週末(9/19,20,21)の2歳戦回顧
今週も、事前に書いた記事を検証するとともに、そのほかに触れておきたい馬について、メモを書いておこうと思います。
と、言いつつも……
今週は、中京芝マイル戦が非常に熱かったので、そこにフォーカスする形で2歳戦を回顧していくことにします。
週末、中京競馬場では、合計6鞍の芝マイル戦が行われました。その6鞍の勝ち時計を、タイムが早い順に並べると次のとおりになります。
1位 【古馬3勝クラス】勝ち馬 シュリ 1:32.8
2位 【2歳未勝利】 勝ち馬 レッドベルオーブ 1:33.1
3位 【古馬2勝クラス】勝ち馬 クリスティ 1:33.3
4位 【古馬1勝クラス】勝ち馬 ロードシャムロック 1:33.5
5位 【2歳新馬】 勝ち馬 ナムラメーテル 1:34.4
6位 【2歳オープン】 勝ち馬 ホウオウアマゾン 1:35.4
ほらほら、どうでしょう。皆さん、なんとも興味深い結果になっていると思いませんか?
何はさておき注目しなければならないのは、土曜日3レースの2歳未勝利戦でしょう。いかに最も芝の状態が良かった時に行われたレースとは言え、レッドベルオーブの勝ち時計は古馬2勝クラスを上回り、古馬3勝クラスの2着馬と同タイムなのですから、それだけでも十分価値があります。
さて、勝ったレッドベルオーブ。初戦とは行きっぷりが一変し、スタートから2ハロン目、3ハロン目のラップがなんと10秒台。しかも、グレナディアガーズと並走する形になってハミを噛んでいたところもあったので、決してスムーズな競馬をしていたわけではありません。
それでいてこの好時計勝ちですから、これはもう重賞級の器であることをこの一戦だけで十分に示したと言っても過言ではないでしょう。血統的には、ここからやや伸び悩んでいわゆるGⅡホース的な立ち位置になる可能性もありますが、ひとまず2歳戦のうちは、十分にトップレベルで戦える実力を備えていることはほぼ確定だと思います。
2着のカスティーリャも、勝ち馬に離されたとはいえ1分33秒台の時計で走っていますし、前半の厳しいラップのところで先団に取りつく際に脚を使ったこともありますから、かなり中身の濃い2着だったと言えるでしょう。この馬、これで3戦続けて強い相手と当たってしまう不運が続いています。まあ、さすがに次走は確勝級という評価でいいと思います。
4着グレナディアガーズは、内からレッドベルオーブに突っ張られる形になって、まったく脚を溜めることができませんでした。一見期待外れのようにも見える結果ですが、今回は仕方のない敗戦だったと思います。ただこの馬、イメージとしてはスプリンターなんですよね。未勝利くらいはマイルでも勝てるかもしれませんが、やっぱりスプリント戦で走る姿を見てみたい。なんたってスイッチが入った時の回転の速いフットワークは実に素晴らしいので、将来、スプリンターとして大成してくれたらいいですね。
次に振り返るのは、月曜日5レースの2歳新馬戦。レッドベルオーブの勝ち時計が強烈すぎて目立ちませんが、ここを勝ったナムラメーテルの勝ち時計も十分に優秀なものと言えるでしょう。
さて、勝ったナムラメーテル。パドックの雰囲気も良かったですし、レースセンスも抜群。血統、厩舎を考えると、基本は人気になりにくいタイプですから、是非、この馬とは今後上手に付き合って行けたらいいなと思います。能力的にも、もちろんまだ上がある馬だと思いますので、相手関係を見極めながらにはなりますが、次走以降も積極的に狙っていい馬だと思います。
2着のルークズネストは、大出遅れから大外強襲とド派手なレースぶりを見せてきました。勝負どころでペースが緩んでいるとは言え、この馬は、終始ハロン11秒台の脚を使っていると思われ、それでいて断然人気のサヴァニャンをゴール前で競り落としたのは立派でした。フットワークも実に力強いですし、現状は粗削りで安定感に欠けるところはありそうだけれど、今後、大物に成長する可能性を十分秘めた魅力いっぱいの馬であると評価しました。
最後に扱うのは、事前の見どころ紹介で取り上げた土曜日9Rの野路菊ステークス。勝ち時計の単純な比較では、オープンのこのレースが、今週行われた2歳戦の中で最も遅い決着となりました。その原因は、前半のスローペースと、後半に強烈な切れ味を発揮できる馬がいなかったことに尽きるでしょう。
勝ったホウオウアマゾンは、ある程度、事前に想定していたとおり先手を取る形になりましたが、道中のペースはまったく上がらず、最後の直線での瞬発力比べで位置取りの有利性を如何なく発揮して勝ち切った印象です。見どころ解説にも書いていたとおり、この馬はさほど瞬発力に長けたタイプではないのですが、後続にも切れる馬がいなかったため、楽々と逃げ切ることができたと評価すべきだと思います。
ペースがスローだった分、勝ち時計が遅くなるのは仕方がないところもあるのですが、勝ったこの馬にしても、このレースの勝利だけで高い評価をするわけにはいきませんね。ただ一方で、この馬のポテンシャルを活かし切ったレースにもなっていませんから、特段、評価を下げる必要もないのでしょう。つまりこのレースは、基本的に参考外。残念ですが、そう評価せざるを得ません。
2着ダディーズビビッドが3番人気とはちょっと驚きましたが、スムーズなレースができなかった中でもしっかりと2着を確保したのは立派でした。ただ、この馬もペースが流れてどうかは未知数のままになってしまいましたので、この2着を過大評価するのは危険だと思います。
3着フラーズダルムは、パドックでテンションが高かったにしても、実に情けない結果になりました。ただ、初戦で子ども扱いしていたホウオウアマゾンに逆にトンコロを喰らわされたのですから、もしかすると体調面が本当でなかった可能性もあります。これがこの馬の実力でないことだけは確かだと思うので、次走、しっかりと立て直して出てくるようであれば、完全に無視を決め込むのもどうかとは思います。まあ、いずれにしても底を見せたことだけは確かですけど。
4着シティレインボーは、スローの外々を回らされる最悪の形になりました。それでも、2着とは僅差でしたから、普通にレースをすればダディーズビビッドには負けないのだろうと思います。ただ、このレースでは新たな適性を見いだすことができなかったのも事実で、もう一走、じっくりとレースぶりを見てから改めて評価を下したいなと思います。
そして5着に沈んだダノンシュネラ。事前の想定で「しんがり負けしても驚かない」と書いてはいましたが、スローのインで折り合っていてのこの結果は、想像以上の惨敗だったと思います。敗因はいろいろと考えられますが、これで完全に底が割れたことは事実。基本、人気先行タイプですから、あまり追いかけていい馬だとは思いませんし、残念ですが、個人的には今回の結果を見て、原則は見切ろうと思っています。
本当に偶然ではありますが、この週末は、中京芝のマイル戦に見どころのある2歳戦が集中していました。今後、末永くお付き合いしていくことになりそうな素質馬も何頭かいましたので、何度かレースを見返して、しっかりと馬のキャラクターを頭の中に刷り込んでいこうと思います。