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キングとピンクのカメハメハ


今日は、祝日。ステイホームでゆっくりされている方も多いのではないでしょうか。僕は、なんだかんだとチンタラ仕事してますけど…(笑)

毎回、毎回、週末の見どころ解説と回顧記事ばかりじゃ面白くないんで、今日は「競馬はロマンだ!」を地で行くコネタを書いておこうと思います。


まずはじめに、この表題の説明から。

日曜日のフェブラリーSで2着に好走したエアスピネル。彼の父は、皆さんご存知のとおりキングカメハメハですよね。

ところで、このフェブラリーが発走するおよそ半日前のこと、異国サウジアラビアの地で、素質馬ピンクカメハメハが現地のダービーを制覇するという快挙を達成していました。新馬戦で高パフォーマンスを示して以来、ずっと鳴かず飛ばずだったこの馬が、サウジの地で突如としてV字回復を遂げるなんて、それだけでも十分にロマンがある話ではあります。


でも、今回、ここで焦点を当てるのはそこじゃない。このピンクカメハメハの血統背景なんですよね。

ピンクカメハメハの父はリオンディーズ。その父はキングカメハメハですから、サウジ、日本と立て続けにキングカメハメハを血を受け継いだ馬が、GⅠレースで好走したことになります。

ただ、これだけじゃあネタ的にぜ~んぜん面白くない。そこで、ちょっと振り返ってみたいのが、2015年12月20日に阪神競馬場で行われた朝日杯フューチュリティS。そう、新馬戦を勝ち、1戦1勝の戦績で果敢にGⅠに出走してきたリオンディーズが大外一気で他馬をあっと言わせたあのレースです。

当時、2着馬に騎乗していて、前人未到の全JRAGⅠレース制覇を阻止された武豊Jが、レース後、「空気の読めないイタリア人が……」と発言してずいぶんと話題になりましたよね。


では、武豊Jが乗っていたその2着馬とは? そうなんですよ、何を隠そうエアスピネルなんですよ。

そこで僕がぼんやりと思ったのが、もし、あの2015年の朝日杯フューチュリティSで、もう少しだけ武Jがうまく乗ってエアスピネルが勝ち切っていたら、今年、この馬がフェブラリーSを走ってたのかなって。エアスピネル自身は、今回の好走でJRAの芝・ダートのGIレースでともに2着という、輝かしい?実績を残すことになったわけなんですけどね…。

で、、、もし当時、エアスピネルが勝ち、リオンディーズが2着に敗れていたとしたら、リオンディーズは果たして種牡馬入りできたのだろうか。そんなことも、ふと思ったんです。

もし、リオンディーズが種牡馬になっていなかったら、当然、ピンクカメハメハも生まれていないのだから、サウジダービーの制覇だってなかったことになるんだよな、って。


たったひとつのボタンの掛け違いが、その後の人生を大きく左右することって、人間社会でもよくあることですよね。でも、この週末、サウジと日本で起こったある種の"奇跡"は、馬の世界でも、人間社会と同じことが当然のように起こるんだよなって、改めて競馬ファンに教えてくれた

これを、「運命」というたったひとつの言葉で表現していいのかどうかはわかりませんが、5年とちょっと前に、暮れの阪神で行われたひとつのGⅠレースに思いを馳せてみるだけで、表面的に競馬をやっているだけでは絶対に思い至らないことについて、いろいろと考えさせられたりもするんですね。

悲しいかな、競馬は、ギャンブルという側面ばかりが常に強調されてしまうわけですが、今回の出来事は、もし競馬が単なるギャンブルでしかないとしたら、私たちに何の教訓を与えてくれることもなかったはず。やや逆説的ではありますが、そう考えると、やっぱり「競馬はロマンだ!」に偽りはない。そう胸を張って断言したいな、と。

まあ、競馬を「単なる賭博だ!」とか言って、いつもディスってばかりの人がこの研究所を訪れることはないでしょうから、ここで声高に叫んでも何の意味もないんですけど、「わかる人にだけでも、わかってもらえたら」という意味も込めて、今日はちょっとキザなコネタを紹介してみました。

時間的な都合もあって頻繁には無理なんですけど、今後も、できる限り、こんなコネタも紹介していけたらいいなあ~、そんなふうに思っています。

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