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第23回 チャンピオンズカップの回顧


最初に率直な感想を言わせてもらえれば、予想の的中、不的中以前の問題として、みどころがほとんどない散々なGⅠレースになってしまったな、と。

もちろん、ジュンライトボルトの勝利にケチをつけるつもりなど毛頭ありませんが、いくら何でも12.7 - 11.2 - 13.1 - 12.8 - 12.6 - 12.6 - 12.7 - 11.9 - 12.3というラップ構成は、GⅠレースとしての権威を貶めるレベルの酷さだったと思います。

1:51.9という勝ち時計は、昨年よりも2秒も遅いわけですし、「GⅠでこんなレースをやっていたら、日本の競馬に未来はない」とすら思えるレースになってしまったのは、残念というほかありません。

ハッキリ言ってしまえば、次につながるようなレースではありませんでしたので、正直、ちょっと気が重いですが、以下、レースの振り返りだけはしっかりやっておくことにしましょう。

中京11R チャンピオンズカップ


実は、こんな酷いレースになってしまったのには、伏線があったのですよね。

この日、福永Jはとにかくリズムが悪く、出遅れたり、道中で折り合いを欠いたり……をひたすら繰り返し、序盤から人気馬をことごとく馬券圏外に飛ばしていました。

スタート上手で冷静な騎乗を持ち味とする福永Jのこんな姿を見るのは本当に稀なことですし、「あちゃ~、 クラウンプライド、ちょっとマズイな」という雰囲気は、レース前から漂っていたというわけなのであります。

結果だけを見れば、2着と好走したとも言えますから、「お前、何言ってんだ!」という批判があるかもしれませんが、もしも福永Jがゲートを出てスッと前に行こうとするクラウンプライドを無理やり抑え込んだりしなければ、おそらくこの馬が勝っていたんだろうと私は考えています。


普段の福永Jなら、番手に控えるにしてももう少し馬を行かせてからスムーズに息を入れようとしたはず。それができなかったのは、やはりメインレースまでの悪い流れを、そのままこのレースに持ち込んでしまったのだろうと考えざるをえません。

福永Jがそんな状態であれば、他のジョッキーでもう少しまともなレースメイクをしてもいいわけですから、もちろん彼一人の問題ではないわけですけど、いや~、それにしてもでしたね。


勝ったジュンライトボルトは、この速い上がりを差し切ったわけですから、当然、その点はしっかりと評価しないといけません。

ただ、持ち時計のないこの馬にとっては、ヨーイドンの瞬発力比べになったことで持ち味を最大限に生かし切れたのも事実。もっと底力を要求されるようなレースになった時に同じような脚を使えるのかどうかは、まだまだ半信半疑ですね。

それでも、この馬をダートに使い始めた陣営の判断は見事というほかありませんし、これが初のGⅠ制覇となった石川Jの落ち着いた手綱さばきも賞賛に値しますから、ひとまずレースレベルの話題を措くとすれば、この馬の勝ちっぷりを過度に過小評価する理由もない。そう考えています。


2着のクラウンプライドは、確かに前走でハナに行った分のマイナスがあったのでしょうけど、それでも福永Jがもう少しマシに乗っていれば……というレースになってしまったな、と。

その意味で、とてももったいないレースになってしまいましたが、馬自身はよく頑張っていますし、このコースに対する高い適性を見せられたことも収穫ではあるので、来年こそは、是非ともこのレースでの雪辱を果たしてもらえたら。そう願っています。


3着ハピは、前日の早い段階でトラックバイアスを読み切っていた鞍上の好判断が光る好走だったと思います。

横山典Jは、土曜日のメイショウキッドに騎乗する時点で、いつもの「ポツン」をやらずに前々でレースを進めることを選択していたように、今週の中京の馬場を完全に読み切っていました。よって、馬に最低限の力が備わっていたことは認めつつも、やはり「鞍上の好判断による好走」という評価は覆らないのかな、と。


4着テーオーケインズは、ゲートで後ろにもたれて出遅れ気味のスタートになりましたし、その分、前半から思ったような位置を取れず、終始、外々を回されるのが堪えた形となりました。

それでも、コーナーで前の馬に一気に加速されたわけでもありませんでしたから、せめてハピは交わさないといけなかったと思うのですけれど、これがこの馬に内在する脆さであるとも言え、決して説明のできない凡走というわけでもないのだろうと考えます。

私自身も、この馬を中心視していたのでとても情けなくはありますが、「この馬が負けるとしたらこの形だろう」とイメージしていたまさにその通りになっただけではありましたから、これも競馬だと割り切る以外ないのでしょうね。


5着シャマルは、ドスローからの上がり勝負になった分、思った以上に走れた印象ですが、それでもここをこの内容で走れるのなら、フェブラリーステークスでも見せ場以上があるかもしれない。そう思わせるレースぶりではありました。

その意味では、「このレースがとてもいい経験になった唯一の馬」という言い方もできそうで、この馬にとって価値ある「掲示板」になったのではないでしょうか。


7着スマッシングハーツは、明らかにインのポケットの位置を狙ってゲートから出して行きましたけど、同じことを考えていたハピの横山典Jに先を越されたのが痛かったな、と。

それでも、鞍上の意図は十分に伝わってきましたし、もしも道中でもっとペースが上がっていたら、違う結果もあったんじゃないかという走りは見せてくれましたから、やれることはすべてやった上でのこの結果。そう考えています。


12着グロリアムンディは、やはりこちらが考えていたとおり、まったくもって本調子になかったのだと思います。

この馬本来の走りからすれば、ここまで大きく負けることは絶対にありえませんから、あの調教の走りはやっぱり嘘をつかなかったようですね。


いや~、あらためてレースを振り返ってみても、2000年代後半の「スローペース症候群」を思い起こさせるようなレースでしたね。

スローペース自体が悪いということはないのですけれど、これだけのメンバーが集まった中でわざわざレースレベルを引き下げる理由はありませんから、「ジョッキーの皆さん、もうちょっと考えて乗りましょうよ!」と物申したくはなりますよ、率直に言って……。

とはいえ、年末までGⅠは続くわけですから、せめて来週以降は心震えるようなエキサイティングなレースになることを期待せずにはいられません。


最後までモヤモヤ感満載の投稿になってしまいましたけど、今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました!

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