第13回 アルテミススS/第67回 スワンSのみどころ
平地重賞に関するみどころ解説については、今週から原則として通常モードに戻ります。
東京11R アルテミスステークス
ここは、「抜けて強い!」という馬こそ見当たらないものの、例年と比べても粒揃いの好メンバーが集結した楽しみなレースとなりました。
ただし、「スローペースのデビュー戦で速い上がりを使って差し切って馬たちに対し、どの程度の評価を与えるべきか」の判断は非常に難しく、馬券の的中・不的中にフォーカスするのであれば、競馬ファンの側の予想センスが問われるレースとなりそう。そんな気がしています。
若駒のレースだけに読みづらさはありますが、前の並びは「ミストレスが逃げてショウナンザナドゥが番手外」という形になる公算が高いのではないでしょうか。
よって、シンプルに考えればスロー必至のメンバー構成ではあるのですけれど、1戦1勝馬が折り合いを欠いて暴発するパターンも当然消し切れませんので、基本的なスタンスとしては、展開面よりも地力に比重をかけて予想を組み立てるべきレースではあるのかな、と。
中心には、⑧ショウナンザナドゥを推します。
この馬は、番手に控えても落ち着いて走れていますし、枠の並び的にも馬場のいいところを選びながらレースの主導権を奪えるイメージが湧いてきますので、この点でアドバンテージがあるのは確かでしょう。
さらに負けたとはいえ、デビュー戦の走破時計も優秀でこのメンバーに入っても力的に見劣る印象はまったくありませんから、あとは仕上がり状態がどうかだけ。
抜けて強いという印象があるわけではありませんが、現状の完成度を加味して評価するならば、中心はこの馬でいいのかな、と。
2番手は、④シホリーン。
この馬は、とにかくレースセンスが良く、安定した走りを期待できる点が魅力と言えるでしょう。
素材的には、おそらく4,5番手止まりという感もありますが、好位に控えてそこからひと脚使える器用さに焦点を当てるならば、これくらいの評価はしないといけないのかな、と。
3番手は、⑤ミリオンローズ。
この馬の前走は、道中でハミを噛んで終い失速してしまいましたが、デビュー戦で負かした2頭は、ここに連れてきても好勝負可能な馬であることを忘れてはいけません。
馬のタイプを考えると、戸崎Jに乗り替わることがプラスに出そうな印象もありますので、臨戦過程は地味でも決して軽視はできない馬。そんな評価でいいのではないでしょうか。
4番手は、⑩カムニャック。
種牡馬としては、突然変異的に名馬キタサンブラックを輩出した一発屋。そんな印象もあるブラックタイドですが、この馬のデビュー戦を振り返ってみると、もしかしたらこの馬が一発屋のイメージを変えてしまうかも……
そう思わせるくらい、この馬の前走内容は強かったと思います。
ただ、いかに素材面で他馬を上回っていたとしても、ドスローの2,000m戦で瞬発力勝負を制してきただけの馬を中心視するのはリスキーで、やや玉虫色の判断とはなってしまいますが、評価は最後のひと枠というところにとどめておくことにしました。
その他、マイエレメントは、同日の新潟2歳S5着相当の時計をデビュー戦で叩き出してきましたので、重賞でも通用する器であることに疑いの余地はないと思います。
ただ、一度使って気が入りそうな気性面は気になりますし、前走の走りを再現するだけでは勝ち負けまではやや厳しいでしょうから、人気と期待値のバランスは今ひとつ。そう判断しました。
ミストレス、ブラウンラチェット、クレオズニードルの3頭もそれぞれ素質を感じさせる馬で、仮に馬券圏内の一角に喰い込んできても驚きはしないのですけれど、全体に序列をつけるとこの馬たちまでは拾い切れないな、と。
京都11R スワンステークス
ここは、古馬勢に全幅の信頼を置けるほどの馬が不在という中で、活きのいい3歳馬が上位を独占してしまうのか、それとも古馬勢の高い壁に跳ね返されることになるのか、非常に判断が難しいレースとなりました。
また、展開的にも、極端な脚質の馬が多い印象があるだけあって、前受けする馬と後ろから差してくる馬のどちらの高い比重をかけて予想を組み立てればいいのか、そこの判断もまた難しい。そんな難解度 MEGA MAX の組合せになってしまった印象です。
ということで、中心には⑥オフトレイルを推します。
2走前に千八の重賞を勝ちましたが、この馬の適距離はマイル以下とみていいのではないでしょうか。
問題は脚質面で、多頭数の競馬で最後方に近い位置からだと差し損ねるリスクは低くないのですけれど、かといってほかに狙いたいと思わせる馬がいない組合せのここは、消去法でこの馬を中心視するという判断があってもいいのかな、と。
前走のレース内容を振り返っても、瞬発力の質ではローシャムパークを凌駕するくらいのものを見せていましたしね。
2番手は、⑭アグリ。
前2走はまったく噛み合うところがなかったこの馬ですが、ここは枠の並びがいいですし、相手関係にも恵まれた印象がありますので、まだまだ見限れないと判断しました。
ただ、スタートの不安定さはやはり気になりますし、展開に左右されるタイプでもありますので、見せ場なく凡走するパターンも一応は想定しておきたいですね。
3番手は、④クランフォード。
今のこの馬の勢いは本物で、4連勝でここを突破してしまう可能性も十分。そう考えていいように思います。
ただし、ウインカーネリアンよりも内の枠を引いたことは歓迎材料にはなりませんし、前進気勢が強くなりすぎていた前走のレースぶりにも危うさを感じさせる部分がありましたので、リズムを崩しての惨敗というケースも頭には入れておくべき。そう考えて評価はこの位置にとどめました。
4番手は、①ノーブルロジャー。
この馬は、春後半からの成長力がひと息という印象もありますが、少なくとも京都の千四という条件設定は歓迎材料と言えますからね。
加えて、2走前は関屋記念の1,2着馬と遜色のない競馬ができていましたから、着順ほどレース内容が悪いわけでもなく、これくらいのメンバー構成なら好走の期待も十分なのかな、と。
その他、スズハロームは、前走はロケットスタートの貯金を生かした好走劇でしたし、2走前の3着はダノンスコーピオンと僅差の競馬でしかありませんでしたので、着順ほどの高い評価は要らないのではないか、と。
もちろん、勝負圏内の一頭には違いないのですけれど、人気とのバランスはあまりよくないですからねえ~。
ダノンマッキンリーは、ここを勝ち切る力があるとみていますが、大外枠、松山Jの騎乗では道中で脚が溜まらないと決め打ちます。
想定段階では、有力な穴馬の一頭として注目していたのですがね。
サーマルウインドは、これが関東圏でのレースなら最後のひと枠で拾っていいとは思うのですがね。確かに好位で上手に立ち回れる器用さに魅力はあって、展開次第では怖い存在になり得るのですけれど……
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