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第82回 桜花賞のみどころ

この週末は、阪神競馬場でGⅠ桜花賞が行われます。

スミマセン、今週は前日に記事を出す時間が取れないかもしれないので、少し早いですが、前々日出し対応とさせていただきます。どうか、ご了承ください。


2022年に入ってからこれまで、フェブラリーステークス、高松宮記念、大阪杯と3つのGⅠが行われてきましたが、同じGⅠレースではあるものの、昨日、桜花賞の枠順が発表になって、いよいよクラシックシーズン本番に突入したことを実感した途端、にわかに競馬界全体が活気づくんだから不思議ですよね。

かく言う私自身も、ご多分に漏れずテンションは皆さまと一緒。予想が当たるかどうかはもちろん大事だけれど、それ以上に、とにかく純粋にいいレースが観たい。今の気持ちは、それに尽きるのかなと思います。


さて、ここからが本題になりますが、ただでさえ混戦模様となっている今年の牝馬クラシック戦線。その中で、この枠の並びは、応用問題をよりいっそう難しくしてくれたな。各馬の枠順に初めて目を通した時は、思わずそんな気持ちにさせられてしまいました。

また、阪神の芝は今週からBコースに替わります。そのことがレースの結果にどの程度影響してくると読むのか、そこの判断も非常に大事になってきますね。

ちなみに、今回は記事が前々日出しになる分、土曜日のレース傾向を見極めてから、、、とはならないのですが、あらかじめひとつの判断材料をお伝えしておくと、土曜メインの阪神牝馬ステークスで、ゲート五分なら楽にハナを切れそうなクリスティがどれくらい粘れるのか、だったり、直線で外に出して脚を使い切る競馬をしてきそうなジェラルディーナやデゼルが楽々届いてしまうのか、それともそうはならないのか、そのあたりに注目しておけばいいんじゃないかと思っています。

例えば、ですけど、クリスティが馬券圏内に楽々と逃げ残るようなら、基本はイン有利の馬場。ジェラルディーナやデゼルが外からギリギリ差し届くようなら、ほぼフラット。ジェラルディーナやデゼルが外から一気に突き抜けちゃうようなら、外差し有利。そんなイメージを持っておくといいかもしれません。

もちろん、ジェラルディーナやデゼルが馬群を割って来たり、空いたインを強襲してくる可能性もありますから、あくまでも大事なのは、直線で外に出した馬がどこまで伸びてこられるかという視点です。土曜日の競馬を見る際には、このあたりの部分を意識してもらえるといいのかなって思います。


う~ん、こうやって考えてみただけでも、やっぱり完璧に当て切るのはとても難しい。けど、まったく歯が立たないというほど極端な状況でもない。

もし、事前に今年の桜花賞を評するとすれば、そんなレースになるんじゃないかと思います。

それでは、早速、レースのみどころを解説していくことにしましょう。

阪神11R 桜花賞


まずはじめに、各馬のポテンシャルの比較からはじめていくことにしましょう。

事前に書いた記事の中で、大枠の話はほぼしてきましたが、まだ目を通していらっしゃらない読者の方もいると思いますので、参考として過去記事をこちらに貼っておきます。


過去記事の繰り返しにはなってしまいますが、基軸となるのは、暮れの阪神ジュベナイルフィリーズ組と王道のチューリップ賞組。そこの上位馬が、桜花賞の有力候補になることは、ほぼ間違いありません。

また、今年のパラメータホースは⑧スターズオンアースで、この馬をレース内容で圧倒していないと、桜花賞本番で勝ち負けを演じるのは難しい。シンプルに考えて、そんな力関係になっていると理解するのが自然でしょう。


そうすると、基軸となるレースで2回続けて好走している⑱ナミュール、 ⑯サークルオブライフ⑥ウォーターナビレラの3頭は、当然、明後日の本番でも上位候補になってきますし、これら3頭に割って入った⑪ラブリイユアアイズ⑤ピンハイも、10回のうちの何回かは、これら上位3頭に再度割って入るくらいの力は備えているように考えられます。

さらに、スターズオンアースを圧倒、という基準で言えば、⑩ライラック⑭プレサージュリフトも勝ち負けに絡んでくる可能性を秘めた馬という見方ができますから、ここまでに名前を挙げた7頭に関しては、すべてがうまく噛み合ったら桜花賞馬になる資格を十分に有している。そんな言い方ができるのではないでしょうか。


加えて、馬券圏内の可能性というところまで範囲を広げてみれば、この7頭以外でも、前走のフィリーズレビューで、阪神ジュベナイルフィリーズ5着のナムラクレアに完勝した⑦サブライムアンセムも大きな力差はありませんし、そのサブライムアンセムが未勝利戦を1:35.9で勝った同日に、同じ中京マイルのエルフィンステークスを1:34.0で勝った③アルーリングウェイだって、当然侮ることはできないんじゃないか、と。

もっと言えば、ですけど、④パーソナルハイは赤松賞でスターズオンアースに先着しているし……とか、⑫ベルクレスタはアルテミスSでサークルオブライフと接戦を演じているし……とか、⑰フォラブリューテの紅梅ステークスの勝ち時計は、同じ日に同距離の未勝利戦を走ったサブライムアンセムとコンマ2秒差だし……とか、、、

そうそう、言い出したらもうキリがないんですよ。これにスターズオンアース、ナムラクレアを含めて言えば、ここまでに14頭も名前が挙がっているのですから。


要するに、ものすごく乱暴な言い方をしてしまうと、②カフジテトラゴン以外の17頭には、ハマり切ったら馬券に絡んでくる可能性が十分にあるということなんです。そのカフジテトラゴンとて、かつてのエリ女のサンドピアリスみたいな激走を見せる可能性はゼロとは言えないわけですから、言ってしまえばもう何でもアリ。その中で、より確率が高いと思われるシナリオに一票を投じる以外方法はない。それが、今、私たち競馬ファンの前に横たわる厳しい現実なんじゃないかと思うのですよね。

少なくとも、各馬のポテンシャル比較をシンプルにやっただけでは、正しい結論を導き出すのは難しい。そう言わざるを得ない難しい状況にあることだけは、おそらく確かなんだろうと思います。


次に、道中の並びとペースについて、検討してみましょう。

まず全体を見渡してみると、前に行きたい馬が内枠に集まったイメージが強くて、レース序盤は、内枠主導の並びでレースが進んで行くと考えるのが自然なのかな、と。


ハナ候補は、②カフジテトラゴン④パーソナルハイの2頭。ただどちらが逃げるかは、パーソナルハイのゲート次第というところもあるので、この点を読みづらいのが、地味にイヤではあるのですよね。

なぜかというと、もしカフジテトラゴンがハナを切ると考えれば、③アルーリングウェイはスンナリとインのポケットの位置を確保できる見込みが立つわけですが、仮にパーソナルハイが積極的にゲートから出していく形になると、内枠3頭の位置取り争いの際にインがゴチャつく可能性が高まって、スンナリと番手外の位置を取れそうな⑥ウォーターナビレラを利することになる。

つまり、2頭のどちらがハナを切ると読むかによって、アルーリングウェイとウォーターナビレラのどちらを上位とするのか、そこの判断に違いが生じてくるというわけです。

個人的には、吉田豊Jのパンサラッサ逃げもあると考えているのですが、さて、どうなりますか、、、


ただ、どちらの馬がハナに行くにしても、⑨クロスマジェスティ⑮アネゴハダは、好位の外目で折り合いを付けたいはずですから、道中で極端にペースが上がることはなく、外枠に入った人気の差し馬たちにとって、前に馬を置いて脚を溜める競馬に持ち込むだけでも、それほど簡単なことではない。そんなイメージになるんじゃないか、と。

もちろん、馬群の外目にもスイートスポットは存在しますから、そこにハマる馬が1,2頭はいるわけですけど、例えば、8枠の3頭がこぞっていい位置で脚を溜められるかと言えば、おそらくそうはならない。互いに干渉し合うことによって、なし崩し的に脚を使わされる馬が出てくることは必至ですし、下手をすると削り合って全滅なんてことも、可能性としてはゼロではない。そんな気がするのですよね。

うまいこと道中の前後関係がズレてくれて、偶発的に縦位置の関係性が構築されるとか、極端に外差し有利な馬場状態になって、ポテンシャル優先の競馬になったりしたら話は別ですけど、そうならない限り、外枠の馬同士の馬券を買うのは、ちょっと躊躇してしまうところがある。これが、私の本音でしょうか。


では、最後に個人的見解を。なお、ここに記すのは金曜日時点でのものですので、いつも以上に参考程度、という扱いにとどめていただけたらとは思います。


中心には、大外枠の⑱ナミュールを採ることにしました。

強調材料は、そもそものポテンシャルがこのメンバーに入ると一枚上であることと、大外枠を引いて大出遅れの懸念が一定程度減ったことの二つが挙げられます。

不安材料は、先ほど書いたとおりで、外枠主導のレースにはならなくて、前に馬を置けず、なし崩し的に脚を使わされるパターンに陥る懸念があることなんですが、この馬に関しては、赤松賞でそれに近い形になったにもかかわらず、長く脚を使って楽勝してしまったくらいなので、過度な心配は要らないのかな、と。

おそらく、ルメールJが内から張ってきて、少なからずプレッシャーをかけてくるとは思うのですけれど、ならば少し脚を使って一列前の位置を取ってしまってもいいと思いますし、それくらいの負荷がプラスされる程度で済むのなら、この馬にとって致命傷になることまではない。そう判断しました。

もしこれで、お父さんや田辺Jの騎乗とかだったら本当に嫌なシチュエーションではあるんですけど、横山武Jなら、馬にストレスがかかるデッドポジションで、座して死を待つような乗り方は絶対にしない。そこは信頼していいでしょう。


2番手には、⑥ウォーターナビレラを抜擢します。

根拠は、ここは枠の並びが最高に近く、ロスなくスムーズな競馬ができる可能性が大。そこに尽きると思います。

ガチンコ勝負では、掲示板の下か、さらにその下あたりが妥当な力関係だと思うのですけれど、阪神ジュベナイルフィリーズやチューリップ賞のレース内容を振り返ってみれば、今回の枠の利、展開の利を活かせば、ナミュール以外の馬を逆転してくる可能性は十分。そんなふうに考えました。

ここ最近、武Jの騎乗から胆力が失われていることは大きな懸念材料ですけど、この馬は幸四郎厩舎の所属でもありますから、このレースに限って言えば、今できる最高のパフォーマンスを見せてくれるに違いない。そう信じることにしましょう。


3番手は、⑫ベルクレスタでいくことにします。

この馬の前2走は、極端な枠を引いてしまって最大限の力を出し切れなかったことが、敗因のほぼすべてでしょう。アルテミスステークスの走りを見れば、ここでも上位争いが可能な力を備えていることがわかりますから、ちょうどいい位置で脚が溜まりそうな好枠を引けたこと、この馬が吉田隼Jの騎乗スタイルと相性の良いキャラクターであること、その2点を強調材料として、この位置に置くこととしました。


4番手には、パドックで平静を保てているようなら⑩ライラック、そうでないなら③アルーリングウェイを採ります。

ライラックは、大外ブン回しで勝ち切った前走以上に、あの強いエピファニーに完勝した初戦の内容が秀逸だったんですよね。東京であのレースができるなら、阪神の外回りコースに不安はありませんから、あとは万全の状態で出走できるかどうかだけ。もしその点をクリアできるようだと、最後の直線で鋭く馬群を割ってきて、勝ち負けのラインに喰い込んでくる期待もあるように思います。いずれにしても、この馬の評価はパドック次第ということになりますね。

一方のアルーリングウェイは、3番手の外目という阪神千四のデッドスポットで競馬を進めながら、シンザン記念勝ちのマテンロウオリオンと、最後まで接戦を演じた2走前の内容がいいんですよね。ただしこちらは、序盤の位置取り争いで不利を受ける可能性もあると見ているので、勝つまではさすがにどうか。うまくいって2,3着、そんなイメージで考えています。

まったくキャラの異なるライラックとアルーリングウェイ、どちらを上に採るか最後の最後まで悩んだんですけど、双方とも完調であるという仮定の下でなら、ややライラックが上かなと判断しましたが、さて、この判断がどう出ますか。


上位評価はここまでとします。

その他の有力各馬についてですが、⑤ピンハイは調教が軽くて、調教後馬体重が前走からさらに減ってしまっているのが嫌な材料だな、と。

⑦サブライムアンセムは、使い込んでいて前走からの上積みは期待薄。よしんば淀みのない流れになって、この馬の力を出し切れる条件が揃ったとしても、それはすなわち他の差し脚質の有力馬にも有利に働くということになりますから、ノーチャンスではないでしょうが、期待値はそれほど高くない。そんな判断で消しました。

パラメータホースでもある⑧スターズオンアースは、普通に走ったら入着級、掲示板なら大好走。そんな評価になりますし、⑪ラブリイユアアイズは、うまくいった前走を再現できる確率はさすがに高くなさそうなので、どちらも目をつむって消し。

⑭プレサージュリフトは、道中で馬群がバラけるイメージが湧いてこないので、最後の直線で極端に外に振られるリスクが高い。そんな気がしますし、一列前にいるであろうサークルオブライフを、さらに後ろからブッコ抜くというのも簡単ではありませんから、能力は足りても展開面を割り引いて評価を下げました。


そして、最後にその⑯サークルオブライフ。能力的にここでも足りることは、言うまでもなく自明なのですが、M.デムーロだと極端に下げて外から早めに脚を使っていく形になる可能性が高い。そう思うのですよね。そうそう、昨年のアールドヴィーヴルのように……。

ただ、その形で前にいるナミュールに勝負どころで抵抗されたら、さすがにきついんじゃないでしょうかね、この馬にとっては。これが、ピンクの帽子の有力馬が並び立たないと考える根拠の一つでもありますし、万一、ナミュールがまったく動けないみたいなことが起これば話は別ですけど、この枠の並びで割を喰うのはこちらのほう。今回は、そう決めつけて消すことにしました。


いやはや、今年の桜花賞は、展開決め打ち戦法しか打開策が見つかりませんでした。

決め打ちが当たった時にだけ、うまいこと予想も当たってくれればそれで良い。それくらいの割り切りがないと、あれも怖い、これも怖いになって、頭の中がこんがらがってしまいそうですから、、、

ナミュールの大外枠というのは、いいほう悪いほうどちらに転んでもおかしくない要素をたっぷりと含んでいますからね。そう考えると、はたして人気とのバランスが取れているのかちょっと疑問も残るわけですが、横山武Jにとっては、ジョッキー人生最初の大きな試練とも言えるこの状況の中で、是非ともこの高いハードルを乗り越えてほしい。そんな気持ちも持ちつつ、レースを楽しめたらいいな、と。

いずれにしても、読者の皆さんの馬券作戦がうまく行くように、遠く北海道から祈っていようと思います。今年は例年以上に難解なレースとなりましたが、皆さん、集中して頑張っていきましょう!

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