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第52回 高松宮記念の回顧

いや~、ゴール前の追い比べは、実に見応えがありましたね。

丸田Jの涙には、思わずこちらもウルっと来てしまいましたが、変に安全策を選択せず、インのこだわって詰まったら仕方がないと割り切ったことが、最後のひと伸びにつながったのだと思います。

もともと丸田Jは、短距離戦の内枠で好成績を数多く残しているジョッキー。その意味では、彼にとって最高の舞台でGⅠ初勝利を挙げることができた、とも言えるのではないでしょうか。なにはともあれ、丸田J、本当におめでとうございました!

では、早速、レースを振り返っていくことにしましょう。

中京11R 高松宮記念


まず、馬場状態ですが、やはり昨日からの雨の影響は大きく、芝のレースは、前半からずいぶんと時計が掛かっていました。

ただしトラックバイアスとしては、レースを使って行っても外差し傾向が強まることはなく、むしろ開催前に芝を張り替えた内目を通った馬のほうが、最後まで脚を残せている印象すらありましたね。


そんな中、ハナを切ったのはレシステンシア。大方の予想がどうだったかはわからないですけど、個人的にこれは読み通りでしたから、レースが終わって結果を突きつけられても、特に横山武Jの作戦に問題があったとは思いません。

レシステンシアにとって不運だったのは、ジャンダルムが掛かり気味に外からつついてきたことで、勝負どころでまったく息が入らなかったのがキツかったですね。さすがにあの形では、能力が一枚上の馬でも苦しくなって当然ですから、僅差の6着なら、良く粘ったほうなんじゃないか、と。


勝ったナランフレグは、いつもよりは前半から位置を取る意識が高かったですし、いっさいの迷いなく内を突いた丸田Jの判断は、仮にドン詰まりという結果になっていたとしても、議論の余地なく正解だったと思います。

ゴール前で前が開いたのは、もちろん「運」という要素も大きいですし、もう一度、同じメンバー、同じ枠順でレースをやっても、これと同じ結果になるとは思わないですけど、丸田Jが「前さえ開けば絶対に勝てる!」と馬を信じて乗ったことが、結果的に「運」を引き寄せたと言えるのでしょう。

ゴールドアリュール産駒が芝のスプリントGⅠを勝つなんて、少し前は想像もしなかったことですけど、こんなことが起こるから、競馬は本当に面白いんですよね。いろいろと恵まれた部分があったのは確かですけど、その一方で、ここまでのナランフレグの臨戦過程を振り返ってみれば、再現性を期待できる今回の勝利だったとも言える気がします。


2着のロータスランドは、馬体が絞れて体調面が上がっていましたし、最高の位置で流れに乗れていましたからね。

惜しかったと言えば惜しかったですけど、岩田望Jがほぼ完ぺきに乗ってのこの結果ですから、2着に敗れはしましたけど、今回は最高によく走ったと評価すべきなんじゃないでしょうか。


3着キルロードは、馬場、展開、枠順とすべてに恵まれたのは確かでしょうが、この激走は立派のひと言だったと思います。菊沢Jには失礼な言い方になってしまいますが、もしこの馬に内田博Jが継続騎乗していたら、ゴール前の競り合いを制しておそらく勝っていたんじゃないか、というくらいの見事な走りでしたから本当に惜しかったですね。

4着トゥラヴェスーラは、鮫島克駿J渾身のイン差しで、今年も見せ場たっぷり。13番枠を引きながら、インの狭いところを捌いてくるレースができるのはこのジョッキーならではのことですし、すんでのところで大魚を逃がす結果にはなってしまいましたが、この4着は大いに評価されてしかるべき結果だったと思います。

5着メイケイエールは、外々を回らされてのこの結果ですので、純粋に「負けて強し」と言っていいように思います。ここ2戦、レースぶりが完全に常識にかかってきましたから、スプリント戦を使っている限りにおいては、暴走してレースを壊す心配はもうなさそうですね。


11着ジャンダルムは、レース前半で引っ掛かったのがすべてでした。スタートが良すぎたことが、この結果を招いてしまったとも言えるのですが、結果論だけでジョッキーを責めるのは大間違いでしょう。この難しい馬で、一度も出遅れたことのない荻野極Jはスゴイ。皮肉とかではなく、私は心の底からそう思っています。

12着グレナディアガーズは、大外枠と馬場悪化に、完全に持ち味を殺されてしまいました。秋には、この馬に「運」が回ってくる可能性もあるわけですから、陣営には、この敗戦でスプリント路線をあきらめてほしくはないですね。巻き返しのチャンスは、この先必ず訪れると思います。

15着サリオスは、やはり陣営が迷走気味なんじゃないかと思います。個人的には、ブリンカーを外して中距離路線に主戦場を戻せば、まだまだ復権のチャンスは残っている。そう思うんですけどね。


う~ん、今年の高松宮記念は、やっぱり難しいレースとなりました。個人の感想としては、「運」を味方に付けないと、この結果を完璧に読み切るのは不可能だったんじゃないかなと思っています。

よって、的中された方には当然「おめでとう!」なんですけど、みどころのある予想をして馬券を外したのなら、決して悲観することはない。そう思うのですよね。

内容の濃い予想を続けていれば、そう遠くないうちに「運」を引き寄せる瞬間が必ずやってくる。これが、私の経験則から導き出した結論。だから、ひとつのレースの結果に一喜一憂するのはやめて、まずはしっかりとひとり反省会を開いておきましょう。

そうすることで、必ず未来は開ける。最後に読者の皆さんに向けて、そんなメッセージを残しておきたいと思います。

春のGⅠは、まだまだ続きます。この先も内容の濃い予想ができるよう、お互い頑張れたらいいですね!

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