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中山グランドジャンプの見どころ


明日は中山競馬場で、春の大一番、中山グランドジャンプが行われます。日頃から、障害レースの魅力発信に力を入れている当研究所としては、今日は普段以上に、ポイントをしっかりと押さえた、わかりやすい見どころ解説にしたいですね。

なお、ここでひとつおことわりなのですが、明日、中山の4Rに組まれている未勝利戦の見どころ解説については、あえてスルーさせていただきます。理由は、メインにこの中山グランドジャンプが組まれていることが、少なからずジョッキーの心理に影響を与える恐れが強いため。つまり、普段の日にやるレースとは、まったく様相が異なるということですね。

中山11R 中山グランドジャンプ


では早速、明日の東のメイン、中山グランドジャンプの見どころを解説していきたいと思います。

まずは、コースのおさらいから。この大障害コースを使用するのは、年に2回だけ。暮れの中山大障害との違いは、少しだけ距離が長いことと、最後の直線に置き障害が設置されていることになります。

レースシミュレーションを行うにあたって、距離と大障害コースへの適性を重視すべきである点は、中山大障害と大きく変わらないのですが、最後の直線に置き障害があることで、勝負どころでのコース取りが、大きく明暗を分けることも少なくないのですよね。

具体的な例を挙げて説明するならば、昨年暮れの中山大障害でタガノエスプレッソと平沢Jのコンビが見せたような、脚を溜めて直線で一気に爆発させるようなレースは難しいということ。この点は、必ず頭の片隅に入れておいたほうがいいでしょう。


さて、今年のメンバーをざっと見渡すと、8頭立てという少頭数にはなりましたが、馬券圏内ノーチャンスの馬はゼロ。つまり、少数精鋭のハイレベルなメンバー構成になったと言えます。

ちょっと余談ですけど、もしレースの壊し屋、エイシンクリックがここを使ってきていたら、いよいよ展開の読みが難しいレースになっていたと思いますが、このメンバーでも十分に各ジョッキーの奇策はあり得るので、そのあたりをどう読むかが非常に重要になってくるでしょう。

ではここから、出走各馬の個性ができる限り皆さんに伝わるよう、一頭ずつ丁寧に短評を加えていこうと思います。やっぱり、各馬の個性をちゃんと理解した上で、馬券を買ってもらいたいですからね。


①ヒロシゲセブン
決して中山コース向きとは言えないこの馬にとって、この少頭数は大歓迎。高田Jのことなので、しっかりとインのポケットを取り切ったら、終始、外の馬にプレッシャーをかける展開に持ち込んでくるはず。ガチンコ勝負になると、ポテンシャルが一枚落ちる分、勝ち負けまで持ち込むのは厳しいが、他馬の駆け引きに付き合わず、死んだフリ作戦がズバリとハマれば、上位に肉薄するチャンスは残されているだろう。

②ケンホファヴァルト
暮れの中山大障害のレースぶりを見る限り、最後の直線に置き障害があるこのレースのほうに、より適性があると考えられる。このメンバーなら、おそらく序盤は単騎で逃げられそうなので、熊沢Jが強気に淀みないペースで引っ張るような展開に持ち込むと、後ろが駆け引きをする中で勝手に消耗してくれるパターンも十分にありうるだろう。ただし、対メイショウダッサイでは圧倒的に分が悪いので、すべてがうまく運んでも2着。そんなイメージでいいかもしれない。

③タガノエスプレッソ
この馬にとっての課題は、距離。もともと、大障害コースが得意というわけでもないので、道中、いかにごまかしながらスタミナロスを抑えるかが課題になってくる。そう考えると、その気になれば逃げることもできる馬ではあるが、ここは平沢Jが無理せずロスのない立ち回りを仕掛けてくると考えたほうが自然か。ならば、恵まれて3着くらいはありそうだが、勝ちを意識してあえて強気なレースを仕掛けてきた場合は、結果的にスタミナをロスして馬群に沈む公算が強いだろう。

④オジュウチョウサン
このレースのカギは、この絶対王者をどう評価するか。前走の敗戦について、ひとつの理由だけで説明するのは難しいけれど、全盛期に比べて明らかに力が落ちていることだけは確かだ。あとは、この距離への適性の高さと、これまでに培ってきた経験値の差で、どこまで新興勢力に太刀打ちできるかがポイントになってくる。負けた前走のレースぶりを見る限りでは、この条件ならば、対タガノエスプレッソで未だ優位性を保っているとみるが、他の馬に対してのアドバンテージが残っているかというと、非常に微妙なラインにまで来ているような気もするのだが……。

⑤マイネルプロンプト
2年前のこのレースの3着馬で、当時の相手関係を見ても、ここで通用していい下地は十分。久しぶりの障害戦となった前走でも、4着と敗れはしたものの、目立った衰えがないことを示す走りはできていた。ただし、この馬が活躍していた当時は、森一馬Jが連続騎乗していたわけで、北沢Jでの挑戦となる今年は、かなり割り引いて評価する必要があるのだと思う。それでも、立ち回りのうまさを生かし、自分のレースに徹することができれば、まったくのノーチャンスとも言えず、最大限うまく立ち回っての3着とかなら、可能性がゼロとまでは言えないだろう。

⑥メイショウダッサイ
オジュウチョウサンとは一年ぶりの対決となるこの馬、昨秋は馬の状態が上がり切らずやや心配したが、それでも2連勝と結果は残してきた。今年初戦となった前走では、昨秋よりも明らかに状態面がアップしていて、結果も、今、勢いのある上がり馬スマートアペックスを完封する強い内容。普通に考えて、今なら対オジュウチョウサンでも、こちらが優位と見るのが自然だろう。むしろ心配は、オジュウチョウサンが予想以上に動けなかった時に、相手を間違えて差し損ねるパターンであるが、鞍上が森一馬Jであることをも考慮に入れれば、不安材料の少ない大本命馬と考えていいはずだ。

⑦スマートアペックス
勢いを持って臨んだ前走で、メイショウダッサイの壁に跳ね返されてしまったが、それでも勝ちに行っての2着なら、十分に胸を張っていい内容ではあった。この馬の課題は、やはり距離。いかに中山コースへの適性が高いとはいえ、本質的にはスピード競馬のほうが向いているはずだから、中村Jが前走同様の強気な競馬を仕掛けてくるようだと、最後に失速する可能性のほうが高いと考える。この馬には差せる脚もあるので、むしろ、後ろからじっくりと行ってスタミナを温存する作戦を選んだほうが、上位進出の可能性が高まるような気がする。

⑧シンキングダンサー
2年前のこのレースの2着馬で、当時無敵を誇っていたオジュウチョウサンを相手に、ほぼ一騎打ちにまで持ち込む健闘を見せたことは記憶に新しい。この馬の魅力は、常に自分の力を出し切る安定感。前走を見る限り、さすがに力勝負では厳しそうだけれども、もともと大障害コースは得意だし、五十嵐Jらしい立ち回りのうまさを生かせれば、馬券圏内争いに喰い込んできても不思議はないのかもしれない。


まとめると、中心は⑥メイショウダッサイでいいでしょう。この馬の大障害コースに対する信頼度は絶大ですし、ここは、世代交代を印象づける歴史的転換点とも言えるレースになるとみます。

個人的には、メイショウダッサイの力が抜けていると見ているので、相手には、虎視眈々と各馬の隙を狙ってきそうな①ヒロシゲセブンを抜擢してみます。こういう時の高田Jは、ものすごくガッツのある騎乗を見せてきますから、ここはジョッキーのメンタルと勝負強さに期待してみます。

その他、ポテンシャルだけの比較では、④オジュウチョウサン②ケンホファヴァルトにも十分にチャンスがあると思いますが、このあたりは、展開次第で何でもありな状況になりそう。

ならば、もし馬券を買うにしても、メイショウダッサイの単勝を買って、オジュウチョウサンとの歴史的対決を楽しむとか、メイショウダッサイからヒロシゲセブン相手の馬単、馬連、ワイドあたりを買って、高田Jの胆力に酔いしれるとか、そんな愉しみ方がいいのかなと思っています。

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