夏の3歳上がり馬を評価する


今日は、夏の3歳上がり馬をどのように評価すべきかについて、簡単にメモしておこうと思います。

もちろん、こんな記事を書こうと思ったのは、先週の糸魚川特別(2勝クラス)をレイパパレが勝ち上がったことがきっかけ

若い競馬ファンの方は知らないであろう昔ばなしがいくつか登場しますが、レイパパレが、秋華賞戦線で通用するか否かを見極めるためのひとつの目安として活用してもらえればと思います。


今を遡ること約30年前、1990年9月23日に函館競馬場の芝2,000mで行われた大沼特別(4歳以上900万下/現3歳以上2勝クラス)を勝ったのが、後の菊花賞馬メジロマックイーンでした。

そして、この大沼特別の2着馬トウショウアイは、当時はまだ4歳(現3歳)馬限定で行われていた秋のエリザベス女王杯で2着。1、2着馬が、秋のクラシック本番で連対を果たした歴史に残る条件戦だったと言えるでしょう。

あくまでも表面上の話にはなりますが、この結果を見てもわかるとおり、2勝クラスの条件戦で古馬相手に勝ち負けできる力を持った3歳馬であれば、秋のクラッシック戦線でも好勝負が期待できるという評価でいいのだと思います。


ただ、「あくまでも表面上の話」と断りを入れたのには、当然、理由があります。

この大沼特別、当時4着だった古馬トウショウファルコは後に中山金杯とAJCCを勝ち、6着だった4歳馬メイショウビトリアは後にステイヤーズSを勝ちます。さらに7着だった古馬リストレーションは、翌年の牝馬東京タイムズ杯(現府中牝馬S)を勝って、秋の天皇賞でも4着。まあ、驚くべき好メンバーが揃っていたわけですね。

要は、秋のクラッシック戦線で好勝負を繰り広げるには、単なる2勝クラスの条件戦勝ちだけでは足りず、2勝クラスの大将格を相手に勝ち負けできる力が必要。ここが、大事なポイントになるわけです。


似たような事例はほかにもあって、今を遡ること約20年前、2000年9月3日に札幌競馬場の芝2,000mで行われたHTB賞(4歳以上900万下/現3歳以上2勝クラス)で4着だったのが、後の秋華賞馬ティコティコタックでした。

このHTB賞、勝ったフサイチソニックは、次走神戸新聞杯でその年のダービー馬アグネスフライトを下して1着。当時2着だったタマモヒビキは後に小倉大賞典を勝ち、11着だったレディバラードは後にダートに転戦して交流重賞を2勝。

このレースで4着に敗れたとはいえ、外々を回って2勝クラスの大将格に肉薄したティコティコタックが秋に秋華賞を勝ったのは、もちろんフロックでも何でもないわけです。


ここまで紹介した2つのレースと若干様相が異なるのが、今を遡ること約19年前、1991年8月26日に札幌競馬場の芝2,600mで行われた阿寒湖特別(3歳以上1000万下/現3歳以上2勝クラス)を勝ったのが、後の菊花賞馬マンハッタンカフェでした。

この年の阿寒湖特別は、決して好メンバーが揃っていたわけではないのですが、注目すべきはマンハッタンカフェの勝ちっぷり。直線の短い札幌コースで、4角8番手の絶望的な位置から、ド迫力の末脚を繰り出して差し切ったのです。

このように、メンバー構成が平凡な中では、特筆すべき勝ちっぷりを見せてはじめて秋のクラッシック戦線で通用すると言えるのでしょう。


さて、これらの歴史に照らすと、果たしてレイパパレは秋華賞で勝ち負けできるのでしょうか。もう少しだけ、突っ込んで考察してみることにしましょう。

まず、糸魚川特別でのレイパパレのレースぶりについてですが、ひとまず完勝といえるものではあったものの、インからロスなく抜けてきたものであって、さすがにマンハッタンカフェ級の勝ちっぷりというわけではありませんでした。

ということで、勝ちっぷりからだけでは、秋華賞戦線で即通用とまでは言えない内容でしたね。


そこで、今度は相手関係に目を向けてみることにしましょう。

2着カントルは、前走が2勝クラスの大将格が揃った阪神の京橋特別で勝負どころから外を回って3着。この日の阪神は、いっさい外差しが利かない馬場状態でしたから、非常に優秀な内容の3着でした。まあ、もとをただせば弥生賞5着馬でもあり、素質の高さはすでに証明している馬でもあるわけですがね。

また、3着アップライトスピンは、ヒシイグアスなど2勝クラスの大将格と常に好勝負を繰り広げていましたから、レイパパレは間違いなく骨っぽい相手に完勝したと言ってもいいでしょう。

したがって、少なくともこの点では、レイパパレが秋華賞戦線で通用する下地は十分だと言えそうですね。


これらの点から総合的に見て、基本線としては、レイパパレなら秋華賞戦線で十分通用すると見ていいのだと思います。

この評価をベースとして、京都の内回り2,000mでこの馬の器用さが武器になりそうというプラス面と、レースぶりや血統面から2,000mという距離はギリギリに映るというマイナス面を考慮したとき、さてどう判断するか。

もちろん「相手関係を精査して」ということにはなるのですが、内枠を引けば有力馬の1頭、外枠を引いたら消しというあたりに落ち着きそうな気もしています。


むろん、別に今から秋華賞の予想をしなくてもいいのですが、先々を見越してレースを観るというのもとても大事なこと。

そして何より、未来を予想するって、なんだかワクワクしませんか。

秋華賞当日、「内を突いてレイパパレ!」みたいな実況が聞こえてくることをイメージするだけでも、よりいっそう競馬が楽しくなるんじゃないでしょうかね。

今日は、競馬の楽しみ方のひとつとして、夏の3歳上がり馬をどのように評価すべきかについて記事にしてみました。

僕に洗脳される必要はまったくありませんが、是非、ご参考にしていただけたらと思います。


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