

キングオブドラゴンにも、馬券圏内という意味でワンチャンスはありそうですけど、今回はクセをよく知る坂井瑠Jが乗れない点で、一定の割り引きをした格好となります。

キラーアビリティとマテンロウレオに関しては、中日新聞杯が低レベル戦だったという理由で、迷わず消しました。明け4歳のこの2頭に関しては、まだまだ伸びしろが見込めますので、中日新聞杯当時から飛躍的な上積みがあればここで通用してしまうシーンがあるかもしれないですけど、長く競馬を観ている人間として、滅多にそのようなシーンに遭遇することはないので、来ちゃった時は「ああ、そうなのね…」と潔く諦めることにします。

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