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第73回 東京新聞杯/第63回 きさらぎ賞のみどころ

明日は、東京で東京新聞杯が、中京できさらぎ賞が行われます。

どちらのレースも、この先のGⅠを意識できる馬がそれぞれ何頭か参戦してきましたから、格付けはGⅢですけど、ともに見逃せないレースになることは間違いないと言っていいでしょう。


今週は、過去3週よりも手応えを感じているので、目標は高く、2打数2安打を目指してみようと思います。

だからと言って、安易かつ無策に「ただバットに当てに行くだけ」みたいなしょうもないシミュレーションは準備していませんので、その点はどうかご安心くださいませ(笑)。


では、早速、それぞれのレースの見どころについて、解説していくことにしましょう。


東京11R 東京新聞杯


ここは、出走メンバーをざっと見渡してみると、春のヴィクトリアマイルや安田記念を意識して、あえてこのレースを使ってきた馬が多数出走してきた印象ですね。

特に明け4歳馬に関しては、成長力の差が徐々に顕在化する時期でもありますので、個人的には、ここで彼らが古馬相手にどんなレースを見せるのかによって、この先、どの程度の活躍を見込んでいいのか、その判断をするための大事な目安となるレース。そんな見立てをしているところでもあります。


中でも今年は、ジャスティンカフェという影のGⅠホースがここを使ってきたことにより、ナミュール、ピンハイ、プレサージュリフトという4歳牝馬たちの現在地を知るとてもいい機会になるのでしょう。

さらには、インダストリアやマテンロウオリオンのここでのレースぶりを見れば、評価が難しくなっている昨年のNHKマイルCのレースレベルに関して、一定の評価が可能になりそうな予感もしますので、馬券の当たり外れ以外のところにも、注目すべき点は少なくないのかな、と。


あと、問題はやはり展開面でしょうか。

理想を言えば、ある程度はペースが流れて、各馬が力を出し切れる条件になることですけど、ここは徹底先行馬不在で、ショウナンマグマ、ウインカーネリアン、シュリあたりが前々で運ぶことになるのだとすれば、ショウナンマグマが前科のある東京コースで暴走したりしない限り、スローは避けられない情勢であるとも言えるのですよね。

そうすると、外々を回されて脚が溜まらなかった馬が力を出し切れずに敗れ去るとか、インでドン詰まりになって脚を余す馬が続出するとか、結構な紛れが生じそうな予感もありますから、そこをどう判断するかが非常に悩ましいレースになっちゃったな……という気はしています。


そんなこんなではありますが、ここは素直に③ジャスティンカフェを中心視することにします。

この馬のいいところは、とにかく瞬発力の質が高くて、仮にスローからの上がり勝負になっても、後ろから差し切れるくらいの鋭い脚を使えるところ。

前走のマイルチャンピオンシップも、前が詰まらなければ完全に突き抜けていたレースでしたから、脚質的にドン詰まりの不安は常につきまとうものの、自然と脚を溜められるいい枠を引けた以上、あえて評価を割り引く理由はない。そう考えました。


2番手は、⑮ナミュール

この馬に関しては、ポテンシャル面で古馬相手に足りるのか未知数なところもあるのですけれど、西宮Sのピンハイや、京都金杯におけるプレサージュリフトのパフォーマンスを見れば、この世代の牝馬のレベルが極端に低いということはなさそうですからね。

そして何よりの強調材料は、この馬の場合、右回りよりも左回りのほうが明らかにスムーズな競馬ができること。これは、あまり注目されていない論点かもしれませんが、個人的には、「高いレベルでいうとナミュールはサウスポー」と評価しているので、その点もここで強調しておきたいと思います。


3番手は、④ピンハイ

この馬の場合、常に馬体の維持が課題となっていて、これまで一度も完調でレースを使えたことがないんじゃないかと思うのですよね。

あえて言えば、西宮S時が生涯最高のデキに見えましたけど、そこでのパフォーマンスを振り返ってみれば、休み明け、長距離輸送と複数の課題はあっても、当然、強く狙ってみたい気持ちにはなります。

もちろん、極端な馬体減とかがあったら評価を下げざるをえませんが、仮に馬体が増えていなくても、テンションが正常ならほぼ力を出し切れると考えていいのかな、と。デビュー以来、初めて馬の調子に合わせてレースを使ってきた点も、一定の強調材料にはなりますし。


4番手は、⑯プレサージュリフト

こちらは、レベルが低かった京都金杯からの臨戦となりますが、前走で前に行く競馬をして一定の結果を残したこと、ここは得意の東京コースに替わって、最高のパフォーマンスを出せる条件が整ったことを考えるならば、最後のひと枠はこの馬でいいのかな、と。

ルメールJの大外枠ですから、極端なスローになればレース途中で動く選択もあるでしょうし、そういった意味では、先行馬の前残りをケアするなら、最前列に位置しそうな各馬よりも、好位の外目から自分のタイミングで仕掛けられそうなこの馬を狙ったほうが得策。最後はそう判断しました。


その他の馬に関しては、いつも自分の力だけはしっかりと走るエアロロノアを基準として、力を出し切ってもこの馬に先着を許すくらいの力関係であれば、全馬バッサリと斬り捨てるという判断をしました。前走でよそ行きの競馬をしたプレサージュリフトだけは、例外扱いとしましたが……。

また、昨年のNHKマイル組に関しても、当時3着だったカワキタレブリーが、その後しばらく「2勝クラスでは大将級」というパフォーマンスを繰り返していたことを踏まえて、こちらもバッサリと消すことにしました。

なお、インダストリアに関しては、中山コースならこのメンバー相手にも互角の勝負ができるのだろうと思ってはいますけど、今回は舞台があの時と同じ東京のマイルですからね。


中京11R きさらぎ賞


ここは、 超ハイレベルだった新馬ミッキーカプチーノ組2着のフリームファクシが使ってきてくれたことにより、今年のクラシック戦線を占う上で、それなりに重要な一戦になると考えていいでしょう。

しかもこの馬は、前走で同じく超ハイレベルだった新馬ダノントルネード組の大将と直接対決し、見事勝利しているわけですから……。


もしも「フリームファクシの自爆はない」という前提で話を進めるとするならば、仮にここでフリームファクシに自力で肉薄するような馬が現れるようだと、すなわちその馬も今年のクラシック戦線で十分に戦えるだけの力を備えているということになります。

よって、このレースに関しては、こうした先々を見据えるような視点も持ちつつ、レースを観戦することが大事になってくるのではないでしょうか。


さて、このレースも展開面がカギになってくることが容易に予想されるわけですが、いや~、これが非常に問題なのですよ。

登録段階では、何頭か先行馬の名前があったのですけれど、フタを開けてみれば、前に行きたいのがレミージュだけというオチになりましたし、そのレミージュ自身の出脚がそれほど速くない中で、フリームファクシよりも外の枠に入りましたからね~。

私が懸念しているのは、フリームファクシの折り合い面。ここ2走は、川田Jが馬にレースを教え込むべくあえて控えるレースを選択しているわけですけど、ポンとゲートを出たら行き脚はこの馬が一番速いという中で、さて、はたしてどういう競馬をしてくるのだろうか、と……。


もしも、レミージュを先に行かせてその後ろの位置で折り合えるという確証があるのなら、フリームファクシがこのメンバー相手に取りこぼすという絵面は描きにくいのですけれど、道中のペースが遅すぎてジョッキーと馬がケンカするシーンも、普通に想像できてしまうところがなんとも悩ましいのですよ。

個人的には、川田Jがせっかくここまで馬に控える競馬を教えてきた中で、ペースが遅いからといって、安易にハナに行かせてしまうとも考えづらいと思っていて、だからこそ、レミージュが番手でもいいというくらいの感じでソロっとゲートを出してきたり、ハナに行こうとしても行き脚が鈍く中途半端な形になったりした時に、いったい何が起こるのだろうか、と……。

う~ん、これが考えすぎであればいいのですけれど、やはりフリームファクシは断然人気の馬でもありますし、この展開面はどうしても気になってしまいますね。


そのほか、オープンファイア、クールミラボー、トーセントラム、ノーブルライジングというスタート下手な馬たちがこぞって出遅れて、スローペースにもかかわらず道中で隊列が長くなる可能性があることも、想定には入れておいたほうがいいのでしょう。

ただし、隊列が長くなるということは、それだけジョッキーたちの仕掛けどころが難しくなるということでもありますから、そのあたりのところは、各ジョッキーの性格面なんかも考慮に入れつつ、慎重にシミュレーションを組んでいかないとダメ。そんな気もしています。


ということで、ここは、フリームファクシに一定の確率で自爆があるとみて、中心には⑤ロゼルを抜擢してみます。

まともに走ればフリームファクシの力が一枚抜けていますので、券種の選択は慎重にしないといけませんけど、仮にフリームファクシがまともに走ったとして、それでもこの馬が馬券圏内を確保できる可能性は高い。そう考えての推しとなります。


その根拠ですが、この馬が3走前にアタマ差まで追いつめたシーズンリッチは、新馬戦でダノントルネードと互角に近いくらいの素晴らしいレースを見せていた馬ですし、その馬をギリギリのところまで追い詰めたという事実から考えるに、力を出し切れたフリームファクシ相手でも、コンマ2秒とか3秒とかの差しかないのではないか、と。

そう考えると、前走でフリームファクシに完敗を喫したシェイクユアハートやノーブルライジングよりもこちらが上ということになりますし、もっと言えば、前走の未勝利戦の勝ち時計も翌日に行われた古馬3勝クラスとコンマ5秒差という優秀なものでしたから、フリームファクシの自爆の程度が軽くても、一定のロスがあれば逆転しておかしくないくらいの位置にはいる。そうも言える気がします。


2番手は、その②フリームファクシ

こちらは、自爆がなければシンプルに勝ち切ると思いますし、自爆があってもその程度が軽ければ、簡単に馬券圏外に去っていくこともないでしょうから、これ以上評価を落とすべき理由はない。そう考えています。


3番手は、⑧ノーブルライジング

この馬の前走は、出遅れて、頭を上げて行きたがるシーンがあって、相対的に外を回されて……でしたから、上手な競馬をして3着だったシェイクユアハートは普通に逆転できそうなイメージですし、フリームファクシとの差もいくらかは詰まるのかな、と。

すでに厩舎側の話にも出てしまっているので、特に新鮮味もない話題ではあるのですけれど、イメージ的には昨年の今頃のボルドグフーシュとキャラが被りますから、成長力に対する期待という面を含めて評価するならば、この馬をこの位置に置いておくのが妥当なのではないかと考えたところです。


ここは、上位をこの3頭に絞ります。

なお、オープンファイアは、距離延長がプラス材料にはなるのでしょうけど、前走で捕まえ切れなかった相手は、なんたってシャンドゥレールですからね~。

そのシャンドゥレールは、葉牡丹賞で上手なレースをしながらミッキーカプチーノに子ども扱いされた程度の馬ですから、その比較でいうと、フリームファクシと同列で語れないことは言うに及ばず、ロゼルあたりとの比較でも、前走程度の走りだと先着するのは難しい。そう考えています。


その他、シェイクユアハートは、レース上手なのでここも大崩れはないと考えていますが、ノーブルライジングとの比較で今度は先着を許す可能性が高いと考えるならば、あえて拾う必要もないと判断しました。

クールミラボーは本当にいい馬で、ダートなら将来はかなりいいところまで行けそうな予感もするのですが、フットワークを見る限りは、やはりダート馬なんじゃないか、と。確かに血統的に芝をこなしておかしくないという考え方は成立すると思うのですけれど、個人的には、自分の感覚を大事にしてここは消しと判断します。

レミージュは、前走がいかにも恵まれた形でしたからね。どんな形であれ、強いフリームファクシと干渉することが想定されるここでは、さすがに狙いは立ちません。


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