今週の障害戦(6/27)
なんだか恒例行事になりつつありますが、今週も、障害戦の見どころを解説しておきたいと思います。
今週の障害戦は、土曜日東京8R東京ジャンプSの1鞍だけ。重賞競走でもありますし、かなり興味深いレースになりそうなので、いつもよりちょっと力を入れていくことにしましょう(笑)
このレース、ハンデ戦でもないのに、メンバー構成といい、騎手の組み合わせといい、枠順といい、よくもこれほどの難問に仕立ててくれたよなあと思わせるほど、絶妙なバランスになっています。
加えて、コーナーから発走する特殊なコース形態も考慮しなければならないので、正確なレースシミュレーションを行うことはほぼ困難であると言っていいかもしれません。
おそらく、同じメンバーで10回レースをやったら、少なくとも馬券圏内に入ってくる馬は、10回とも違う結果になるはず。それくらい、流動的な要素にあふれているんですね。
したがって、馬券を的中させるには、相当な運がないと厳しいというのが僕なりの見解です。
他方、このレースは、これ以上ないほどに"洗練された難問"であり、予想のしがいという意味から言うと、なかなかお目にかかることができない貴重な機会になると言っていいかもしれません。
ということで、今回は、出走全頭について、簡単なコメントをつけた上で、10回に1回はこうなるだろうという、決め打ちシミュレーションをメモしておこうと思います。
①スプリングボックス
この馬のベストパフォーマンスは、5走前の中山新春JSだが、当時は相手も弱く、道中、完璧に立ち回れたこともあったので、このメンバー構成だと、ガチンコ勝負では掲示板がギリギリくらいの力関係と見ていいだろう。ただ、近走は、外枠を引いて、道中、外々を回らされるロスもあったので、この枠を引けたことは大きなアドバンテージになるはず。加えて、森一馬Jなら、インをロスなく立ち回ってくることは約束されたようなものなので、勝ち切るまではどうかも、馬券圏内の可能性は十分とみていい。
②シングンオフビート
この馬は、障害入り後、一戦ごとに進境を見せており、底が割れていない魅力がある。ただし、前走オープン勝ちとは言え、繰り上がりの1着で、さらに勝ち時計もかなり物足りないので、このメンバーで上位進出までは期待しづらい。好枠と自在性のある脚質を活かして、どこまで着順を上げられるかが焦点になりそうだ。
③ヤマニンシルフ
この馬も、前走、オープン勝ちだが、メンバー構成は未勝利戦みたいなものだったので、過度な評価は禁物。だいたい、いつも自分の力だけはきっちり出してくるタイプだから、大きな上積みは期待できず、このメンバーでは掲示板に乗るのも難しそうだ。
④アズマタックン
現役障害馬の中で、僕がもっとも扱いに苦心しているのがこの馬。道中のペース配分次第で、パフォーマンスの振れ幅が異常なほどに大きくなることがその原因なのだが、このメンバーに入ると、100点満点のレースができても、3着に届くかどうかという力関係なので、ここはひとまず静観という評価でいいと思う。
⑤プラチナアッシュ
障害デビュー戦となった4走前は、未勝利戦としては、相手関係が結構骨っぽかったにもかかわらず快勝。続く2戦目は、大逃げを打って好時計で圧勝と、このメンバーでも十分通用するだけの力を秘めているのは間違いない。ただ、前々走は、森一馬Jの馬の徹底先行策に潰され、前走は、逃げ切りが難しい新潟コースで後続に早めに来られて大敗と、敗因ははっきりしているものの、自分の形に持ち込めないと脆いのは事実。さらに、この馬に白浜J、⑦トラストに熊沢Jという巡りあわせは、何という因縁だろう。今度は、先週のお返しとばかりに、熊沢Jの厳しいマークに遭う可能性も高い。そうなると、能力の高さは魅力でも、ここは競り潰されるという見解の方を支持したいと思う。
⑥ラヴアンドポップ
休養前にアップトゥデイトの僅差2着があるように、この馬に高い潜在能力があることは間違いない。ただ、前走は落馬の前から、まったくレースの流れに乗れていなかったし、ここで一変する可能性は極めて期待薄だろう。加えて、鞍上も草野Jの連続騎乗なら、完全ノーマークでいい。
⑦トラスト
おそらく、抜けた1番人気になりそうなこの馬。能力だけを言えば、現障害界では、メイショウダッサイと並んで、オジュウチョウサンに次ぐ存在と言っても過言ではないだろう。ただ、この馬の弱点は脚質面にあって、控えても競馬はできるものの、やはり理想は逃げか番手。じゃあここで、理想の展開に簡単に持ち込めるかというと、そうでもなさそうなところがこのレースの予想を難解にさせている。⑤プラチナアッシュにプレッシャーをかける立場でありながら、⑫マーニ、⑬ケイティクレバー、⑭ミュートエアーからは逆にプレッシャーを受ける形になることも想定されるわけで、そこをどのように判断するかが、このレースの予想のカギとなるだろう。
⑧ハルキストン
3走前には①スプリングボックスに完勝するするなど、地味ながら、このメンバーでも侮れない実力を秘める。さらに、左回りの方がスムーズな点も見逃せない。ガチンコ勝負ではさすがに足りなそうだが、有力先行馬たちが前半から潰し合うような展開になれば、中団からの早めの仕掛けで、アッと言わせるシーンまで考えておいた方がいいだろう。おそらく、馬券圏内に入ってくるのは、10回やって2回くらいのイメージだが、オッズとのバランスを考えると、思い切って狙ってみる手もありそうな気がする。
⑨シャリオヴァルト
前走未勝利勝ちで、時計も平凡。一戦ごとの進境は評価に値するが、さすがにここでは狙いづらい。バテた馬を交わして入着賞金を稼げれば御の字、という見立てでイイだろう。
⑩マンノグランプリ
こちらも前走未勝利勝ちだが、時計は水準以上で、レースぶりにも見どころがあった。その分、怖さがないわけではないが、最後の直線が芝になるのは、この馬にはマイナスだろうし、このメンバーを直線で一気にまとめて交わし去るシーンまではさすがに想像しづらい。掲示板なら大健闘。そんな評価でイイと思う。
⑪フォワードカフェ
この馬は、未勝利戦をなかなか勝ち切れなかったが、山本Jとの相性が良くなかったことや相手関係に恵まれなかったことがその原因。前走、昇級初戦での2着も、ほぼ能力どおり走った結果と言えそうだ。詰めは甘くても、堅実で大崩れしないこういうタイプの馬は、石神Jにピッタリ。前走でマイネルアトゥーと僅差なら、展開に恵まれそうなここは、勝ち切るまではどうかも、上位進出の可能性は高いという判断でイイと思う。
⑫マーニ
前走、逃げて未勝利を勝ったこの馬、馬券の対象になるイメージは薄くても、ここでも展開のカギを握る一頭となりそうだ。おそらく、行く気になったら、この馬が一番早い。三津谷Jがどんな作戦を練ってくるのか、その点には、特に注目しておきたい。ちなみに、この馬が逃げる展開になると、レースは風雲急を告げるはず。⑦トラストにとっては、ある意味、もっとも厄介な存在になるかもしれない。
⑬ケイティクレバー
近走、進境が著しく、平地力の裏付けもあるこの馬が2番人気になりそうだ。障害馬としてのセンスも上々で、重賞でも勝ち負けできる能力があることは間違いない。ただ、この馬は、平地時代からそうであったように、理想は逃げか番手。不利の大きい外枠であることに加え、⑫マーニと⑭ミュートエアーに挟まれるというこの枠の並びは、いったいどこまで運がないんだろうと思わせるほど。この条件で好走するためには、平沢Jの神がかったエスコートがどうしても必要になるだろう。
⑭ミュートエアー
このメンバーに入ると力不足は否めず、上位進出の期待は薄い。ただ、馬券的にはノーマークでも、展開面のカギをこの馬が握る可能性がある点には、少しだけ注目しておきたい。もし、山本Jが前半から積極的なレースを展開するようだと、よりいっそうカオスに拍車がかかり、大波乱の目が出てきそうな予感がする。
さてさて、最後にレースシミュレーション。確率論的に考えて、やっぱり前が入れ替わり立ち替わりの展開になると読んでみたいですね。
想定どおりになれば、展開的に恵まれるのが①スプリングボックスと⑪フォワードカフェ。大穴なら、⑧ハルキストンかな。前が速くなって、ポツン、ポツンの展開になった時は期待大と言えそうですね。⑦トラストは、たとえ厳しい展開になったとしても、馬券圏内にとどまれるだけの確かな地力がある。⑤プラチナアッシュと⑬ケイティクレバーは、展開的に道中で消耗必至とみて、思い切って消してみたいところです。
もし展開の読みが外れれば、⑦トラストの圧勝で、⑬ケイティクレバーが楽に2着ということも大いにありうる。そのことだけは、ちゃんと付記しておこうと思います。
まあ、馬券の話はさておくとしても、面白いレースになることだけは間違いなさそうだから、重賞競走でもあるし、是非、皆さんにはこのレースに注目してほしいなあ~。
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