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2021年最後の障害戦回顧(12/26,28)

年末は変則開催なので、今回は、日曜日と火曜日の障害戦をまとめて振り返ることにします。

では、早速、レースを振り返っていくことにしましょう。

日曜 阪神5R 未勝利


ここは、鞍上が障害リーディング争いに絡んでいないという気楽さがいいほうに作用したのかどうかはわかりませんが、道中で自分のペースを守ることに専念したエコロドリームが、勝負どころからスムーズに進出して、最後は内にモタれながらもなんとかギリギリ差し切りました。

ゴール前は、草野Jの勝負服がはだけてしまうほどブサイクな追い方になっていましたけど、それでも勝ちは勝ちですから、しっかりと入障2戦目で時計を詰めて勝ち切った馬とジョッキーを、しっかりと評価しないといけないでしょう。

馬のタイプ的には、昇級しても安定して自分の脚だけは使えそうなタイプですから、現状のままでは厳しいでしょうが、今後の成長があってさらに展開がハマれば、オープンでもワンチャンスというくらいの期待をかけてもよさそうですね。


2着のスズカフロンティアは、馬はよく走ってはいるのですが、北沢Jの騎乗には、さすがにウ~ンと言わざるを得ませんね。

ゲートをスムーズに出たことによって、確かに少し馬が行きたがったところはありましたけど、道中、ずっとリズムの悪いギクシャクとした走りになってしまいましたから、僅差の2着でも、率直に言って完全に取りこぼしたという印象しか残りません。時計面でも、大きく出遅れた初戦だけ走れていないわけですから、データもそれを裏付けていると言えるでしょう。

さらに言うと、福島戦のノストラダムスの時もそうだったんですけど、「普通に乗れば勝てる」という馬に北沢Jが騎乗した場合に、強引にハナに行って取りこぼすというケースが目立つんですよね。おそらくこの悪癖は、急には治らないでしょうから、今後もこの点を、常に頭の片隅に置いておいたほうがいい。そうは思います。


3着のヒルノアローザは、ここを勝てばまだ年間リーディングの目が残っていた高田Jが、不退転の覚悟で攻めてきたなという印象がありましたね。

結果、勝てはしませんでしたけど、前走から時計を一気に7秒も詰めてきたのですから、立派と言えば立派。でも正直、「なんだ、やればできるんじゃん!」と言いたくなる気持ちがないわけではありません。「馬が一変した」と言ってしまえばそれまでですけど、なんたって7秒ですからね。


4着メイショウヤシャは、良くも悪くもイメージどおりの走りでした。

安定して走れるのはいいのですが、どう乗っても勝ち切れない雰囲気もあって、今後も付き合い方に気を付けないといけない馬、そんな気がします。


5着シャイニーゲールは、リーディング獲得がかかった平沢Jが、ちょっと強引に勝ちに行って、最後で失速する形になりました。

これは、完全にこちらの読み通りで、普通に乗っていれば3着だったとは思いますけど、レースの前提条件を考えれば、仕方のない結果だったのではないでしょうか。馬のほうは、厳しいローテーションの中、頑張って走っていたと思います。


8着ニホンピロマドンは、一台目の踏み切りが遠くて、着地でハードランディング。それで完全にリズムを崩し、まったくレースになりませんでした。

森一馬Jにしては珍しいミスではあるので、やはりリーディング争いが頭にあったのかも……とは思ってしまいますが、あの着地で落馬しないのは、さすがというほかありません。怪我をしないことも一流ジョッキーの証しですし、そういう意味では、最悪の事態を免れただけよかったのかな、と。

馬のほうは、前に行ってしぶとく粘るというタイプですから、次走以降、前々でスムーズに回って来られれば、巻き返しがあってもいいのかもしれません。ただ、切れる脚がない馬なので、阪神コースが合っていた印象もあり、次走、使ってくるコースによっては、あまり強く推せないシーンがあるかもしれないですね。

火曜 阪神4R 未勝利


ここはまず、レースの全体観に触れておくと、なんと勝ち時計は3:26.6。これは、日曜日の未勝利戦と比べて5秒8も遅いのですから、基本は、どの馬でも走れる超低水準のレースとなっていました。

ちなみに、4着ミッキーメテオの前走の走破時計は3:20.4でしたから、この馬自身は6秒以上もタイムを落としていることになるので、事前に予見していたことではありましたけど、ひとことで言って「西谷誠Jは、いったい何をやっているんだ」という話ではあるのでしょう。


勝ったポルタフォリオは、こちらの想定どおり、2戦目の上積みと阪神替わりで、大きく前進してきた格好になりましたね。

もちろん、相手にかなり恵まれたのは確かですから、昇級してすぐにどうこうはないのですが、今回、今できる最大限のパフォーマンスを示すことはできた。そう捉えています。


2着のマリスドランジュは、超スローのマイペースで運べたことがすべてではありますが、これが障害初戦だったことを考えれば、最後に競り負けたとはいえよく走っていると思います。

ただし、次走も同じようなレースができるかと言えば、十中八九、無理だとは思うので、自身も次走に向けて上積みがないと、人気になって圏外に飛ぶ可能性も否定はできないでしょう。あくまでも相手関係次第ではありますが、あまり楽観視はしないほうがいい。そんな気がしますね。


3着エミーリオは、完全にこちらの想像どおりの凡走なのですが、他の馬がそれ以上に走れなかったので、ギリギリ馬券圏内を確保したという内容でした。

こちらは次走以降、コース替わりや乗り替わりがあれば、一気にパフォーマンスを上げてくる可能性もあるので、この遅い走破時計が、この馬の真の実力であるとは考えないほうがいいでしょう。


4着ミッキーメテオは、う~ん、「ああ、やっぱりか」という言葉しか出てきませんね。

はっきり言って、今回はこの馬の良さがまったく出ませんでしたから、次走、すぐにでも巻き返してくる可能性が高いとは思います。ただし、西谷誠Jが騎乗する以上は、まったく同じ失敗を繰り返す可能性も否定はできないので、この馬に全幅の信頼を置くのはかなり危険だと思うのですよね。

馬のほうは、すぐにでも未勝利を勝ち上がれる力があるだけに、なんとも歯がゆいです。


5着グラスディアブロは、入障2戦目のここでレース内容が大きく前進してきました。その点、こちらの期待どおりではあったのですが、やはりあまりに前走のレースレベルが低かった分、一変してもまだ足りなかったというのが正しい解釈なのでしょう。ただ、馬もそうですし、大江原Jも今回はとてもいい内容のレースをしてくれたとは思っています。

7着ウェイヴァリーは、今回は器用に立ち回れなかった分、むしろ時計を落としてしまいましたから、さすがにこれでは勝負になりません。この内容だと、今後も苦戦が続きそう。そんな予感がします。


さて、これで今年の障害戦がすべて終了しました。

年間障害リーディングは、後半になって勝ち星が伸びず苦労しましたけど、森一馬Jが見事獲得。日頃のレースぶりを見ている者として言えば、至極妥当な結果だったと理解しています。


また、見どころ解説のほうは、最終週、完ぺきとまでは言えませんでしたけど、十分に満足できるいい締めくくりはできたのではないでしょうか。

何より、中山大障害でブラゾンダムールが激走する可能性を予見できていたことは、我ながら会心の一撃ではありましたし、日曜日の未勝利戦は、配当は安かったですけど一応はヒット。

そして、大荒れとなった火曜日のレースでも、勝ったポルタフォリオの好走を予見し、断然人気のミッキーメテオが凡走する可能性に言及できてはいましたから、見どころ解説としては、十分な内容になっていたのかな、と。

もちろん、いつもいつもうまく行くわけではありませんが、穴馬の発掘も、危ない人気馬の見極めも、観察眼をどんどんと磨いていけば、いつの日か必ずやれるようになるんだ、というところは見せられたのかなと思います。

できるなら、この研究所を訪問してくださっているビギナー皆さんにも、ただ単にこの見どころ解説を鵜呑みにするのではなく、自分自身の座標軸をしっかりと設定し、いずれ独自の予想を組み立てられるように、少しずつステップアップしていってほしい。そう願っております。


さて、来年も障害レースに関する記事は、これまでどおり無料公開していく予定ですので、引き続きお気軽に「本気の競馬力向上研究所」へとお立ち寄りくださいませ。

今年も一年間、障害レースの魅力発信にご協力をいただき、誠にありがとうございました!

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