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第40回 フェブラリーS/第57回 小倉大賞典のみどころ

明日は、東京でGⅠフェブラリーステークスが、小倉で小倉大賞典が行われます。


ハンデ戦の小倉大賞典はもちろんですけど、フェブラリーステークスのほうも多くの馬に馬券圏内の可能性がありそうな混沌とした組み合わせとなりましたので、馬券を買う側の競馬ファンは、非常に難しい課題を突き付けられた気がします。

ただ、「レースを観戦する」という観点から言えば、おそらく面白みのない淡白なレースにはならず、とてもワクワクする激戦が繰り広げられそうとも言えそうですから、そこはポジティブに捉えていいのかな、と。


では、早速、それぞれのレースの見どころについて、解説していくことにしましょう。


東京11R フェブラリーステークス


今年のこのレースは、率直に言ってかなりメンバーレベルが低い印象になりました。

前哨戦の根岸ステークスは、条件ベストの馬同士の素晴らしい戦いとなりましたが、おそらくここはそれほどハイレベルのレースにはならず、千四ベストの馬が距離をこなしてギリギリ勝ち切るのか、それとも中距離志向の馬が東京の長い直線を味方に地力でねじ伏せるのか、そんな戦いになるような気がしています。


ところで、トラックバイアスについては、心配していた顕著な人為的改変もなく、今週もフェアな状態が保たれましたので、その点は非常に良かったと思っています。

過去2年は、フェブラリーステークスの週になって突然馬場傾向が変わるという歓迎できない事態が続いたわけですけど、そこが改善されたことは、馬券の当たり外れにかかわらず、「公正な競馬の実施」という意味において、とても大事なことですから。


あとは、展開ですね。

基本、外枠に先行したい馬たちが入りましたし、大外枠に入ったケイアイターコイズの鞍上が横山和Jであることを考えると、さすがに馬群が団子状態のまま最後の直線を迎えるようなドスローにはならないでしょうから、ややスロー~ほぼ平均くらいの流れになる可能性が最も高いのかな、と。

そうなった時に、内目の枠に入ったレモンポップやドライスタウトにとっては、馬群を捌くのにひと苦労しそうな予感もしますので、残念ではありますけど、全馬が力を出し切っての底力勝負にはならない。個人的には、なんとなくそんな気がしています。


ということで、ここは⑥メイショウハリオを中心視してみたいと思います。

この馬は、左回りがどうのこうのと言われることもありますが、道中で多少内にもたれる面はあっても、それが致命傷になったという事実は過去にありませんので、その点はまったく気にしなくてもいいでしょう。

距離に関しても、ベストは千八あたりなのかもしれませんが、マイルが忙しすぎるというほどのことはありませんので、道中は馬の後ろに入れて脚を溜め、最後の直線でスムーズに外に出せるようなら、少なくとも馬券圏内までは突っ込んでこられる。最終的にそう判断しました。


2番手は、⑦レモンポップ

この馬にとっての課題は、「マイルの距離にしっかりと対応できるのか」以上に、この枠でスムーズな競馬ができるのかと、体調面ではたして前走くらいの状態を維持できているのかという二点のほうが、むしろ気になる材料ではあります。

距離に関しては、千四がベストであることは揺るがないものの、昨秋の武蔵野S時もそうですし、古くはデビュー2戦目となったカトレアS時もそうでしたが、なんだかんだ最後の1ハロンでパッタリと止まったわけではありませんでしたからね。

よって、距離はギリギリ大丈夫。だけど、枠と状態面に少しの不安がある分、一段下げてこの位置の評価としました。


3番手は、⑮レッドルゼル

この馬は、これまでマイルの距離でパフォーマンスが下がっていたのは事実ですけど、過去2年のフェブラリーステークスでは、前有利なトラックバイアスに悩まされる格好となって、川田Jが苦肉の策でよそ行きの競馬をしての凡走でもあったんですよね。

んでもって今年は……というと、ようやくフェアな条件で戦える舞台が整いましたから、変な小細工をせず、この馬の競馬に徹することにより、最後はこの馬本来の強烈な脚を使って伸びてくるのではないでしょうか。

あくまでも個人的な考えですけど、ここはポツンをやってもいいレース。そう考えています。


4番手は、⑧アドマイヤルプス

このレースは、力を出し切れずに終わる馬が必ず何頭かは出るという想定ですので、一発があれば4角でソコソコの位置にいる馬と考えています。

そこで白羽の矢を立てたのが、この馬。ブリンカーを着用してきた今回は、さすがに後方に置かれて何もできずに終わることはないでしょうから、力の劣る先行勢のすぐ後ろあたりでうまく流れに乗れるようだと、鞍上の馬鹿力が最後の最後にモノを言う可能性もあるのかな、と。

イメージとしては、2009年のサクセスブロッケン。単なる妄想で終わってしまうかもしれませんが、人気薄の一発が期待できるとすれば、この馬でいいのではないかと考えたところです。


その他、ドライスタウトは、復帰後のレース内容に幾分もの足りなさが残ること、距離延長はマイナス材料になること、この枠だと包まれて脚を余す不安があること、これらの合わせ技で今回は消すことにしました。

シャールズスパイトは、どちらかというと芝馬っぽい走りをしていますので、日本のダートでどれだけ走れるのかよくわからない馬をあえて狙う必要も特にないのかな、と。

ケンシンコウは、4番手候補の一頭ではありましたし、中団後ろあたりで流れに乗って、直線で前が開けばワンチャンスはありそうなんですけどね。ただ、この馬が好走するために揃わないといけない条件があまりにタイトだったので、最後は確率論を優先し、評価を下げることにしました。

ソリストサンダーは、昨年のパフォーマンスを見る限り、さすがにピークアウトした印象が強いですので、全盛期の力があれば楽に通用するメンバー構成ではありますけど、今のこの馬の力だと好勝負までは厳しいのかな、と。

スピーディキックは、前走時の走破時計と前日に行われた東京大賞典の勝ち時計を比較した時に、こちらが楽勝だった点を考慮に入れても、計算上は少しだけ足りない気がするのですよね。それでも、今年のメンバーが相手なら道中の立ち回り次第で互角には戦えそうですので、「地方競馬ファンがこの馬に夢を託す」という選択だってありかもしれません。


小倉11R 小倉大賞典


ここは、各馬の力関係はもちろん、トラックバイアスも、道悪の適性も、道中の並びも、レースのラップ構成も、どれも正確に読み切ることはほぼ不可能ですから、「この条件でこれくらいの相手関係なら通用するだろう」という馬を決め打ちするほかないのかな、と。


また、こういうレースでは、一頭の馬と心中するというよりも、可能な限り対象馬を絞り込んだ上で、BOX馬券を選択するなり、タテ目の馬券をケアしておくなりといった対応をした方が、おそらく良い結果につながるのではないかと個人的には考えています。

ただし、難解だからと言って無駄にバラバラと点数を増やすのはただの悪手でしかありませんから、そこらへんのさじ加減の大事さは、常に意識の中に置いておかないといけないわけですけど……。


ということで、ここは「かすりもせず赤っ恥をかくのも上等じゃないか!」と覚悟を決め、「難解なレースだから無難に……」などと日和ることなく、完全な決め打ち大作戦を決行することにしてみましょう(笑)。


中心には、⑮フォワードアゲンを推すことにします。

ここは、千八への距離短縮がひとつ目の好材料となるわけですが、なんと言ってもこの馬の場合、道悪適性の高さを強調しないわけにはいきません。

古い話にはなりますけど、この馬が東京の未勝利戦を勝ち上がった時は、かなり荒れた不良馬場をスイスイと駆け抜けて圧勝したわけですが、当時のあの走りを思い起こせば、小倉の極悪馬場で水を得た魚のように躍動するシーンが自然と目に浮かんでくるのですよね。

理想は内枠でしたけど、この馬のクセを知っている黛Jなら、道中は無理せず馬の後ろに入れる選択をしてくるはずなので、そこはジョッキーを信頼したいな、と。


2番手は、②レッドランメルト

この馬にとってここは、距離短縮に加えて、先行馬の多い組み合わせ、理想の内枠と、好走できる条件がビタビタに揃った印象となりました。

あとは、馬場悪化に対応できるかがカギとなりますが、ディープインパクト産駒でもフットワークを見る限りは荒れ馬場にも対応が可能なように思われますので、過度に不安視することはやめて、シンプルに勝ち負けに持ち込める可能性が高いと評価することにしました。


3番手は、⑦バジオウ

この馬に関しては、馬場悪化を不安視する論調も一部にあるようですが、中京の大寒桜賞時の走りを見れば、決して道悪が空っ下手という印象も特にないのですよね。

今のこの馬は、間違いなく千八でこその馬だと思いますし、レッドベルオーブの大逃げで馬群が極端にバラけそうな中、前々の位置から自在に動いて行けるこの馬の機動力は、こういう乱戦では効果的な武器となりそうですから、菱田Jの仕掛けのタイミングがうまいことハマるようだと、勝ち負けに持ち込んでくるシーンまであっていいような気がしています。


4番手は、⑥ヒンドゥタイムズ

この馬は、去勢後にパフォーマンスが一気に安定しましたし、道悪に関しても、特にマイナス材料になるイメージはありませんので、今回も力どおりに上位に進出してくると考えていいのではないか、と。

詰めに甘さがあるのは確かですけど、ムルザバエフJなら前走のような大外ブン回しはないでしょうから、道中のロスをうまく抑えることができるようだと、この馬も勝ち負けに絡んでくる可能性は十分とみています。


いや~、このレースは笑っちゃうほどシミュレーションを組むのが難しかったですね。

個人的な妄想では、4コーナーで馬場の荒れたインからフォワードアゲンがスルスルと進出してくるシーンが目に浮かんでいるのですけれど、はたしてそれはただの妄想なのか……。

そんなことを考えていたら、特に自信があるわけでもないのに、レースを観戦するのがなんだか楽しみになってきちゃいましたよ(笑)。

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